ジオン軍(Zeon Force)
ジオン公国の国軍。ザビ家の影響力は軍においても強大であり、公国総帥であるギレン・ザビが軍の総司令官を兼任する。
ドズル・ザビ率いる宇宙攻撃軍と、キシリア・ザビの突撃機動軍の二軍を中軸としており、更に突撃宇宙軍地球方面軍司令をガルマ・ザビが努めている。二軍制を採用した背景には、モビルスーツの運用上の位置づけを巡り、ドズルとキシリアが対立した末、ギレンの仲裁によって軍を分割したという背景がある[1]。
保有戦力は連邦軍と比較すると大きく劣っていたが、モビルスーツの軍用実用化、ミノフスキー粒子環境下の軍事運用、ニュータイプの戦争利用など、その後の戦争形態を一変させる軍事技術を秘密裏に研究・開発し、綿密な作戦計画もあって一年戦争緒戦では連邦軍を圧倒した。更にサイドへの核・化学兵器の使用に加え、スペースコロニーを地球へ落下させるブリティッシュ作戦を敢行。これによって地球圏の総人口の半数を死に至らしめ、開戦から一ヶ月足らずで地球連邦軍を敗戦直前にまで陥れた。しかし、その後連邦軍がモビルスーツの開発に成功したことでミリタリー・バランスを覆され、オデッサ作戦、星一号作戦を経て宇宙世紀0079年12月31日に連邦軍に敗北した。
一年戦争末期には未完成の試作兵器の実戦投入や、人員補充を目的とした学徒兵の動員を行う等、その劣勢が色濃く現れており、それ故に最前線の兵士の混乱も多く見受けられた。また、二軍制を採用した事に起因する権力構造の複雑化と軍同士の反目[2]も目立ち、それが敗因となった戦闘も多い。
戦後、連邦に降った残存戦力はジオン共和国軍として再編されたが、終戦・敗戦を認めない派閥は装備ごと軍を離脱し、各地に潜伏。所謂「ジオン残党」と呼ばれる地下勢力を形成した[3]。これら残党組織はデラーズ・フリートやネオ・ジオンといったジオン後継組織に成長し、その都度連邦に刃を向けている。
エースパイロットには軍服やノーマルスーツのカスタマイズが許可されているのも特徴であり、シャア・アズナブルやランバ・ラルを始め、名うてのパイロットや指揮官達はパーソナルカラーで彩られたノーマルスーツやそれに合わせたヘルメットを着用した。同様の理由で搭乗機のカスタマイズも容認されており、エースパイロット専用にチューンされた機体が実戦投入されている。彼らエースパイロットの活躍は国内外に喧伝されており、士気高揚とプロパガンダを担った。
登場作品
主な人物
階級は一年戦争当時の物。
将官
- ギレン・ザビ
- ジオン公国総帥。大将。
- ドズル・ザビ
- 宇宙攻撃軍司令。中将。
- キシリア・ザビ
- 突撃機動軍司令。少将。
- コンスコン
- 宇宙攻撃軍少将。コンスコン機動部隊指揮官。
- ギニアス・サハリン
- アジア方面軍新兵器開発秘密基地司令。技術少将。
- ユーリ・ケラーネ
- ヨーロッパ方面軍師団長。少将。
- ノルド・ランゲル
- グラナダ艦隊司令官。少将。
- ガルシア・ロメオ
- ジャブロー攻撃軍司令官。少将。
- アルベルト・シャハト
- 公国軍総司令部技術本部長。少将。
佐官
- ガルマ・ザビ
- 地球方面軍司令。大佐。
- マ・クベ
- オデッサ鉱山基地司令。大佐。
- エギーユ・デラーズ
- 大佐。ア・バオア・クー統一軍総帥直属艦隊司令であり、後のデラーズ・フリート創始者。
- ノリス・パッカード
- 大佐。アジア方面軍パイロットにしてサハリン家従者。
- ロバート・ギリアム
- 大佐。ギレン・ザビ親衛隊の一員で、ギレンの邪魔者となる存在を次々に粛清した。
- ノイエン・ビッター
- 地球方面軍大佐→ジオン残党軍キンバライド基地司令。
- シーマ・ガラハウ
- 海兵隊中佐。
- マルティン・プロホノウ
- 603技術試験隊所有艦ヨーツンヘイム艦長。中佐相当官。
- ヘルベルト・フォン・カスペン
- カスペン戦闘大隊指揮官。大佐。
- シャア・アズナブル
- 宇宙攻撃軍少佐。のち、突撃機動軍に移り大佐。
- エリオット・レム
- ジオニック社出身の技術少佐。戦場に出る事は無かったが、テストパイロット兼技術陣としてザクシリーズの開発に大きく貢献した。
- ジョニー・ライデン
- キシリア直属の精鋭、キマイラ隊を率いる少佐。通称『真紅の稲妻』。
- ジャン・リュック・デュバル
- ツィマット社出身の技術少佐。自らもパイロットであり、当時ザクIの競合相手であったヅダの開発、技術向上に貢献した。
- ゲラート・シュマイザー
- キシリア旗下の特務部隊『闇夜のフェンリル隊』を統括する少佐。ルウム戦役前後に右目に後遺症が残り、以後は指揮官として部下達を見守っている。
- ウォルター・カーティス
- オーストラリア駐屯軍司令官を務める大佐。質実剛健を旨とする堅実な軍人で、被災したオーストラリアで人道的な方針を取り続けたために市民からは強く慕われている。
- エリク・ブランケ
- 特務部隊『インビジブル・ナイツ』を指揮する若き少佐。一年戦争後、残党軍として自らがやり残した『水天の涙』作戦を敢行する。名門の出だが優秀な指揮官でありエースパイロットでもある。
- ヤッ・デルマ
- 黎明期よりMS開発に携わった『開発訓練Y-02小隊』の司令官。中佐。同隊の特務少尉、ククルス・ドアンの兄。
- キリー・ギャレット
- 地球攻撃軍少佐にして、キシリア直属の秘匿部隊『ノイジー・フェアリー』を率いる女性指揮官。自身も『ハーピー』の異名を取る現役パイロットもあるが、隊長就任に伴い事実上の指揮官に徹している。
- ウォルフガング
- 狩人部隊の隊長を務める少佐。自らも『黒衣の狩人』と称されるエースパイロットで、戦争終盤にはパーソナルカラーの黒に彩られたヅダを愛機としていた。
- ダイアン・ノイス
- キシリア直属の親衛隊の少佐。
- ニアーライト
- キシリア旗下の特殊部隊「局地戦戦技研究特別小隊(通称「マッチモニード」)を率いる少佐。ザビ家の過激な信奉者で、自分の部下さえも捨て駒としか考えない冷酷な人物。
尉官
- ランバ・ラル
- 大尉。
- 黒い三連星
- ガイア大尉、オルテガ、マッシュ両中尉からなる、突撃機動軍きってのエースパイロット。
- ククルス・ドアン
- 一年戦争時、軍を離反した元パイロット。ジオンにいた当時は少尉で、『開発訓練Y-02小隊』の隊長として黎明期からモビルスーツの開発に関わっていた。
- ハーディ・シュタイナー
- サイクロプス隊を指揮する大尉。『ルビコン作戦』のため、隊の面々を率いてサイド6『リボー』に潜入する。
- シン・マツナガ
- 宇宙攻撃軍大尉。『白狼』の異名を取るエースパイロット。
- アナベル・ガトー
- 宇宙攻撃軍大尉。戦後、デラーズ・フリート主要人物となる。
- ララァ・スン
- 元フラナガン機関出身の少尉。専用モビルアーマーエルメスを駆るパイロット。
- ダリル・ローレンツ
- 旧サイド4宙域に進出した『リビング・デッド師団』の少尉。同隊に配備された試作機サイコ・ザクの専任パイロット。
- オリヴァー・マイ
- 一年戦争で新兵器の技術検証を行った603技術試験隊の中尉。
- モニク・キャディラック
- 総帥府『ペーネミュンデ機関』所属の特務大尉。603技術試験隊に配属された政治将校にしてパイロット。
- ニムバス・シュターゼン
- EXAM搭載MSのテストパイロットを務める大尉。後にジオンを裏切り亡命した元上司、クルスト・モーゼスの追撃を請け負う。
- ナランソロンゴ・ボルドバヤル
- 『モンゴルの銀狼(ガンロン)』の異名を取るエースパイロット。大尉。
- ケン・ビーダーシュタット
- 外人部隊と揶揄されるMS特務遊撃隊のリーダーを務める少尉。
- マレット・サンギーヌ
- グラナダを拠点とするキシリア直属の部隊『グラナダ特戦隊』の隊長。
- ヴィッシュ・ドナヒュー
- オーストラリア戦線で活躍した中尉。『荒野の迅雷』の異名で知られるエースパイロットで、占領下であるオーストラリアの市民からも『アンクル・ドナヒュー(ドナヒューおじさん)』の愛称で慕われていた。
- ダグ・シュナイド
- キシリア旗下の特別競合部隊『マルコシアス隊』の教官にして中隊長。
- マクシミリアン
- グリフォン隊の隊長を務める大尉。
下士官
- バーナード・ワイズマン
- 『サイクロプス隊』に新たに配属された新人士官。伍長。
- ヴィンセント・グライスナー
- マルコシアス隊の一員となった学徒兵パイロット。曹長。
- アンネローゼ・ローゼンハイン
- マルコシアス隊の補充要因として配属された少女パイロット。サイコミュの適性を有しており、戦場ではサイコミュ試験型ザクに搭乗する。
- クルト・ブラット
- 一年戦争後期にジオン公国軍に入った少年兵。伍長。とある事情からザクタンクを愛機としている。
- ヴァシリー・ボッシュ
- 『開発訓練Y-02小隊』に所属する伍長。ククルス・ドアンの元部下で、彼の下で複数のモビルスーツに搭乗してきた。
- ミリア・シェル
- グリフォン隊に所属する伍長。