サイクロプス隊
サイクロプス隊(Cyclops Squad)編集
ジオン公国突撃機動軍の有する潜入工作部隊のうち、ハーディ・シュタイナー大尉の率いる部隊。
モビルスーツによる作戦や諜報活動、敵の後方撹乱や要人の拉致までをもこなす少数精鋭のベテラン特殊工作部隊であり、部隊に副官は配備されていないため、事実上、部隊員のミハイル・カミンスキー中尉(ミーシャ)がその任を果たしている。部隊は12人程度の小規模編成の部隊であったとされるが、部隊の性格上定数規定は無い。
一年戦争初期の地球制圧作戦においては宇宙世紀0079年3月1日の作戦開始に伴い、根拠地グラナダから第1次地上機動師団と共に出撃し、第1次降下作戦に参加した。ヨーロッパへの降下後はMS機甲師団の突入経路を確保するために絶えず師団の前衛に位置し、敵の通信遮断・橋梁の占拠などで主力部隊の前進に大きく貢献。宇宙世紀0079年4月12日のヨーロッパ南部地域トゥールーズ制圧作戦などに従事している。隊の作戦行動は開戦当初から押し並べて順調に進んでいたものの、その一方で任務の過酷さ故に目標達成は完璧な場合ばかりではなく、部隊の損耗も激しかった。
そして一年戦争終盤、戦況が悪化の一途を辿る中、ジオン軍は連邦軍がニュータイプ専用新型ガンダム「ガンダムNT-1 (アレックス)」を開発、北極基地から宇宙へ移送するとの情報を入手。グラナダ基地参謀のキリングはサイクロプス隊に対し、基地の襲撃および機体の奪取を命じる。この時、隊は既に疲弊の極みに達しており、部隊員は僅か4名にまで減少していた。
宇宙世紀0079年12月8日にサイクロプス隊はユーコン級 (U-99)に搭乗しノバヤセムリヤ基地を出港。翌9日には北極基地から5海里(約9km)の地点に到達し、水陸両用モビルスーツの編成で出撃。基地を襲撃し守備隊に大打撃を与える。しかし連邦軍は戦闘開始の段階で目標を乗せたコンテナの打ち上げシャトルへの搬入作業をほぼ終了。発進完了まで残り5~10分程であり、搬入完了直前にアンディが発見するも、守備隊の抵抗を受け間に合わずシャトルは打ち上げに成功。作戦は失敗しアンディを失ってしまった。
その後、12月12日にサイド6 リボーにおいて発生した戦闘において公国軍MSパイロットのバーナード・ワイズマン伍長(バーニィ)が民間人のアルフレッド・イズルハ (アル)からコンテナの搬入作業を映した映像を入手。持ち帰った映像から新型ガンダムの所在が判明した事でキリングはサイクロプス隊に対しルビコン計画発動を命令。欠員補充用としてバーニィが転属され、以後、同隊は新型ガンダムの奪取または破壊を任とする。
12月15日にはジオン軍がリボーに対し陽動攻撃を展開し、その間、民間貨物船に偽装した輸送艦を用いてコロニー内への新型MSケンプファーの積み込みに成功。シュタイナー達は機体の組立作業を進め、バーニィはアルと共に連邦軍の情報収集を行った。そして、バーニィ達の働きにより新型ガンダムの所在がU.N.メディカルセンターであると判明。同月19日に施設への潜入作戦を展開する。ミーシャがケンプファーで守備隊を攻撃する合間、連邦兵に変装したシュタイナー達が施設へと潜入するも、バーニィの不注意な一言により変装がばれ、連邦兵との銃撃戦が発生。シュタイナーとガルシアが死亡し、新型ガンダムと交戦したミーシャも撃墜され戦死。隊はバーニィを残して壊滅してしまった。
ルビコン計画失敗の報告を受け、キリングはリボーへの核攻撃を独断で決定。グラナダ基地司令であるルーゲンスを射殺し基地を掌握した後、フォン・ヘルシング大佐に対し艦隊を率いてリボーへ核攻撃するよう命令した。一方、生き残ったバーニィは核攻撃から逃れるため一度はコロニーを離れようとするものの直前になって考えを改め、核攻撃を阻止するべくアルと共にクリスマス作戦の準備を進める事になる。
登場作品編集
- 機動戦士ガンダム0080 ポケットの中の戦争
- 初出作品。第1話での連邦軍北極基地襲撃の後、宇宙へと上がりルビコン計画に参加。連邦軍基地への潜入任務の準備を着々と進め、第4話にて実行に移すも、バーニィのミスを発端に銃撃戦に発展。バーニィを残して部隊は壊滅した。
- 1:35 U.C.ハードグラフシリーズ No.5 ジオン公国軍 サイクロプス隊セット
- 付属するインストで一年戦争初期の活動内容が解説されている他、宇宙世紀0079年4月12日のヨーロッパ南部地域トゥールーズ制圧任務を目前に控えるサイクロプス隊の様子がショートストーリーとして掲載されている。
構成員編集
部隊員 編集
- ハーディ・シュタイナー
- 部隊指揮官。愛煙家であり、『0080』本編時点では禁煙しているものの煙草は携帯している。冷静沈着な状況判断により、これまでの数多くの特殊作戦を逞しく、そして強かに生き抜いてきた。ルビコン計画における連邦軍基地潜入任務の際、銃撃を受け負傷。脱出後、バーニィに看取られながら息を引き取った。
- ミハイル・カミンスキー (ミーシャ)
- サイクロプス隊の古参兵であり、ミーシャの愛称を持つ隊員。部隊では副官的役割を果たしており、MSの操縦にも長けている。また、愛酒家でコクピットに酒を常備している。ルビコン計画における連邦軍基地潜入任務においてケンプファーに乗り陽動を務めるものの、新型ガンダムとの戦闘において乗機を撃墜され戦死。
- ガブリエル・ラミレス・ガルシア
- 古参兵の1人で、赤いバンダナ姿が特徴の隊員。銃器や爆発物の扱いに長けており、ナイフ使いの名手。補充兵のバーニィに対しては階級が唯一自分よりも下という事もあり、厳しく接しながらも彼を気遣っていた。ルビコン計画における連邦軍基地での銃撃戦で新型ガンダムの爆破を試みるものの銃撃で重傷を負い、ガンダムの近くで自爆した。
- アンディ・ストロース
- 古参兵の1人で、運転の名手。髪型を整えるために櫛を携帯している。北極基地における連邦軍の戦闘中、目標を乗せたシャトルを発見するも、コックピットへの直撃弾を受け戦死。
- バーナード・ワイズマン (バーニィ)
- 補充要員の学徒動員兵。リボーでの初期の戦闘においてアルと対面した際に彼から新型ガンダムに関する映像を入手した事で部隊に編入された。新兵故に部隊の足を引っ張る事もあったが、アルと共同で新型ガンダムの情報を得る場面もあった。ルビコン計画の失敗により部隊が壊滅した際には1人だけ生き残り、その後、クリスマス作戦を実行に移し、単身新型ガンダムに挑んだ。
- ジェームス・黄 (ホアン)
- ガンプラ「1:35 U.C.ハードグラフシリーズ No.5 ジオン公国軍 サイクロプス隊セット」の解説書にて紹介されている初期メンバーの1人。階級は曹長。普段から無表情で、デジタル迷彩のスモッグ姿にヘルメットとゴーグルをトレードマークとしている。同キット以前に書籍「MS ERA 0001~0080 ガンダム戦場写真集」におけるサイクロプス隊のいくつかの写真に同じ容姿の軍人が写っているため、これをモデルにしたものと思われる。
協力者 編集
- チャーリー
- サイド6リボーにて酒場ピンクエレファントを経営する傍ら諜報任務をこなす諜報員。シュタイナーとは長い付き合いであり、共にジオンの敗北を予見していた。
- アルフレッド・イズルハ (アル)
- リボーに住む民間人の少年。グレイファントムのリボー寄港時に搬入作業を撮影し、それをバーニィが入手した事がルビコン計画発動の切欠となった。ジオン軍に憧れており、バーニィと出会ったのを機に隊への協力を懇願。シュタイナーはワッペンに偽装した盗聴器を手渡し、バーニィに世話役兼監視役を務めさせた。警察および連邦軍に部隊の存在が露見しかねない危険を犯す事もあったが、バーニィと共に新型ガンダムの所在を突き止めるなど、隊の任務に大きく貢献している。
保有戦力 編集
地球制圧作戦時 編集
北極基地襲撃時 編集
ルビコン計画時 編集
- ケンプファー ×1