サイド7遭遇戦

サイド7遭遇戦 (The Encounter of Side 7)編集

宇宙世紀0079年9月18日にサイド7において発生した、宇宙世紀史上初となるMS同士の遭遇戦。

地球連邦軍は同年8月に自軍勢力圏内のサイド7でRXシリーズのテストを開始し、9月15日には新造艦ホワイトベース (以下、WB)が最終トライアルを終えたRXシリーズ受領のためにサイド7へ向けてジャブローを出港する。

しかし、ジオン公国宇宙攻撃軍のシャア・アズナブル少佐麾下のムサイ級ファルメルはゲリラ掃討戦からの帰路についていたところ、ジャブローを出港したWBを捕捉し、「V作戦」の正体を確かめるべく、攻撃を仕掛けずにこれを追尾。連邦軍もムサイの接近を察知しており、WBは一度ルナツーに寄港し追尾を振り切ろうとするものの叶わず、9月18日にはサイド7・1バンチへと入港する。

同日午前8時にシャアは「V作戦」のデータ収集のため指揮下の全MS (シャア搭乗機は除く)のザクII3機を投入。ベテラン兵であるデニム曹長、新兵のジーン軍曹とスレンダー軍曹で構成された偵察部隊はサイド7へ偵察のために潜入する。連邦軍はムサイに気を取られていたからかMS部隊の接近を察知できず、部隊は易々と警備網を突破。物資搬入口まで到達した部隊はスレンダー機を残してコロニー内部へと潜入し、そこでデニムとジーンの両名は組立前の状態の連邦軍のMSを発見する。

命令では偵察や写真撮影だけが目的であり、戦力評価ができていない以上、戦闘は避けるべきだったが、手柄を焦った新兵のジーンが命令を無視し、独断で攻撃を開始。公国軍が徹底した実力重視主義を採っていたのが裏目に出てしまう。突如ジオン軍の攻撃を受けた連邦軍は通常兵器で応戦するもMS相手では歯が立たず、次々とRXシリーズの部品は破壊されてしまう。更に連邦軍駐留部隊の応戦と民間人の避難が重なった結果、軍人・民間人問わず多数の死傷者が発生。コロニー内は大混乱に陥ってしまう。待機していたスレンダー機からの報告を受け、この事態を知ったシャアはスレンダーへ可能な限り写真撮影を行ってから脱出するよう指示し、支援のためファルメルをコロニーへと接近させる。

ザクの攻撃が続く中、民間人の少年アムロ・レイは偶然にも軍の極秘資料を手に入れ、それが「V作戦」で完成した白兵戦用MS「ガンダム」のマニュアルである事を知る。マニュアルを見たアムロはこれ以上の犠牲者を生ませないためガンダムに搭乗し起動。同日午前9時15分、遂に(公式記録上では)史上初となるMS同士の戦闘が開始した。

ガンダムは固定武装以外の武装を装備していなかったものの、ザク・マシンガンを全く受け付けないルナ・チタニウム合金製の装甲と、その絶大なパワーでジーンのザクを小破。後退しようとするところを背後からビーム・サーベルで両断し撃破に成功する。しかしその際、動力炉が破壊された事でジーン機は核爆発を起こし、コロニー外壁に大穴が発生。これに巻き込まれた連邦軍技術士官のテム・レイ大尉が宇宙へと放り出され消息不明となっている。部下の戦死を目の当たりにして憤ったデニムもガンダムに肉薄しようとするものの、ビーム・サーベルによってコックピットを破壊され、戦闘は終了した。

史上初のMS同士の戦闘は2対1で公国軍側が有利かつガンダムのパイロットが素人の少年だったが、ガンダムが公国軍MSとの戦闘を前提に開発された機体であり、対するザクIIとその装備が対MS戦闘用に開発された物ではなかった事もあり、機体性能の差だけでなく運用法の違いも勝敗を分かつ一因となった。

一方ファルメルはコロニーを脱出したスレンダー機を援護するべくコロニーに対しミサイル攻撃を実施。スレンダーは負傷しつつもファルメルへと帰投し戦闘内容を報告した。これを受け、シャアは上官のドズル・ザビ中将にV作戦を確認した報告と補給の手配を行った後、潜入隊を率いてサイド7への潜入を実施。以後、コロニーを出航したホワイトベースと偵察を中断しコロニーを脱出したシャア率いる部隊が、コロニー外でMS戦を展開したサイド7脱出戦へと発展する。

登場作品編集

機動戦士ガンダム
初出作品。第1話で行われた戦いであり、後にリアルロボットアニメの金字塔と評されるようになる同作を象徴する戦闘となった。また、その後、ガルマ・ザビ大佐の戦死、オデッサ作戦での連邦軍の勝利など戦況が連邦軍優位に傾く出来事が連鎖的に起こるなど、この戦闘は一年戦争におけるターニングポイントとなった。
機動戦士ガンダム ブレイジングシャドウ

関連人物 編集

民間人 編集

アムロ・レイ
『1st』の主人公。全くの素人でマニュアルを見ながらの戦闘だったものの、機体性能に助けられ何とか勝利する。この戦いにおいてガンダムと運命的な出会いを果たし、後世に伝わるガンダム神話が幕を開ける事になる。
フラウ・ボゥ
アムロの幼馴染。戦闘によって身内を失いながらも、アムロの叱咤激励を受けWBへと逃れる。
ハヤト・コバヤシ / カイ・シデン / セイラ・マス / ミライ・ヤシマ
サイド7の住人。戦闘によりWBへと逃れ、以降、クルーとして乗船する事になる。
カツ・ハウィン / レツ・コファン / キッカ・キタモト
サイド7の住人。戦闘によって戦災孤児となる。同じくWBに逃れてきたフラウを慕って、同艦に居座るようになり、マスコットキャラクター的立ち位置となる。
カイン・ラグナード
『ブレイジングシャドウ』の主人公。戦闘によって両親を失い、戦災孤児となってしまう。戦後、ルオンズ・ヤージ中将に引き取られ、特殊部隊シャドウズの一員となる。

地球連邦軍編集

リュウ・ホセイ
パイロット候補生の1人。ファルメルの攻撃に対し迎撃を行っていたパオロと交代しようとした。
パオロ・カシアス
WB艦長。リュウと共に迎撃を行うものの、被弾時に飛ばされてきた破片を受け負傷する。
テム・レイ
アムロの父親であり、連邦軍の技術仕官。ザクIIの襲撃時にガンダムを含めたMSのWBへの搬入作業を進ませるものの、ザクの爆発により出来た外壁から宇宙空間へと吸い出されてしまう。その後、救助されサイド6に定住していたものの、既に酸素欠乏症にかかっており、かつての姿は見る影もなくなっていた。
テストパイロット
宇宙世紀余話 モビルスーツ開発 V作戦』および書籍『ガンダムMSヒストリカ Vol.1』掲載の「ガンダムの世紀 第1回 そのとき、ガンダムが動いた」で言及されているテストパイロットの1人。他のパイロットが攻撃に巻き込まれ命を落とす中、辛うじてガンダムの下へと辿り着くものの、既にアムロの手によりガンダムは起動しており、その戦いの様子を間近で目撃する事となった。その後の生死・消息については描写が無いため不明だが、ザクが大爆発を起こした事を考えると爆死かテムのように宇宙空間に投げ出された可能性も考えられる。

ジオン公国軍編集

シャア・アズナブル
赤い彗星」の異名を持つエースパイロット。部下に偵察を指示するも失敗に終わった事で「認めたくないものだな。自分自身の、若さ故の過ちを」と自責を感じた。
デニム
偵察部隊の隊長。命令通りに偵察を行おうとするものの部下であるジーンの暴走を止められず戦闘が勃発。部下を失った上、自身も戦死してしまう。
ジーン
偵察部隊の一員。功を焦って連邦軍に攻撃を仕掛けるものの、結果として史上初のMS戦の初の犠牲者となり、更にはガンダム神話を生む切欠まで作ってしまった。
スレンダー
偵察部隊の一員。デニムの命令を守って偵察任務を全うする。しかし、続いて発生したガンダムとの初交戦で敢え無く戦死してしまった。

交戦戦力 編集

地球連邦軍 編集

  • ガンダム ×1
  • 有線ミサイルカー ×複数
  • 対ザク用タンク型自走砲 ×複数
  • リジーナらしき武器 ×?

ジオン公国軍 編集

関連項目 編集

サイド7脱出戦
サイド7遭遇戦後に起きた、シャア少佐率いる潜入隊のコロニー潜入~脱出、コロニー外でのMS戦までの一連の戦闘。

余談編集

商品情報編集

リンク編集