クロスボーン・バンガード
クロスボーン・バンガード(Crossbone Vanguard)編集
『機動戦士ガンダムF91』に登場する軍事組織。
ブッホ・コンツェルンの創業者一族であるロナ家が「コスモ貴族主義」を実現する為の国家「コスモ・バビロニア」を建国するべく組織した私設軍隊。組織名は「世直しを標榜し、実践する尖兵の軍隊」というニュアンスを込め、中世の海賊旗に由来する「クロスボーン」に「尖兵」「前衛」を意味する「バンガード」を組み合わせて命名された。
一般市民の堕落と、それを是正しようとしない地球連邦政府の腐敗を正し、理想国家を実現する為の尖兵として自らを規定しており、コスモ・バビロニア建国の暁には解体し、同国の国軍に再編される事が基本法に定められている[1]。
貴族主義に基づいて創設された為、随所に古代の騎士を思わせる武器や風習が見られるのが特徴であるが、地球連邦軍に先駆け小型モビルスーツやビーム・シールドを実用化するなど、運用兵器は当時の連邦軍の一歩先を行っていた。兵器開発は少なくとも宇宙世紀0096年以前から進められており、そのデータ収集を行う為の私兵部隊バーナムも存在していた。
そのルーツはブッホ・コンツェルンの運営する職業訓練校にあり、優秀で旧来の思想に染まっていない若者達を選抜し、企業内で開発されたモビルスーツによる軍事訓練や貴族主義思想の教育が行われた。特に優秀な者は地球連邦軍の士官学校で正規の軍事教育を受けさせ、士官学校卒業者の義務である3年の軍勤務を果たした上で帰還させた[2]。
秘密裏に武装蜂起の準備を進め[3]、宇宙世紀0123年にサイド4(フロンティア・サイド)を強襲し、コスモ・バビロニア建国戦争の幕を開いた。兵士達の士気は前述の長期的な取り組みもあって高く、またコロニー内での戦闘で被害の拡大を招く連邦軍とは対照的に敵機の誘爆を避けるなど、練度も勝っていた。
人類を永久に存続させる目的で増えすぎた地球圏の人口削減も目的としていたが、カロッゾ・ロナはこれを拡大解釈し、独自にラフレシア・プロジェクトを実施。バグによる大量虐殺の実施を画策した。
ラフレシア・プロジェクトはカロッゾとその副官のジレ・クリューガーの死によって瓦解するが、その後も連邦軍との戦闘は継続され、最終的にロナ家長女ベラ・ロナが行った貴族主義を否定する演説によって、組織は崩壊する事になる。しかし、コスモ・バビロニア建国戦争は連邦にかつてのような力が無い事を露呈させ、これがコロニー単位での自治独立を目指す「コロニー国家主義」の始まりとなった。
登場作品編集
人物編集
- マイッツァー・ロナ
- ロナ家の当主。父シャルンホルストの代から進めていた計画を実行に移した。
- カロッゾ・ロナ
- クロスボーン・バンガード総司令官。ロナ家の婿養子。独自にラフレシア・プロジェクトを進めた。
- ドレル・ロナ
- ロナ家の一員(正確にはカロッゾの連れ子)。ドレル大隊を率いる。
- ザビーネ・シャル
- ブラック・バンカード大隊長。組織への不信からカロッゾ戦死後に離反する。
- ベラ・ロナ (セシリー・フェアチャイルド)
- ロナ家長女。武装蜂起時にロナ家に帰還するが、その後離反。
- ジレ・クリューガー
- カロッゾの側近。ラフレシア・プロジェクトの概要を知る一人。
- アンナマリー・ブルージュ
- ザビーネの部下であるパイロット。
- シャトレイ
- 第二次オールズモビル戦役時、イルルヤンカシュ要塞において指揮を執った士官。
- デハーヨ
- 第二次オールズモビル戦役時、イルルヤンカシュ要塞の防衛線を構築するため月のマスドライバー基地を占拠した士官。
保有兵器編集
モビルスーツ 編集
- デナン・ゾン
- クロスボーン・バンガードの主力近接戦闘機。機体系譜的には作業用のデッサ・タイプを戦闘用に改修した物。
- デナン・ゲー
- クロスボーン・バンガードの主力汎用機。
- ベルガ・ダラス
- クロスボーン・バンガードの上級士官用高級量産機。
- ベルガ・ギロス
- クロスボーン・バンガードの上級士官用高級量産機。
- ベルガ・バルス
- クロスボーン・バンガードの上級士官用高級量産機試作改修型。
- エビル・S
- クロスボーン・バンガードの偵察部隊隊員用機。
- ダギ・イルス
- クロスボーン・バンガードの偵察部隊隊長用機。
- ビギナ・ギナ
- クロスボーン・バンガードの次世代指揮官用高機動汎用機。
- ビギナ・ギナII
- クロスボーン・バンガードの次世代指揮官用近接白兵機。
- ビギナ・ゼラ
- クロスボーン・バンガードの次世代指揮官用重火力機。
艦艇・その他兵器 編集
拠点編集
- ブッホ
- ブッホ・コンツェルン所有のスペースコロニー。旧型コロニー2基で構成され、サイド1の辺境、ラグランジュポイントに属さない常に軌道修整を行う必要のある宙域に位置する。クロスボーン・バンガードの前身となった職業訓練校や軍事関連産業を有し、優秀な人材の受け入れを行ってきた。
- 洗濯板
- ブッホコロニーに併設された造船ドック。クロスボーン・バンガードのモビルスーツや艦船を製造しており、兵士の養成も行っている。
- イルルヤンカシュ要塞
- 球状の外観が特徴的な宇宙要塞。第二次オールズモビル戦役時に建造され、完成後はコスモ・バビロニア建国戦争で運用された。
関連用語編集
- ブッホ・ジャンク社
- ブッホ・コンツェルンの前身。企業閥化したコンツェルンの頃も存在している。
- ブッホ・エアロダイナミックス社
- 一応表向きは「航空機産業部門」となっている、ブッホ社の実質的なMS開発部門。
- バーナム
- ブッホ・ジャンク社の私兵組織であり、C.Vの前身にあたる。
- ロナ家
- 旧欧州に有った名門家系でシャルンホルスト・ブッホが、ロナ家の家名を買い取った。
- コスモ・クルス教団
- コスモ・バビロニアを掌握する為の宗教団体。ニュータイプ至上主義を広めている。
- ラフレシア・プロジェクト
- 過剰人口を抑制する為に実施された計画。カロッゾがその一員となってからは過剰人口を抑制するための大量虐殺兵器を開発した。その実態はカロッゾとその側近の数人しか知らない。
- 宇宙海賊クロスボーン・バンガード
- コスモ・バビロニア建国戦争後、ベラ・ロナによって対木星帝国組織として再結成されたクロスボーン・バンガード。
リンク編集
脚注編集
- ↑ カロッゾ・ロナによるコスモ・バビロニア宣言以降はコスモ・バビロニア国軍にそのまま移行している。
- ↑ これは、連邦軍の実情を目の当たりにさせ、貴族主義思想をより強固なものとする側面があった。ザビーネ・シャルも、連邦軍での従軍経験を持つ。
- ↑ アナハイム・エレクトロニクス社との裏取引、第二次オールズモビル戦役におけるオールズモビルへの支援もその一環であった。