機動戦士Ζガンダム(Mobile Suit Zeta Gundam)
概要
シリーズ2作目。
後に劇場版が制作された。
ファーストガンダムのガンプラが成功を得たバンダイがメインスポンサーとなった最初のガンダム。(ファーストガンダムのメインスポンサーだったクローバーは倒産。)既に劇場三部作の上映が終わっており、ガンプラの売上げが落ち始めていたため、バンダイからの企画により製作が決定した。なお富野監督は子供向けに製作し青年層にヒットしてしまったファーストガンダムは、アニメらしさを損なったアニメという見方だったため当初続編製作は否定的だった。
こうした背景からバンダイの意向が強く働くガンダム作品の中でも特に際立っており、製作期間が十分にあったにも関わらずバンダイの意向と合わず主人公機のデザインがなかなか決定しなかったこともその一例である。結果的に初代のマイナーチェンジであるマーク2を登場させたが、この出来事からガンダムのお約束の一つである「主人公の乗り換え」が生まれた。
1作目よりも複雑な勢力構造や理不尽な現実を描く作風になっており、そうした世界の流れに翻弄され悲運の最期を遂げる登場人物も少なくない。戦争におけるシビアな面を描いている。 ニュータイプ論は前作よりもスポットが当たり、主人公のカミーユをはじめ多くのニュータイプと人工ニュータイプである強化人間も登場、概念の扱いが本格化した。一方でニュータイプ能力と感応したΖガンダムの「身体を通して出る力」は(発生する設定が存在するとは言え)リアルロボットにはあるまじき超常現象であり、一部製作者からは「やりすぎた。」との声も挙がるなど扱いの難しさも露呈した。
平均視聴率やガンプラの売れ行きは好成績を収めたものの、バンダイが求める水準には至らなかった。主な原因として、ストーリー複雑化や全体的に暗い雰囲気による子供離れ、MS構造の複雑化により一目で敵か味方か判別しにくいこと、ガンプラの価格高騰が挙げられている。これにより次回作のガンダムΖΖでは明るく分かりやすいガンダムへの方針転換を図られることとなる。
当時こそ旧来のファンには一部敬遠されたが、後に続くガンダムシリーズの基礎を築いた本作は多くのファンの支持を集め、20世紀のリアルロボットアニメのスタンダードを盤石化させた。
あらすじ
サイド3の独立宣言に端を発した地球連邦とジオン公国の武力衝突(一年戦争)は、連邦の勝利で幕を閉じた。
スペースノイドの反乱を恐れた連邦軍は、公国軍残党の討伐を名目に治安部隊「ティターンズ」を組織、スペースノイドに対する締め付けを厳しくしていった。
ティターンズのともすれば人道を無視した過激な活動は、スペースノイドのみならず一部の連邦軍人の反発をも招き、彼等は反連邦組織「エゥーゴ」を結成、ティターンズに対抗する。そしてそのメンバーの中には、かつての「赤い彗星」シャア・アズナブルの姿があった……。
登場人物
エゥーゴ
- カミーユ・ビダン
- 主人公。サイド7「グリーン・オアシス」のグリーン・ノア1に住む少年。すぐキレる。
ティターンズへの反感から新型モビルスーツ「ガンダムMk-II」を強奪し、エゥーゴに参加。後にΖガンダムに搭乗。 - クワトロ・バジーナ
- 連邦軍大尉でエゥーゴの一員。実は元ジオンのエースパイロット、シャア・アズナブルことキャスバル・レム・ダイクン。
- エマ・シーン
- 元々はティターンズの一員だったが、ティターンズが行った虐殺を知ったことをきっかけで離れ、ガンダムMk-IIごとエゥーゴに参加。
- ファ・ユイリィ
- カミーユの幼馴染。Mk-II強奪事件に巻き込まれてエゥーゴでパイロットとしての訓練を受けることになる。
- カツ・コバヤシ
- 一年戦争後、ハヤト夫妻に引き取られたカツ・ハウィン。エゥーゴ参加後はGディフェンサーのパイロットを務める。
- レコア・ロンド
- エゥーゴには初期から参加していた。クワトロとの感情のもつれからティターンズのシロッコのもとに身を投じることになる。
- ブライト・ノア
- 一年戦争の英雄の一人だったが、左遷され連絡船の船長となっていた。後にエゥーゴに参加。
- ヘンケン・ベッケナー
- アーガマ艦長。ブライトが艦長に着任してからはラーディッシュの艦長に。エマといい雰囲気になっていったのだが……?
- アポリー・ベイ
- クワトロの部下。一年戦争を生き抜いたベテランパイロット。アーガマのムードメーカー的存在。
- ロベルト
- クワトロの部下。アポリーの同僚で、同じく一年戦争を生き抜いたベテランパイロット。
- アストナージ・メドッソ
- アーガマのメカニックマン。
- トーレス
- アーガマの通信士。カミーユとは喧嘩仲間。
- サエグサ
- アーガマのブリッジクルー。操舵手とナビゲーターを担当している。
- ブレックス・フォーラ
- エゥーゴの指導者。
カラバ
- アムロ・レイ
- 一年戦争の後、「ニュータイプ」の危険性と扱いに手をこまねいていた上層部によって地球で軟禁状態になっていた。カツとフラウの叱咤激励を受け、再び戦場へと戻る。
- ハヤト・コバヤシ
- かつての一年戦争の英雄。戦争博物館の館長になっていた。アウドムラの艦長を務める。
- ベルトーチカ・イルマ
- カラバの一員でジャーナリスト。
ティターンズ
- ジェリド・メサ
- カミーユのライバルポジション。カミーユがエゥーゴ入りするきっかけを作り、戦いの中で互いに確執を深めていく。
- パプテマス・シロッコ
- 木星帰りの男でニュータイプ。メッサーラを始めとする何機かのモビルスーツの設計・開発をしている。
- フォウ・ムラサメ
- ニュータイプ研究機関であるムラサメ研究所の4番目の強化人間。強化によって過去の記憶を失っている。ホンコン・シティで出会ったカミーユと惹かれ合う。
- ロザミア・バダム
- オーガスタ研究所の強化人間。家族をジオンのコロニー落としによって失っている。コロニーが落ちる光景を「空が落ちる」と形容している。
- カクリコン・カクーラー
- ジェリドの同僚。
- マウアー・ファラオ
- ジェリドのパートナー。ジャブローで彼を助けて以降、彼を献身的に支える。
- サラ・ザビアロフ
- ニュータイプ候補生。シロッコに心酔している。
- ヤザン・ゲーブル
- オールドタイプでありながら、カミーユ達を追い詰める程の腕前を持つパイロット。
- ラムサス・ハサ
- ヤザンの部下。
- ダンケル・クーパー
- ヤザンの部下。
- ジャミトフ・ハイマン
- ティターンズの創始者。
- バスク・オム
- ティターンズの実戦指揮官。一年戦争時の負傷により視力が極端に低下したため、常に水中眼鏡似のゴーグルを着用している。ティターンズにおける過激派。
- ベン・ウッダー
- スードリの艦長。
地球連邦軍
- ライラ・ミラ・ライラ
- ガルバルディβのパイロット。ジェリドの師匠的な存在で、彼に宇宙戦における戦闘技術を教えた。
- ブラン・ブルターク
- アッシマーのパイロット。アッシマーの性能を遺憾なく発揮し、カミーユ達を苦戦させた。
アクシズ
- ハマーン・カーン
- ミネバを擁立してアクシズをまとめる事実上の指導者。
- ミネバ・ラオ・ザビ
- ドズル・ザビの一人娘。ザビ家唯一の生き残り。小惑星アクシズの主だが、幼少でもあり実権は摂政のハマーンが握っている。
民間人・その他
登場メカ
エゥーゴ/カラバ
モビルスーツ・支援機
艦船
航空機
ティターンズ/地球連邦軍
モビルスーツ・モビルアーマー
- ジム・クゥエル
- ジム・スナイパーカスタム
- ジム・キャノン
- ガンタンクII
- ガンキャノン重装型
- ザク強行偵察型
- ザクキャノン
- ザク・マリンタイプ
- ザクタンク
- グフ飛行試験型
- アクト・ザク
- ハイザック
- ハイザック・カスタム
- ジムII
- ガルバルディβ
- マラサイ
- アッシマー
- ギャプラン
- ガブスレイ
- バイアラン
- ハンブラビ
- バーザム
- バウンド・ドック
- サイコガンダム
- サイコガンダムMk-II
- メッサーラ
- パラス・アテネ
- ボリノーク・サマーン
- ジ・O
艦船
航空機
アクシズ
モビルスーツ
艦船
組織
- エゥーゴ
- ティターンズに対する反発を理由に地球連邦軍内部から発足した軍事組織。「A.E.U.G.(反地球連邦政府)」と表記する。
- ティターンズ
- ジオン軍残党の掃討を目的に組織されたアースノイド中心の精鋭特殊部隊。ティターンズによる地球圏統一を真の目的としており「地球至上主義」を掲げている。スペースノイドに対する過激な弾圧を行っており、その事がエゥーゴなどの反地球連邦組織を生むことに繋がった。設立の経緯は後に「機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY」の最後で語られる。
- アクシズ
- アステロイドベルトにある小惑星アクシズに逃げ延びたジオン残党が、ザビ家の生き残りミネバを擁して地球圏に移動してきた。ティターンズとエゥーゴの紛争に介入する。
- カラバ
- 地上での反ティターンズ組織。地上でエゥーゴの支援を行っている。ホンコンシティの資産家をパトロンに活動しているらしい。所謂私兵かもしれない、謂わば官民癒着か。
商品情報
機動戦士Ζガンダム A New Translation―Legend of Z―
劇場版Ζガンダムの集大成が遂に登場!!大胆かつ繊細な編集で再構成され、新たな物語に生まれ変わった劇場版「Ζガンダム」。その全三部のストーリー解説を中心に、上映時間の関係で劇場版では詳しく触れられなかった「Ζの世界観」や「物語上では描かれなかった設定」などを紹介し、奥深い「Ζガンダム」という物語をより深く楽しむための作品解説書が遂に登場。設定資料集から、富野由悠季監督と豪華ゲストの対談を通じ、劇場版Ζガンダムが語りたかった事―その全てが今、ここに!!