ザクキャノン
外国語表記 Zaku Cannon
登場作品
デザイナー 大河原邦男
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スペック
分類 陸戦用量産型モビルスーツ
型式番号
  • MS-06J-12 (試作ナンバー)
  • MS-06K (変更後)[1]
頭頂高 17.7m
全高 18.4m
本体重量 59.1t
全備重量 83.2t
主動力 熱核融合炉
ジェネレーター出力 976kW
スラスター総推力 41,000kg
装甲材質 超硬スチール合金
センサー有効半径 4,400m
開発組織 ジオニック社
開発拠点 キャリフォルニアベース
所属
母艦 ハリオ (連邦軍機)
主なパイロット
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概要 編集

ザクIIJ型をベースに、バックパックに180ミリキャノン砲を装備した機体。ジオン公国軍の地球降下作戦に際し、より機動性の高い対空防御手段として考案された。

当初はザクIIにオプションとして対空砲を換装する予定で開発が進められていたが、重量バランスなどの問題を解決する事ができず、また対モビルスーツ戦用の火器として満足のゆく装備ではなかったため、順延されていた計画の内容は途中変更を経て地上戦用の中距離支援型へと生まれ変わった。これは、MS兵器主体による占領区の拡大における対空防御から、地球連邦軍ガンキャノン出現による大幅な使用目的の変更を余儀なくされたためでもある。

ザクキャノンはモノアイを全周式に改め、右肩に180ミリキャノン砲が1門セットされた。これは、基部のバックパックに一体化しており、換装すれば元のJ型と同様に扱う事が可能であった。また、脚部にはグフのノウハウを活かして補助推進機が装備され、機動力を補っている。

キャリフォルニアベースで試作型(MS-01J-12。後にMS-06Kに名称変更)として1号機がロールアウトし、最終的には合計で9機[2]が製作され、実用評価の為、全機が北米にて実戦参加している。編成された部隊は、都合3箇所を順に移動し、最初は北米西南部で、連邦・ジオンの地上部隊が近接しあう激戦区への投入で、主にザクIIJ型で編成された部隊の支援部隊として使用された。一応特殊編成のため、独立した形でこの部隊には指揮権が与えられ、その際隊長機に搭乗したのがイアン・グレーデン中尉であった。ほぼ好勢であった時期に一次テストとしてまずまずの戦果を上げた後、再びキャリフォルニアに戻され、形式的なデータチェックと点検が行われている。その後、武装の追加などの改良を行った後、旧カナダ附近へ移動し、ここで二つの戦闘区域に参戦。終戦直前に連邦軍のMS部隊と交戦している。

同機はジェネレーターを改良したビーム砲装備型も検討されたが、基本設計の枠内での改修に限界があったため、量産化もされぬまま終戦を迎えた。また、特殊テストとしてはJ型ランドセルに換装したノーマルオペレーションテストも行われ、追加推進機の性能もあり、標準兵装装備状態での運動性テストは好成績を残している。但し、コストの差から単なるキャノン砲パックの換装によるデータ収集としてのみこのテストを行っていたとされる。

戦後は連邦軍により接収され、コクピットを全天周囲モニターリニアシートに換装し、背面に宇宙用バーニアをアタッチメントする改修が施された上で運用されている。

バリエーション  編集

1号機
9機のザクキャノンの内、先行してロールアウトした機体。サンドカラーに塗装され、北米中部もしくはアジア西部でのテストが行われる予定だったが、地域変更によりその後ダークグレー系の標準迷彩が施された。
イアン・グレーデン中尉機
頭部アンテナをフロントマウントのダブルタイプ(ラビットタイプ)にした機体。機体にはパーソナルマークの蜘蛛のエンブレムが描かれ、識別帯として黒とダークグレーのストライプが描かれた。戦闘地域の違いにより、標準迷彩はグレーの他、森林帯用のダークグリーンが施されていた。
連邦軍仕様
一年戦争後、地球連邦軍に接収された機体。紫と青を基調としたカラーリングとなっている。ザクキャノンは陸戦用の機体だが、背面に宇宙用バーニアをアタッチメントして宇宙でも活動出来るよう改造してある。ラビットタイプは隊長機として運用され、外観や武装は従来機と変化はない。
第08MS小隊版
『08』第3話に登場した機体。塹壕から上半身を出し、固定砲台として運用されている。通常の機体と比べて、背部のキャノンの大型化、アンテナのオミット、右肩のシールドを大量のスモークディスチャージャーに変更などの差異が見られる。アジア戦線に投入されている事から『MSV』の機体とは別機体である可能性が高い。

登場作品と操縦者 編集

ムック『劇場版機動戦士ガンダム アニメグラフブック』
ここで初めてメディアに露出した。『機動戦士ガンダム』の『劇場版I』公開直後に誌上に湿地戦用ザク、水中用ザク (ザク・マリンタイプ)、砂漠戦用ザク (ザク・デザートタイプ)と共に掲載された。後に下記の『MSV』にそのままのデザインで採用されている。
MSV
出典作品。上記のムック本からさらに設定が追加された。試作機9機が北米戦線に投入されている。
機動戦士Ζガンダム
映像作品では初登場。第11話に連邦軍機がハリオの艦載機として登場した。しかし、メッサーラで出撃するシロッコが本機の出撃を拒否。「こんな旧式を使うことはないだろう?」と邪険に扱われてしまう。第35話のキリマンジャロ基地にも一瞬だけ登場しているが、直後に撃墜されている。
機動戦士ガンダム 第08MS小隊
第3話に08版が登場。基地のトーチカ群と共に08小隊に砲撃を浴びせ、前進を阻んだが、08小隊が攻勢に転じたシーンにおいて、カレン陸戦型ガンダムが放ったミサイル・ランチャーの1発が命中したのが遠目で確認できる。
MSV-R
新たにガトリング砲装備型が設定され、「月刊ガンダムエース」2012年9月号掲載のVol.41でザクハーフキャノンと共に機体解説が行われた。解説文は元のザクキャノンに関するものであり、ガトリング砲を装備した機体に関する詳細な解説は無い。同コーナーでは「大戦末期の北アメリカ方面のジオン空軍の中規模航空施設で撮影された1枚」という体裁の挿絵が掲載されており、基地を空爆する連邦軍航空部隊に対しハーフザクキャノンと共に迎撃にあたる本機の姿が描かれている。
機動戦士ガンダムUC
小説第7巻にジオン残党キャンドルの機体、OVA版episode 4に残党軍の一般機が登場。なお、トリントン基地襲撃時に初登場したタイミングでカークスが出した指示の中に『キャンドル』の名前があるが、トリントン襲撃に参加したザクキャノンがキャンドル機かは不明。
機動戦士ガンダムUC バンデシネ
機動戦士Ζガンダム外伝 審判のメイス
ティターンズ時代のアイリス・アリスンの搭乗機として登場。キリマンジャロ基地の防衛戦力として配備されていたが、ヨーン・ユルヤナワグテイルIIexと交戦中にサイコガンダムの無差別攻撃によって戦闘不能となった。
機動戦士ガンダムUC 『袖付き』の機付長は詩詠う
7、8話で海賊側のMSとして登場。回収したジオン残党軍機の可能性が高い。
MSD
脚部以外はほぼ同じ外見を持つ試作機ザク・キャノン テストタイプが設定されている。しかし、その後の開発が進展しなかったため、『THE ORIGIN』の世界観では本機が存在していない事になっている。
機動戦士ガンダム バトルオペレーション Code Fairy
ゲーム版第6話からイアン機が部隊を率いて登場。イベントムービーでは砲撃機で俊敏な動きを見せるなど、エースの手腕を見せた。以降、グレートキャニオンキャルフォルニア・ベースケープカナベラル基地で度々ノイジー・フェアリー隊と共闘している。

装備・機能 編集

特殊機能  編集

換装
ランドセルをザクIIJ型の物に換装する事が可能。これによりJ型と同様の運用が可能となっている。ただし、コスト差から単なるキャノン砲パックの換装によるデータ収集を行ったのみで、実戦で使用された事はない。

武装・必殺攻撃 編集

180mmキャノン砲
本機の主武装。背部バックパックに一体化する形で1門装備されている。
ジェネレーターを改良したビーム砲装備型も検討されていたが、基本設計の枠内での改修に限界があったため、実現はしていない。
120mmガトリング砲
キャノン砲を換装して装備する6砲身のガトリング砲。
2連装スモーク・ディスチャージャー
ランドセルの左側に装備されている煙幕発射管。08版では右肩に8発装備。
ビッグ・ガン
背部ランドセル下部にセットされる2連装ロケット弾ポッド。カセットストラップセットによる着脱式。通常は後方を向いているが、戦闘時には両脇から前方へ回して発射する。バズーカ同様弾倉が空になった場合はデッドウェイトとなるため、コクピットからの操作によって瞬時にパージされる。
緊急時にはストラップを爆破しての除装も可能だった。ただし、戦闘状況が白兵戦レベルにまで近接していない場合や、地形的に余裕のある場合は支援機によるリロードが行われる。

その他  編集

ザク・マシンガン (ZMP-50D)
ザクIIの標準装備。
『UC』で使用。『バンデシネ』では、ザクIの物を使用。
MMP-80マシンガン
従来のザク・マシンガンに代わる携行武装。口径は90mm。

対決・名場面 編集

関連機体 編集

ザクII
原型機。
ザク・ハーフキャノン
本機のランドセルをオプション化し、ザクIIJ型に装着した機体。
ザク・キャノン テストタイプ
『MSD』において設定された本機の試作機。

商品情報 編集

リンク 編集

脚注 編集

  1. 型式番号の「K」はドイツ語の「Kanone(大砲)」から来ている。「K」ではなく「J-12」にするアイデアもあったが、煩雑すぎるという理由で却下されたとの事(書籍「MSV THE FIRST」内、小田雅弘氏のコメンタリーより)。
  2. MSVでの設定。