デギン・ソド・ザビ

デギン・ソド・ザビ
外国語表記 Degwin Sodo Zabi
登場作品
声優 永井一郎 (TV版)
藤本譲 (劇場版I)
柴田秀勝 (劇場版III)
浦山迅 (THE ORIGIN)
松山鷹志 (ガンダムさん)
デザイナー 安彦良和
テンプレートを表示
プロフィール
種族 人間 (スペースノイド)
性別
生年月日 宇宙世紀0017年
年齢 62歳
没年月日 宇宙世紀0079年12月30日
身長 170cm
職業 ジオン共和国首相 ⇒ ジオン公国公王
所属 ジオン共和国ジオン公国
主な搭乗機 グレート・デギン
テンプレートを表示

概要 編集

ザビ家家長にして、ジオン公国公王。かつて盟友ジオン・ズム・ダイクンと共にジオン共和国設立に尽力した功労者。

ジオン共和国宣言時には連邦軍駐留部隊の切り崩しに尽力し宇宙世紀0062年にジオン国防隊を正式に国軍へと昇格させるなどの軍事拡張路線を取った。また、辣腕家として知られ、宇宙資本系の統合企業体と結びプロジェクト・アクシズ[1]と呼ばれるアステロイドベルトの開発計画を実行しており、この計画により得られたサイド3内部の資本家たちの支援は、公王制の基盤を確立するために用いられた。

その後、ダイクンが病に倒れると彼から次期首相に指名され、ダイクン死後はダイクン派を粛清して国家の全権を掌握、ジオン公国として公王制を敷き、独裁体制を固めた。

しかし、妻ナルスが末子ガルマを出産した際に死亡したことで精神的な支えを失い、次男サスロの暗殺から次第に憔悴し、成り上がりを遂げた後の虚無感に襲われるようになると、全権を子供たちに譲り、政治の表舞台から身を引いた。

一年戦争はあくまでジオン公国を地球連邦と対等な関係の独立国家としての主権を認めさせるための手段として見ていたが、過激化していくギレンの行動を抑えることが出来ず、次第にギレンからも邪魔者として扱われるようになる。そして、ガルマの死後、その死を政治的に利用しようとするギレンと対立するようになり、三男ドズルを失ったことを契機として地球連邦との講和を強行。座乗艦「グレート・デギン」に乗り込みレビル艦隊と接触するが、ギレンの放ったソーラ・レイによって命を落とした。

登場作品と役柄 編集

機動戦士ガンダム
初登場作品。ジオン公国の公王で、主人公の敵対勢力のトップとして登場するが、実質的には隠居した状態であり、全権は長男ギレンが掌握していた。
機動戦士ガンダム 第08MS小隊
直接の登場はしないが、アプサラス計画を認可し、その後ろ盾となったことが語られている。
機動戦士ガンダム THE ORIGIN
TV版より厚い描写がされており、血気盛んな子供たちを諫めることが多かった。過激なギレンのやり方を快く思っておらず、TV版よりも穏健的で思慮深く描かれている。本作では宇宙移民の主権を得るためには戦争すら厭わないとする姿勢を見せたのはダイクンであり、デギンはむしろ穏健派といった印象を与えている。そのため、ルウム戦役で捕虜となったレビルと会談した際には早期平和を持ちかけているものの、彼が「ジオンに兵なし」の演説を行ったことには激怒している。
機動戦士ガンダム MSV-R 宇宙世紀英雄伝説 虹霓のシン・マツナガ
孫娘ミネバの生誕祭に参加するためソロモンへ入港。式典の終了後、連邦軍のアンタレス作戦の襲撃を受けるが、座乗艦のグレート・デギンと共にソロモンから出港している。
機動戦士Gundam GQuuuuuuX
戦後すぐに死去したことが語られており、ギレンの手による暗殺が示唆されている。彼の葬儀の後、ギレンとキシリアはお互いに顔を合わせることなく5年の年月を重ねることになった。

人間関係 編集

家族  編集

ナルス・ザビ (ナリス・ザビ)
妻。小説版ガンダムに名前のみ登場。ガルマの出産時に死去したことが語られている。
ギレン・ザビ
長男。その思想や弁舌で煽り立てる手法を好ましくは思っていなかったようだ。
サスロ・ザビ
次男。ダイクン派の襲撃で死亡。
キシリア・ザビ
長女。
ドズル・ザビ
三男。
ガルマ・ザビ
四男。その資質と明るい性格から、次代を担うものとして溺愛していた。『ORIGIN』では普段は傍らに置いて心を砕いていたが、一年戦争開戦時には彼の一喜一憂する姿を『幼い』と評して軍人や戦争の心構えを説いた。

その他  編集

ジオン・ズム・ダイクン
連邦からの独立の盟友。しかしその後対立を深めていく。ダイクンの急死をデギンによる暗殺と見る説がなかば公然と語られるほど。
ギニアス・サハリン
ジオン公国軍技術少将。一年戦争時点で既に隠居している身であったものの彼の提案したアプサラス計画を裁可している。
レビル
地球連邦軍指揮官。一年戦争終盤に彼との和平会談に臨むが、ギレンの放ったソーラ・レイによって諸共吹き飛ばされた。

名台詞 編集

機動戦士ガンダム  編集

「私ごときを次期首相にと?」
死の床のダイクンに指差されて曰く。シャア・アズナブルによる回想するシーンに登場。
「貴公はそのヒトラーの尻尾だな」
既に疎開を開始し、ソーラ・レイへの改装を開始しているソーラ・レイ建造計画を決裁するサインを迫るギレンに向かって。

THE ORIGIN 編集

「焚きつけるだけではいかん…そろそろ鎮めねば」
「それでもいかん、連邦に…つまらん口実を与える」
ジオン・ダイクンの死とサスロ・ザビの暗殺によって世間の非難は政敵であったラル家へと向いた。これは(おそらくは)ギレンの手腕によるものだが、加熱した市民は暴徒へと変貌しつつあった。
デギンは政敵を追い落とした「先」をすでに見据えており、政治家としての視野の広さが伺える。
「ギレンよ、お前もすこしは『腹芸』を身に着けんとな」
ランバ・ラルの人望の厚さを褒めたあとに。デギンは敵を叩き潰すだけでなく、味方に引き入れるような立ち回りをの必要性を説いた。
政敵を追い落としても「敵」がいなくなっただけで自分たちの立場が強固になる(≒味方が増える)わけではない。あえて敵を味方に引き入れることで周囲に懐の広さを示し、信頼といった無形のものを手に入れることも可能になる。結果的にはそれが得になるのだ、という政治家らしい一言。
これにはギレンも思わず言葉に詰まらせた。
「作ってやれ、逃げ道を。寛容になれるのも勝者の特権だ」
勝負が決したところで手を引く「落とし所」の付け方を示してみせる。徹底的にやればそれだけ反感も買いかねない。ダイクン家やラル家への寛容な姿勢を見せれば大衆はそれでザビ家を「勝者」とみなす。古来日本でも城攻めをする際には完全包囲をせず1箇所だけ逃げ道を作り、三国志では馬謖が「用兵の道は心を攻むるを上となし、城を攻むるを下となす」と語っている。こうした押し引きの妙はやはり「ジオンの右腕」と呼ばれただけの傑物の一端か。
「そういうことを言って誤ったのだ!ナポレオンも、ヒトラーも!」
ルウム会戦での大勝利を持って地球連邦との早期停戦の締結を提起したデギンの案に「今後も勝ち続けて自分たちの一番いいところで停戦する」というギレンに対して。まさに歴史は繰り返す……。
「あれは鬼になった…ダイクンの無念が悪魔に変じて、あれに憑いたのだ。あれはこの国を…わが一族をも滅ぼす…」
まさしくデギンの慧眼。結局、止まれずにどこまでも行ってしまったギレンによって最終的にザビ家ジオン公国は破滅を迎えることになる。
興味深いのは、ギレンの扇動的で強行的な姿を「ジオンが憑いた」と評しており、むしろデギンはジオン・ダイクンのブレーキ役であったような描写がなされていること。ORIGINでのジオン・ダイクンはナルシスティックな理想論者として描かれており、デギンが戦争を抑えようとしたが周囲の狂乱によって破滅へと突き進んでいったような、TV版と全く正反対の表現になっている。

搭乗機体・関連機体 編集

グワジン級 (グレート・デギン)
座乗艦。

資料リンク 編集

リンク 編集

脚注 編集

  1. この計画は同名の小惑星基地の開発に留まらず、アステロイドベルトにおける複数の小惑星の採掘とサイド3への牽引、木星開発公社と結んでの独自のヘリウム船団の編成、火星開発を目的とした、外宇宙全域にジオンの後方領域を確立するものであった。