デルタガンダム

デルタガンダム
外国語表記 Delta Gundam
登場作品
デザイナー カトキハジメ
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スペック
開発コード δガンダム
分類 試作型可変モビルスーツ
型式番号 MSN-001
主動力 熱核融合炉
開発組織 アナハイム・エレクトロニクス社
主なパイロット クワトロ・バジーナ (シミュレーションデータ)
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概要編集

アナハイム・エレクトロニクス社Ζ計画の一環として設計した試作型可変モビルスーツ百式が本来目指していた仕様である。

モビルスーツ開発史において、可変MSの開発は困難を極め、人型を基点とした変形機構を実現するためには既存技術の延長だけでなく、根本的なイノベーションが求められていた。結果的にムーバブルフレーム技術の確立によって光明は見出され、アナハイムが開発したΖガンダムという傑作機が誕生することになる。しかし、そこに行き着くまでの過程には多くの試作機が存在しており、百式もそういった試作機の内の一機であった。同機は当初可変機として開発が進められていたが、変形時のフレーム強度問題により可変機構がオミットされた経緯を持つ。実戦に投入された百式は高速戦闘用MSとして非凡な才能を発揮し、独自の発展機を生み出すことになったが、これは本来目指した仕様が当時の技術レベルでは実現しなかったものの、設計時点での完成度が極めて高かった証左でもある。

デルタガンダムは、開発に携わった技術者の弁によればΖガンダムと比較してもなんら遜色のない想定数値を叩き出していたと言われており、ウェイブライダー形態へ変形することにより単体での全領域到達を可能としながら、徹底的な軽量化による高機動性を獲得。装甲には百式にも採用された耐ビーム・コーティング特性を持つ金色のエマルジョン塗装が施されている。

デルタガンダムのウェイブ・ライダー形態には旧世紀の航空機カテゴリーでいうところのマルチロールファイターと同等か、それ以上のスペックが求められており、背部に装備されたフレキシブルバインダーも、空力特性に優れた可変翼として機能し、大気圏内での飛行能力を大幅に高めている。これはMS形態でも独立した背部可動ユニットとなって機体の運動性を向上させる効果があり、非可変機として仕様変更された百式にも継続して備えられている。

しかし、可変構造に欠陥が発見されたため、可変MSとしての開発は中断[1]グリプス戦役においては非可変機に再設計し百式としてロールアウトすることとなった。当時の技術力では完成に至らなかったデルタガンダムだが、後に本機の設計データを基としたデルタプラスが開発されており、基本設計の古さを全く感じさせない性能を内外に示している。

登場作品と操縦者編集

ガンダムMSグラフィカ
初出である書籍。カトキハジメ氏によりMSグラフィカ用に機体デザインが描き下ろされ、誌上にCGモデルの画像が掲載されている。実機は製造されておらず、兵器マニアのファンサイトにて検索された画像のみが存在しているとされる。装備はプロトΖガンダムの要素などを盛り込んだ上でデザインされているため、形状が同機の物と類似している。書籍「機動戦士ガンダムUC カトキハジメ メカニカルアーカイブス」での同氏の解説によると「ちょうど『ガンダムUC』の企画の直前に描いたので、δプラスを思いつくきっかけになりました」との事。
機動戦士ガンダムUC
発展機であるデルタプラスの設定に伴い、機体設定が正式に創作された。コンピューター・シミュレーションデータのみで実機は開発されていない可能性もあるという設定であり、以降、PS3版『UC』やUC外伝作品などで戦闘シミュレーション上のデータとして登場するようになる。
機動戦士ガンダムUC テスタメント
「デルタの鼓動」にて登場。シミュレーション内での戦闘においてハイザックジムIIを圧倒していた。同話はデルタガンダム視点で系列機の解説が行われるというスタンスを取っており、本機の一人称は「わたし」となっている。
機動戦士ガンダムUC MSV 楔
第4話にて登場。リディ・マーセナスデルタプラスで戦闘シミュレーションを行った際、クワトロ・バジーナの操縦データを反映させた本機が仮想敵機として登場している。内容からして、上記PS3版『UC』の限定ミッション「vs デルタガンダム&クワトロ・バジーナ」を基にしたものと思われる。
UC-MSV
上記UC外伝作品への登場に伴い、UC-MSV枠に追加された。主にこれが出典元となる。
アナハイム・ラボラトリー・ログ
第5回第3話にて開発経緯が語られた。ニュータイプ研究所アクシズに可変機の開発で先を越されたエゥーゴはAE社に本格的な開発を依頼し、
大きく分けて
「MS形態での頭頂高が20m以下であること」
「変形所要時間は0.5秒以内」
「宇宙、地上を問わずに運用可能な機体であること」
「ノンオプションで単独大気圏突入が可能なこと」
の4つの課題を提示。
AE社はM・ナガノ博士を招聘し可変MS開発計画「Δプロジェクト」を本格始動させた。可変MS開発のノウハウが無いため、デラーズ紛争時以降、公に出来ない開発技術と資料の中から変形機構が搭載されたMSと連動運用された宇宙戦闘機の極秘データを基に検証を実施。本機の可変機構はCAD-CAMシステム上では実現できたものの、実機の製作にとりかかるとセミ・モノコック構造に一部フレームを採用する技術だけでは強度的に無理がある事が判明。可変機の実用化には別の方法が模索される事となり、本機は可変機構を取り去り百式として再生した。しかし、実質的には可変機構を実現できなかった事から、Δプロジェクトは「失敗」という烙印を押される結果となってしまった。

装備・機能編集

特殊機能編集

耐ビームコーティング
全身に施された金色の耐ビームコーティング。効果の程は不明だが、百式の物と同一の物と思われる。
変形
ウェイブライダー形態に変形可能。ただし、本機は可変構造の欠陥により非変形機として仕様変更されることになった。

武装・必殺攻撃編集

60mmバルカン砲
頭部に2門内蔵している。牽制での使用が主目的だが、パイロットの技量次第ではそれ以上の効果も期待できる。
ビーム・ライフル
本機の主兵装。可変機用に用意された物で銃身が長く、高い出力を実現しつつ射程距離にも優れている。
試験的にデュアルサプライシステムを採用しており、そのため銃身の下部にガンダムMk-II用、後部に百式用のEパックが装着されている。2系統のメガ粒子キャパシタを組み合わせたビームドライブ機構を併用できるようになっていて、一発で全エネルギーを使い切るような運用も可能なように造られている。
後にガンダムMk-IIIプロトΖガンダムにも採用された。
シールド
左腕部に装備されているシールド。本体と同様に耐ビームコーティングが施されており、ウェイブライダー形態時には機首となる。先端部にセンサーが内蔵されており、防御用としてよりも変形用のサブユニットとしての意味合いが強い。これは後に開発されたデルタプラスにも形状は異なるが同様の仕様として採用されている。
ビーム・サーベル
シールド裏側に2基マウントされている近接用装備。マウント状態ではビーム・ガンとしても使用可能。これらの概念は後のΖガンダムにも引き継がれ、実戦で効果的に運用されている。

対決・名場面編集

関連機体編集

系列機・派生機 編集

デルタガンダム弐号機
シャア・アズナブル用に赤く塗装された機体。軽量化などの改修が成されている。
百式
再設計機。
デルタプラス
百式からデルタガンダムまで設計を差し戻した上で開発された量産試作機。
デルタザイン
デルタプラスの改修機。機体外装はかつて設計段階で凍結された幻の機体のデータを使用した規格外品を用いているという設定で、機体の外見は本機に酷似している。
ガンダムデルタカイ
デルタガンダムとデルタプラスのデータを使って造られた試作機。
エプシィガンダム
一部資料で本機の元となった機体とされている。

その他 編集

百万式
ガンダムビルドファイターズトライ』に登場するガンプラ。デルタガンダムをベースに改造しているが、造形はほぼ百式に近く、単独での変形機構がオミットされている。
煌式
百万式を改修した機体。バックパックが百式型に変更され、カラーリングも金色に変更される等、ほぼ百式と同一の容姿に改修されている。

商品情報編集

ガンプラ編集

書籍 編集

リンク編集

脚注編集

  1. 初期の要求性能がΖガンダムよりも過酷であった事も、可変機としての完成が放棄された理由の一つであるとされる。