フォーミュラ計画

フォーミュラ計画(Formula Project) 編集

サナリィモビルスーツ開発計画。本計画で開発された機体は「Fシリーズ(フォーミュラシリーズ)」と呼ばれる。

MSは一年戦争当時、宇宙、陸、海のあらゆる環境下で他の兵器システムを駆逐するほどの成功を収めた。しかし、あまりの成功が「空間歩兵の延長線にある汎用人型兵器」という当初の概念を万能決戦兵器に変貌させていった。MSシステムは既にグリプス戦役時点で完成の域に達しており、幾多の改良を経て洗練こそされているが基本的にRX-178より進歩している訳ではなかったが、「万能化による改良」は多岐にわたり、これにより多くの高性能MSが誕生したが、この改良が相互に関連し、MSをダルマ式に大きく重く複雑にしていくことになった[1]

MSを中心戦力とする地球連邦軍にとり、MSの大型化は新機種の採用ごとに全ての戦略システム(弾薬や推進剤の増大、カタパルトなど運用補機類の大型化など)を作り変えることを意味していた。これは搭載艦艇や補給艦艇の大型化を促し、ひいてはバックヤードなどの建艦艇施設更新のために膨大な設備投資が必要となり、加えて乗員の増加による人事、教育面まで影響を及ぼしていた。この事実は軍全体の人、物相互の運用コストを著しく増加させ、戦後復興期における連邦経営を硬直させた遠因にもなった。

宇宙世紀0100年以降、サナリィは連邦軍のこの状況を是正する目的で、地球連邦政府に対してモビルスーツの小型化を提言。MSの原点である「汎用人型兵器」に立ち返る新しい形式を構築すると同時に、多分に政治的な理由からMSの開発事業をアナハイム・エレクトロニクス社から軍主導のものへと回帰させることが決定した。

これを受けてアナハイム・エレクトロニクス社ジェガンを小型化したヘビーガンをロールアウトさせるが、ヘビーガンの性能はサナリィの要求を満たす物ではなく[2]、これに不満を抱いたサナリィが連邦議会の承認を得てスタートさせたのが本計画である。

「モビルスーツの小型化」という趣旨の下、高出力を維持しつつ小型軽量のモビルスーツを開発目標としており、マイクロハニカム構造や新型熱核融合炉ヴェスバーなど、様々な新技術が投入されている。

最大の特徴は「ハードポイント」による換装システムであり、大型モビルスーツは多数の内蔵兵装による性能向上を目指していたが、サナリィの小型モビルスーツは素体となる本体に増加パーツを装備する事で機体サイズを抑えつつ機能の拡張を図っている。このハードポイントを最初に採用したのがミッションパックを有する「F90」である。

F90は宇宙世紀0111年にロールアウトし、アナハイムのMSA-120との次期主力コンペで圧勝した事でMS開発のイニシアチブをアナハイムから奪い取り、MS小型化の流れを本格的な物とした。だが、正式採用されたとはいえF90自体は性能検証用のワンメークモデルであり、使い勝手や生産性を改善して量産化する必要があった。また、軍からMSA-120の評価点である瞬発力と耐弾性を取り入れるよう命令されたため、サナリィは軍の意向を満たすべく急遽開発チームを追加編成し、以降も計画を続行。量産を前提としたF7、F8系列機や、F90の後継機となるF91の開発が行われた。

だが、計画を推進していたハウゼリー・ロナが0118年に暗殺されたのを契機として計画推進派はその後ろ盾を失うことになる。更に第一次オールズモビル戦役におけるF90強奪事件が追い打ちとなり、推進派はその殆どが参謀本部内での発言力を失い、軍内で守旧派が復権。これにより、宇宙世紀0120年代の連邦軍は極度な保守化を迎える事になった。

Fシリーズ分類 編集

  • F90シリーズ…主力 (戦闘型)MS
  • F80シリーズ…汎用量産型MS
  • F70シリーズ…支援用MS
  • F60シリーズ…局地戦用格闘型MS (F90、F70シリーズの性能向上により、コードナンバーのみで廃止)
  • F50シリーズ…核融合炉をジェネレータとするAFV型のMS

開発された機体 編集

宇宙世紀0090年代 編集

宇宙世紀0110年代 編集

F90シリーズ 編集

F70シリーズ 編集

F80シリーズ 編集

F50シリーズ 編集

その他  編集

宇宙世紀0120年代 編集

宇宙世紀0130年代 編集

ガンダムF91 編集

クロスボーン・ガンダム(F97) 編集

その他 編集

関連用語 編集

バイオコンピューター
ミノフスキードライブ
サナリィ
シルエットフォーミュラプロジェクト
ATMS計画

リンク 編集

脚注 編集

  1. 複雑なムーバブルフレームは整備能力が不十分になると稼働率の低下を招き、多モード化の補機類や内蔵火器などの重量増加を補うためにより大きな推進系やジェネレーターを搭載したために機体の大型化を招き、大型化した機体の機動性を補うために推力やAMBAC質量の増加が図られ、それによって更に重量が増えるというループに陥っている。
  2. これはアナハイムがMSの小型化に消極的であった事が主な理由であり、この時点で従来機や整備施設などの建造で巨額の利潤を得ていた。