コスモ貴族主義

コスモ貴族主義

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ブッホ・コンツェルン創始者シャンホルスト・ブッホの抱いた考えを、その息子マイッツァー・ロナが継承して完成させた思想。マイッツァーを当主とするロナ家、及びその賛同者の根本思想であり、これを標榜する者は「貴族主義者」とも呼ばれる。

シャンホルストは企業経営とスペースデブリ回収を経て巨万の富を得る代償として人類総体の腐敗と堕落を確信し、人類の欲望に根ざした平等論や自由主義、そして絶対的多数であるはずのスペースノイドの民意が反映されないが故に「絶対民主主義」と揶揄された地球連邦政府は否定されるべきという考えを抱いていた。シャンホルストの考えは苛烈な主張ではあったが同時に潔さを是としており、彼の子供たちに受け継がれると次男マイッツァーによって思想へと昇華され、人類永続のために高貴な精神を持つ者(貴族)による管理統制社会を目指すコスモ貴族主義として完成した。

コスモ貴族主義が語る「貴族」とは、血筋や家柄によるものではなく[1]、「高貴な者の義務(ノブリス・オブリージュ)」を果たす者であり、民衆を守り導く存在と定義されている。この理念は主にクロスボーン・バンガードへの参加という形で体現され、縦構造の階級制の中にあっても組織運営は各自の能力を重視する気風は派閥抗争を排除する効果を生み出した。また、コスモ貴族主義を一般に広めるための宗教団体としてコスモ・クルス教団が存在し、その普及に努めており、教団の教義も貴族主義に準じたものとなっている。

だが、高貴な精神も高い能力も個人の資質に過ぎず、その解釈も主義者によって異なっており、そういった貴族主義者たちをまとめ上げるだけのカリスマ性を備えた「真の意味での貴族」が貴族主義者の中に存在せず、またシステムとして落とし込むことも不可能であった。また、自分から貴族と名乗り出した者も、それが民衆を導くにふさわしいという保障はなく、貴族に従う民衆も絶対民主主義の反動から貴族主義を受け入れたものの、自分に都合のいい人間に責任を転嫁している本質に変わりはなかった。加えて、「堕落の象徴」として打倒を標榜しながら連邦政府との癒着によって力を付けてきたというロナ家の歴史や、血筋や家柄を優先しないとしながらも提唱者であるマイッツァー自身がそれに固執しようとする事実もあって、社会の成り立ちとしては矛盾を孕んだものとなっている。

最終的にロナ家の建国したコスモ・バビロニアは、マイッツァーの直系にあたるベラ・ロナがその主義に異を唱えたことで内部崩壊し終焉を迎えた。しかし、貴族主義を強く信奉する勢力はその後も残っており、彼らは各スペースコロニーへ分散して潜伏。コスモ・クルス教団もその精神的支柱として存続している。

登場作品

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機動戦士ガンダムF91
初登場作品。クロスボーン・バンガードとそれを率いるロナ家の理念として掲げられたが、一方で「貴族」についての解釈は主義者たちの中でも纏まっている訳ではなく、カロッゾ・ロナのようにその理念を曲解してしまう者も生み出すことになった。小説版ではその成立の過程がクロスボーン・バンガードの挙兵に至るまでの経緯と併せて詳細に語られている。
機動戦士クロスボーン・ガンダム
コスモ・バビロニア建国戦争後もその思想は受け継がれており、コスモ・クルスも健在であった。セシリー・フェアチャイルドは木星帝国打倒のため貴族主義者からの援助を受けるべく敢えてベラ・ロナと名乗り、宇宙海賊クロスボーン・バンガードの旗頭となったことが語られている。また、物語後半では「貴族とは血の伝統ではなく自分から言い出すもの」「支配をよしとしない者が最も支配者にふさわしいのならそれを望む者は支配にふさわしくないことになる」など、その思想の矛盾が提示された。
機動戦士クロスボーン・ガンダム DUST
ザンスカール戦争後も貴族主義は継続して信奉されており、サイド4ではコスモ・バビロニアを引き継ぐネオ・コスモ・バビロニアが建国されている他、フロンティアIVではミリオ・ビリオンが地方領主を務めている。
機動戦士クロスボーン・ガンダム LOVE&PIECE
ネオ・コスモ・バビロニアでは世代交代と共に貴族主義も様変わりしており、国家元首であるニル王は「貴族は偉いから市民は言うことをただ黙って聞いておけばいい」との考えでその政治基盤を受け継いだ。だが、代々回りくどい話が苦手なニル王は貴族に逆らう市民もいるために貴族主義をやめたいと内心思っており、彼の娘であるノール・ニルは父のために自身の花婿候補を選ぶ闘技会を開催し、その優勝者に国を譲渡することを提案するが、それが保守派であるトゥー・カークの暴走を招いている。
機動戦士クロスボーン・ガンダム 最初のX
コスモ・バビロニア建国戦争の終焉と共に貴族主義者は各コロニーに潜伏しており、サイド4の40バンチ・ニルは貴族主義者が統治するコロニーとなっていた。コスモ・バビロニアを離脱したザビーネ・シャルもこのコロニーに潜伏しており、彼を訪ねてきたキンケドゥ・ナウとの決闘の中で貴族主義とは何かを自問自答している。

関連人物

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シャンホルスト・ブッホ
マイッツァー・ロナ
ベラ・ロナ

関連用語

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ロナ家
ブッホ・コンツェルン
クロスボーン・バンガード
コスモ・クルス教団

リンク

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脚注

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  1. ↑ 提唱者であるマイッツァー自身も貴族の生まれではなくジャンク屋の家系であり、ロナ家の家名もあくまで購入して得たものに過ぎない。