デスティニーガンダム | |
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外国語表記 | Destiny Gundam |
登場作品 | |
デザイン | 大河原邦男 |
スペック | |
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正式名称 | デスティニー |
分類 | 試作型モビルスーツ |
型式番号 | ZGMF-X42S[1] |
全高 | 18.08m |
重量 | 79.44t |
動力 | ハイパーデュートリオンエンジン |
装甲材質 | ヴァリアブルフェイズシフト装甲 |
開発組織 | ザフト軍 |
所属組織 | ザフト軍 |
所属部隊 | FAITH |
母艦 | ミネルバ |
主なパイロット | シン・アスカ |
概要
プラント最高評議会議長ギルバート・デュランダルの指令により開発されたザフト軍の最新鋭モビルスーツ。
当初の開発コンセプトは、インパルスがシルエットシステムによってなし得ていた多様性を一機に集約する事にあった。そのため、開発はインパルスをベースとしつつフォース、ソード、ブラストの各シルエットを統合した「デスティニーシルエット」の形で開始された。完成したデスティニーインパルスは4機が試作されたが、運用データからインパルスをベースとするよりゼロから新規設計した方がより高性能機になると判断され、開発計画もそちらへとシフトした。
新たなスタートを切ったデスティニーの開発では、開発指令を発したデュランダルから「最高の技術をすべて盛り込む」事が求められた[2]。結果、完成したデスティニーは核エンジンとハイパーデュートリオンエンジンによるハイブリッドシステムを搭載し、更にミラージュコロイド技術を応用した光学残像を形成する分身機構も有している。加えて、D.S.S.Dの独自開発したスターゲイザーに搭載されたヴォワチュール・リュミエールの技術をも転用し[3]、高速移動時には背部のウィングから「光の翼」が出現するという独自の推進システムの構築に成功。更に開発陣はこれら既存の技術の発展転用だけでなく、掌部にビーム砲を搭載するなど、他の機体には見られない独自システムも多数搭載している。これは「モビルスーツによる戦闘運用の新たな想像」であり、デスティニーはそれまでの機体とは全く違う戦闘も可能とする機体となった。
完成した機体はミネルバ所属のエースパイロットシン・アスカに引き渡され、デュランダル自らが引き渡しを行った。引き渡し前にはそれまでのシンの各種戦闘データを参考に機体への大掛かりな再調整・微改造も行われており、この結果、本機は専属パイロットであるシン・アスカが搭乗した時にこそ最強の真価が発揮される事になった。
人体を模した形を持つMSは堅い外装を持つ故に人と同じように動く事が出来ず、戦闘用に特化したマシンとして「銃を撃つ」「剣を振る」など限られた基本動作はほぼ人間と同じように行う事が可能であったが、デスティニーはそうした限られた動作だけでは十分な性能を引き出せない事が設計段階で判明しており、全身のあらゆる箇所に設置されている武装を戦闘中にタイムロスなく使いこなす必要があった。この問題への解決策として、「より人間に近い動きが可能となる機体」として開発されている。採用された技術として、基本構造を細かなパーツに分割し、それぞれを連動させる方式が取られ、関節部においてはフェイズシフト装甲技術を転用した特殊素材が採用された。これは運動に合わせて各部の素材性質を変化させるもので、文字通り柔軟性のある関節を生み出す事が可能となった。しかし、その構造は通常のMSの数倍複雑であり、生産とメンテナンスの面では大きな問題を残す事になった。
本機の脚部は装甲を複数のパーツに分割し、それぞれをフレキシブルにスライドさせる事で広い可動範囲と高い運動性を実現している。これは装甲に隙間を作る事と同義語であり、防御力の低下は避けられないが、ザフト開発陣は専属パイロットであるシン・アスカの戦闘データを解析し、パイロットの運用実績に合わせた可動範囲の設定と装甲分割を行っている。これにより、敵に対する無防備な瞬間を最小限に留めながら最大の機動性を発揮する事が可能となった[4]。
なお、ザフトでは複数のデスティニーとエースパイロットで構成された部隊「コンクルーダーズ」が検討されていたとされる。
登場作品と操縦者
- 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
- 初登場作品。PHASE-35でジブラルタル基地でシン・アスカが受領。多数の地球連合やオーブ軍機を撃墜し、ストライクフリーダムやインフィニットジャスティスとも交戦した。最終決戦となるメサイア攻防戦において、アスランの搭乗するインフィニットジャスティスとの戦闘で大破、機体は月面に不時着し放棄された。
後半の主役機かつ番組タイトルの「デスティニー」を冠するガンダム、と主役機の要素満載だが、記念すべき初陣が軍を脱走したアスランを追跡し撃墜する役回り、上記の通り最終決戦で敗北、OPの番組タイトルバックの出番をストライクフリーダムガンダムに奪われる、などパイロットのシン同様に作中での扱いは不憫なものであった。 - ガンダムビルドファイターズトライ
- 第7話にて区立条冬中学のファイターであるイズナ・シモンの使用するガンプラとして登場。特筆した改造の無い「素組み」の機体であったが、それでも大会常連校の機体を打ち破るほどの凄まじい戦闘力を誇る。
準々決勝ではカミキ・セカイの駆るビルドバーニングガンダムと壮絶な肉弾戦を繰り広げた。 - ガンダムEXA VS
- C.E.世界でアル・アダが搭乗し、デストロイガンダムや時間稼ぎに来たGダイバーの搭乗するXアストレイと交戦し撃破した。
装備・機能
特殊能力
- ヴァリアブルフェイズシフト装甲
- フェイズシフト装甲を改良した相転移装甲。装甲に掛ける電圧を調整できるようになった結果、エネルギー消費の効率化を図っている。
また、関節部にはPS装甲技術を転用した特殊素材が採用され、運動に合わせて関節部の素材性質を変化させる事で関節に高い柔軟性を生み出している。 - ウイングユニット
- 背部ウイングユニットはメインスラスターを中心に左右対称に配置され、大型パーツの内部に小型ウイングが収納されてており、展開すると合計十基のウイングとなる。
ヴォワチュール・リュミエールの技術が転用されており、出力を上げると「光の翼」が発生するが、D.S.S.D製のそれが光の幕で太陽風を受けるソーラーセイルのシステムを基本としているのに対し、デスティニーではシステムから得られる特殊なエネルギー変換による兄弟な光圧を加速時のメイン推進とするなど、運用法に大きな違いが見られる。 - ミラージュコロイド
- 背部ウイングユニットから放出される。本機はステルス装備としてではなく、自機の残像を映す幻惑機能として装備している。特に高速機動時の効果は高く、本機の高い機動性と相俟って敵機を翻弄する。
- ハイパーデュートリオンエンジン
- 核エンジンとデュートリオンシステムのハイブリッド動力機関。この動力機関から得られる膨大な出力によって多様な兵装の搭載と運用が可能となった。
武装・必殺攻撃
- MMI-GAU26 17.5mm CIWS
- 頭部に2門内蔵されたバルカン砲。
本機唯一の実弾兵器で、PS装甲を持つMSなどには効果は薄いが、対人制圧やミサイル迎撃などに効果を発揮する。 - MA-BAR73/S 高エネルギービームライフル
- 先行したセカンドステージシリーズMSに装備されていたビームライフルの改良型。ハイパーデュートリオンの採用により、豊富な電力が確保されたkとから、それに対応できるよう改良され、出力と連射性が大幅にアップした。
- RQM60F フラッシュエッジ2 ビームブーメラン
- 左右両肩に装備された簡易ドラグーン式のビームブーメラン。ソードインパルスの同装備の改良型である。オリジナルにあった連結機構は無くなっているが、ビームの出力調整により刃が伸縮し、ビームサーベルとしての役割も果たすようになった。
- M2000GX 高エネルギー長射程ビーム砲
- 背面左部に装備された、破壊力と精度を併せ持った大型ビームランチャー。ブラストシルエットと同装備の改良タイプで、ハイパーデュートリオンからの豊富なエネルギー供給により、攻撃力はオルトロスやケルベロスを遥かに上回る。通常は折りたたまれた状態にあり、展開時の銃身は機体の身長を越える程である。
折りたたみ技術には、本体にも採用された基本構造体の細部化と連動が生かされており、他にも変形機構を持つ武装が存在するが、ここまで複雑化したものはないとされる。 - MMI-714 アロンダイト ビームソード
- 背面右部に装備されているビーム刃と実体刃の二種の刃を持つ長刀。エクスカリバーの改良型であるが刀身は更に伸びている。高エネルギー長射程ビーム砲と同様に折りたたまれた状態で装備される。
斬馬刀の如く一刀の元に敵艦艇を両断する切れ味を持つが、同時に格闘戦でも猛威を振るう。これだけの長さの剣を扱うためには、機体そのものの柔軟性は元よりパイロットにも高度な操縦技術が必要であり、仮にデスティニー以外の機体に装備させても使いこなす事は不可能とされる。 - MMI-X340 パルマフィオキーナ 掌部ビーム砲
- 両手の掌に装備されたビーム兵器。デスティニーの隠し武器ともいえ、効果範囲は狭いが、極めて高い攻撃力を有し、密着した状態の相手を確実に破壊する。通常ありえないゼロ距離での格闘戦を想定した武装であり、ここからもデスティニーの特異さを伺う事ができた。新機軸の兵装であるがゆえに、戦術バリエーションも未知数であった。
- MX2351 ソリドゥス・フルゴール ビームシールド発生装置
- 両手の甲に装備されたビームシールド。ビーム、実体弾の双方に高い防御力を発揮する。
一説にはハイペリオンに装備されたモノフェーズ光波シールドの類型とも言われており、前大戦後、衰退したユーラシア連邦から科学者ジンにより齎されたのではないかと推測される。
両腕のものを合わせて防御範囲を大型化でき、シールド内部からの攻撃も可能であるなど、形状は状況に応じて変更できるためオールラウンドでの使用に適する。 - 対ビームシールド
- ビームコーティングが施された実体式のシールド。腕部に装備するために広範囲を防御できる。インパルスの機動防盾と同じく伸縮機構を備える。ビームシールドとの併用も可能だが、その際は伸長しないで用いられる。
対決・名場面
- 対デストロイガンダム
- ヘブンズベース攻防戦において、5機編成のデストロイ部隊のうち3機を仕留める奮戦を見せ、当初劣勢だったザフトに逆転の機を与える。ダイダロス攻防戦においては、3機編成のデストロイ部隊のうち1機を撃破したほか、ザムザザーやゲルズゲーなどの大型モビルアーマー部隊及びウィンダム部隊をレイのレジェンドやミネルバと協力して陽動し、レクイエム破壊を直接担当するルナマリアの潜入を支援した。
- 対ストライクフリーダムガンダム
- オペレーション・フューリーにおいて初交戦。当初はアロンダイトを白刃取りされてレール砲を撃ち込まれる等劣勢気味であったが、レイのレジェンドとの連携により一時は撃墜寸前に追い込む。しかし寸前でアスランのインフィニットジャスティスが乱入したことにより失敗。メサイア攻防戦においても当初はレジェンドとともに交戦していたが、レイの命令でインフィニットジャスティスの迎撃にまわったため勝敗はつかなかった。
「ストライクフリーダムvsデスティニー」は3クール目OPのアウトロや、最終回直前の児童誌など様々な媒体で予告されていたが、劇中でこのカードが実現したのはわずか2回のみ、そのうち勝敗がついたのはわずか1回のみであった。 - 対インフィニットジャスティスガンダム
- オペレーション・フューリーとメサイア攻防戦の二度に渡って対峙するが、どちらもシンの迷いや負い目が操縦に反映され実力を発揮することが出来ず、インフィニットジャスティスには手も足も出なかった。メサイア攻防戦では両腕と片足を破壊され戦闘不能になり月面に墜落、シンはルナマリアに救助された。
- TV版ではSEED能力を発現させたアスラン・ザラに一瞬で無力化されるという、やられ役さながらの惨敗。このシーンを見ればシンが主人公と到底思えないし、技量が数段劣るという評価もやむを得ないだろう。
- 高山瑞穂氏のコミカライズ版ではアスランと信念をかけて対決し、デスティニーの性能をフルに発揮して追いつめた。ミーティアと合体したインフィニットジャスティスガンダムを相手に機動力で翻弄しミーティアを破壊、優位に立つ。しかし、リフターとキックの連携攻撃に対応しきれず逆転された。勝利を目前にしながらもアスランとの問答で精神的に追い詰められたシンが不用意に近づいてしまったことと[5]、リフターでの虚を突くような露骨なフェイントに対応できないほどに疲弊していたことが敗因といえる。
- 久織ちまき氏の漫画『機動戦士ガンダムSEED DESTINY THE EDGE』では、インフィニットジャスティスの右腕を破壊したものの、アロンダイトを奪われてレクイエムの発射口に投擲、レクイエムを破壊されてしまう。その後両腕を破壊され月面に墜落する。
- 対ビルドバーニングガンダム
- ガンダムビルドファイターズトライ7話の準々決勝戦で対決。前日にセカイとシモンが全力を懸けた勝利宣言をしており、加えて残る双方のチームメンバーが全員リングアウトしてしまった事により、実質的な一対一の戦闘へと発展。互いの間合いである超近接戦で白熱した戦いを披露したが、最終的にビルドバーニングガンダムが勝利を収めている。
関連機体
系列機・派生機など
- デスティニーガンダム SpecII
- デスティニーの改修機。動力が強化された事でVPS装甲のカラーリングが変化している他、コクピットが全天周囲モニターに換装されている。
- ハイネ専用デスティニーガンダム
- ハイネ・ヴェステンフルス専用に調整された同型機。上述の装甲やフレームの原理上、他人の仕様に調整し直すには手間とコストが掛かりすぎる機体なので、乗り手がいなくなった後は倉庫に保管され、そのまま終戦を迎えた。
- デスティニーインパルスガンダム
- インパルスガンダムの三種シルエットの武装を統合した、「プロトタイプデスティニー」とでも呼ぶべき機体。諸処の問題から、実戦参加はできても前線に出ることは無かった。
技術的関与のある機体
- フォースインパルスガンダム
- フォースシルエットのアビオニクス等が反映されているものと思われる。
- ソードインパルスガンダム
- 対艦刀、ビームブーメラン、格闘モーション等が反映されているものと思われる。
- ブラストインパルスガンダム
- 高エネルギー長射程ビーム砲等のノウハウが反映されているものと思われる。
- スターゲイザー
- ヴォワチュール・リュミエールの近似技術が『光の翼』に応用されている。
その他
- レジェンドガンダム
- 兄弟機。
- ガンダムダブルオースカイ
- 『ビルドダイバーズ』に登場するガンダムダブルオーダイバーエースの改修機。改修時に光の翼を初めとした本機の特徴も取り入れている。
- ガンダムデスティニースカイ
- 『ビルドダイバーリゼ』に登場する本機ベースの改造ガンプラ。上記のダブルオースカイに影響を受けており、デスティニーにGNドライヴなどのダブルオーの要素を取り入れた、ダブルオースカイとは真逆の発想の機体に仕上がっている。
商品情報
ガンプラ
フィギュア
リンク
脚注
- ↑ ユニウス条約違反である核エンジンの搭載を示す「A」は故意に削除され、代わりにセカンドステージを示す「S」が付け加えられている。ただし、政治的配慮を考えず純粋に性能で判断するならサードステージかそれ以上のハイステージに属する機体となる。
- ↑ これはユニウス条約によって禁止された各種技術の搭載も意味している。
- ↑ D.S.S.Dは非軍事組織であり、プラントの支援も受けているが、軍事への技術協力を完全拒否しており、同技術がD.S.S.Dから直接伝えられたとは考えにくい。
- ↑ 同様のシステムはストライクフリーダムにも採用されているが、こちらは機動力を上げる事で被弾しない事を前提とした、「防御力の低下を無視する」仕様であり、根本的なシステム思想は大きく異なる。
- ↑ この時点ではインフィニットジャスティスに有力な射撃武装はなかったため。