レクイエム
レクイエム(Requiem)編集
『機動戦士ガンダムSEED DESTINY』に登場する地球連合軍の軌道間全方位戦略砲。
月面ダイダロス基地に設置された巨大ビーム砲と、各宙域に配置された複数の廃棄コロニーで構成される。各廃棄コロニーは内部にゲシュマイディッヒ・パンツァーを設置したビーム偏光ステーションとして機能し、基地から発射されたビームを、各コロニーを中継点として軌道を変える事で目標地点を攻撃する。「全方位」の名の通り廃棄コロニーの配置を変更する事であらゆる位置への砲撃が可能な自由度を誇る。ただし、レクイエム本体であるビーム砲の射角は狭いため、第一次中継点となるコロニーに不備が生じれば、目標への照準合わせは不可能となる欠点を持つ。また、廃棄コロニーも巨大な一方で攻撃に対しては脆弱なため、防衛戦力の配置が不可欠となる。
第2次連合・プラント大戦の最終盤に連合軍によって運用され、レクイエム攻防戦が展開された。この兵器に対する設置は実に巧妙で、実際に発射されるまではロード・ジブリール以下地球連合軍の一部しかその存在を把握していなかった。その後、レクイエムはダイダロス基地ごとザフト軍によって接収され、ギルバート・デュランダルの指示の下で修復された後、デスティニー・プランに反対する勢力への武力行使に使用されたが、オーブ連合首長国とプラント内のクライン派、連合軍残存勢力の合同軍による総攻撃の中で破壊される。
終戦後、地上設備の解体が行われたが、地下の反応炉は解体不可能であったため、プラントが動力炉として平和利用する手はずになっていた。その動力炉はプラント国防委員長であるハリ・ジャガンナートの働きかけによって軍部が使用する事になるが、実際には密かに兵器としての修復が続けられており、ジャガンナートと協力関係にあったファウンデーション王国がデスティニー・プラン実行の恫喝目的で使用。ユーラシア連邦首都モスクワを消滅させ、オーブにもその照準を向けたが、コンパスがこれを阻止。地下深くに存在する反応炉が完全に破壊された事で、その機能を停止した。
第2次大戦時、ビーム偏光ステーションは全5基が配置され、それぞれ「フォーレ」「ヴェルディ」「チェルニー」「マルタン」「グノー」のコードネームが付けられていた。レクイエムの名称も、カトリック教会で行われる死者のためのミサ及びそれに用いる葬送曲から採られており、各コロニーの名称もレクイエムの作曲家から命名されていた。一方、ファウンデーション王国が使用した際にはビーム偏光ステーションはミラージュコロイドによるステルスを装備した偏光リングへと仕様変更されており、その所在を掴む事が難しくなっていたが、一時中継点への攻撃による欠点は変わっていない。
登場作品編集
- 機動戦士ガンダムSEED DESTINY
- 初登場作品。1度目の照射でアプリリウス・ワンを目標に発射されるが、コロニーに戦力を展開していたジュール隊の戦闘の影響によって狙いが逸れ、プラントのヤヌアリウス・ワンとフォーが直撃し、その余波でディセンベル・セブンとエイトが破壊された。この被害に対し、ザフト軍は発射阻止のため全戦力を投入し、発射点であるダイダロス基地にミネルバ隊を投入。この一連の攻撃によりレクイエムの中継点の一つと、コントロールが破壊された。
その後、デュランダルの指示でコントロールを修復。今度はザフト軍が使用して、月の地球連合軍アルザッヘル基地を破壊。この兵器を巡り、クライン派とオーブ連合首長国、地球連合軍残存艦隊の三勢力の連合軍の総攻撃を受け、最終的にインフィニットジャスティスガンダムとアカツキにより完全破壊。メサイアも破壊された事でザフト軍の敗北に終わった。 - 機動戦士ガンダムSEED FREEDOM
- ファウンデーション王国が密かに修復されたレクイエムを使用。「ユーラシアによる自国への核攻撃に対する報復」を口実にモスクワを攻撃し、デスティニー・プランの実行を恫喝。コペルニクス基地から侵攻してきた地球連合の艦隊を第二射で壊滅させた後、不穏な動きを見せたオーブに対して第三射を放とうとするものの、死んだはずのキラ・ヤマトがミレニアムからファウンデーション王国を糾弾する演説を始めたため、アウラ・マハ・ハイバルの指示で照準をこちらに変更するも、ミレニアムはこれを回避。更に次射をチャージするが、発射阻止の為に密かに宇宙へ上げられていたアカツキが一次中継リングへの射線内に侵入し、ゼウスシルエットによる砲撃でリングを破壊。直後に発射されたビームもアカツキのヤタノカガミで反射され、地上施設にも被害が及ぶ。その後、設備は速やかに修復されたものの、デスティニーSpecIIによって地下設備に砲撃を受け、再び破壊された。
関連用語編集
余談編集
- この兵器の元ネタとしては『宇宙戦艦ヤマト』に登場した「反射衛星砲」と思われる。原理は全く同じだが、ビームの中継を人工衛星で行うため規模は小さく(それでも設置された冥王星全土をカバーできる射程を持つ)、拠点防衛兵器として用いられた。続々編にあたる『宇宙戦艦ヤマトIII』では、反射ミラーを装備した有人航宙機でビームの中継を行う「新反射衛星砲」が登場している。