MIP社水中試験型MS

MIP社水中試験型MS
外国語表記 MIP Hydro Test Type Mobile Suit
別表記
  • MIP社水陸両用MS実験機 (原案)
  • 特殊戦機 (『ジョニ帰』作中)
登場作品 機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
製作 チアキ・バチスタ!! (原案)
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スペック
分類 水陸両用試作型モビルスーツ
主動力 熱核融合炉
装甲材質 超硬スチール合金
開発組織 MIP社
所属 ジオン残党
母艦 ユーコン級U-47
主なパイロット リース
ジオン残党兵
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概要編集

MIP社ザクIIをベースに開発した水陸両用の特殊戦機。漫画『機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還』に読者公募の機体として登場しており、原案と作中で二通りの設定が存在する。

原案における設定編集

機体名は「MIP社水陸両用MS実験機」。各社が水陸両用MSの競作を行う中、MIP社がライセンス生産していたザクIIF型を改修した機体で、実験機である為開発コードは局から与えられていないものの、社内では便宜上「YMS-04M」と記述され、名称は単に「ザク」または「ゼロヨン」と呼称されていた。

浸水対策のため各関節や電装などに防水加工が施されており、コクピットは耐圧コアを既存のスペースに無理矢理詰め込んだ上、上部にダクト、腹部にバラストタンクを設けた事でかなりの狭小空間となっているため、潜り込むように搭乗し、屈み込むような姿勢で操縦しなければならなくなっている。バラストタンクは腹部以外に脚部にも搭載されており、足裏のエンジンノズル及びスラスターの撤去跡にフラッドホールと共に設けられている。これに伴い、大腿部と脚部の燃料タンクもオミットされている。外装的には頭部から肩にかけて流線型の形状となっており、頭頂部にはメインカメラと同様に防水耐水性のものが用いられたサブカメラを追加、ショルダーアーマーは装甲と言うよりも水抵抗を考慮したカウルとしての意味の方が大きくなっている。また、脚裾のフレアも水抵抗の関係から撤去されており、動力パイプも同様の理由でザクIと同様、内装式に変更されている。背部には新規開発の熱核水流エンジンが搭載されており、肩と脚部の合計14カ所の水流ファンによって姿勢を制御する。

製造されたのは2機のみで、サンフランシスコ湾で繰り返し実験が行われていたが、1号機は外洋運航実験中にバラストのトラブルにより喪失(パイロットは脱出)。この事故によりバラスト、浮力材の容量不足が原因で浮き沈みの悪さ、機動性の悪さ、武装運用の悪さなど様々な点が問題視された事で開発は中止となり、水陸両用MSの開発は既存機の改修から新規設計へと方針転換された。また、同時期にスウィネン社開発した機体に「04」のナンバーが与えられており、開発部は苦虫を噛み潰したような思いをする事になった。

結局、計画は頓挫したものの、本機の実験データは新設計された次期量産機に活かされており、本機の武装が固定武器として採用された他、事故の際にパイロットを救った緊急脱出システム付きのハッチも次期量産機および平行して開発中の大型MAに採用。また、熱核水流エンジンは完成度が高かった事から若干の調整でそのまま搭載。ただし、腕部にまで追加されたバラスト、コクピットの容積の増大、固定武装化などの変更に従い自重が増大し、それを維持するために機体自体の出力を向上させた結果、重ね着するが如く自重がさらに増大したため、最終的に2基搭載される事になった。このエンジンは他社MSにも供給・搭載に至っている。

なお、残された2号機は大戦末期のキャルフォルニアベース奪還作戦において定数割れした部隊に編入されており、バズーカと片脚にミサイルポッドを装備して出撃。しかし連邦軍のMSの猛攻を受け、部隊は実験場である湾まで後退した末に壊滅。2号機も大破した。この際搭乗していたパイロットは機体と共に臨時増員されたMIP社員2号機テストパイロットであり、民間人動員とかなりの問題であったが、軍によって隠蔽された。ただ、当時の関係者によれば、これはジオン国民でありながらサンフランシスコ出身である本人の希望であったとされる。

ジョニー・ライデンの帰還における設定編集

機体名は「MIP社水中試験型MS」。静粛性と音波吸収・拡散能力に極度に特化した機体で、海中のソナー情報を撹乱させ、敵機に機体の位置を誤認させることが可能となっている。反面機動性や運動性は犠牲となっており、基本性能は水中用ザクと大差ない。また、位置を知られないためにエンジンを切り、無音潜航させる必要がある。

機体各部の形状は水中での抵抗性を考慮した物となっており、頭部から肩部にかけて流線型の形状となり、脚部の動力パイプは内装式となっている。脚部の推進器もハイドロジェットエンジンに変更され、背部にも推進器が追加されている。

登場作品と操縦者編集

電撃ホビーマガジン×ガンダムエース×ガンダムインフォ Presents「機動戦士ガンダムMSV-R」モデリングコンテスト
2011年に『MSV-R』の企画として開催されたモデリングコンテスト。2011年12月26日~2012年2月27日に応募が行われ、2012年3月に各誌・各ウェブサイトで結果発表が行われた。本機の原案であるチアキ・バチスタ!!氏製作「MIP社水陸両用MS実験機」は最優秀賞を受賞し、「受賞作のMSを題材にした短編コミックの掲載」が決定したのだが、各方面での本機の扱いが原因で、作者と企画者側で禍根を残す事態となっている(余談の項を参照)。
機動戦士ガンダム MSV-R ジョニー・ライデンの帰還
MATERIAL-J051から登場。ジオン残党となった特殊戦部隊によって運用されている。テミスラムズゴック部隊と交戦するもリース機が撃破される。戦闘後、母艦であるU-47が損傷により沈み、それに合わせて残存機も機密保持のために共に沈められた。なお、作中では「特殊戦機」としか呼称されておらず、数年後にガンダムエース2019年11月号の特別付録「MS設定集」でようやく「MIP社水中試験型MS」と設定された。

装備・機能編集

武装・必殺攻撃編集

サブロックガン
携行式の水中魚雷発射銃。240mmミサイル[1]を発射する。水中用ザクに装備されている物とほぼ同じだが、そちらが4連装なのに対し、こちらはリボルバー方式に変更されている。弾頭によっては空中にも発射可能。原案ではズゴックの頭部内蔵武器に応用された事が示唆されている。
ソード
接近戦用の実体剣。非使用時には腰部にマウントされる。原案での設定では連邦側との裏取引で手に入れたルナ・チタニウム合金を用いているとされており、ズゴックのクローに応用された事が示唆されている[2]

その他 編集

M-120A改 対水中用ザクマシンガン
MMP社製のM-120A1[3]を防水加工した防水マシンガン。銃口にセンサー付きのスライドカバー、トリガーや各スイッチ等に防水加工が施されており、マガジンはボックスタイプが用いられているが、基本的な性能は通常のザクマシンガンと変わりない。防水加工はあくまで水中運搬を目的としたものであり、水中での発射は不可。目的地陸上での使用を目的とする。原案で設定されている武装だが「MSV-R」モデリングコンテストへ投稿できる写真枚数に限りがあったため、作例と設定画のみに留まっている。また、上記と同様にズゴックの腕部内蔵武器として応用された事が示唆されている。

対決・名場面編集

関連機体編集

ザクII
ベース機。
水中用ザク
本機と同様にザクIIを原型機とする水陸両用MS。
ズゴック / グラブロ
原案では開発に本機の実験データが活かされている事が示唆されている。

余談編集

  • 「機動戦士ガンダムMSV-R」モデリングコンテストにおいて最優秀賞に選ばれた本機ではあるが、賞品である「本機を題材とする短編」が製作されないという事態が発生。更に後々ガンダムエース掲載作品である『ジョニ帰』への登場が決定するも、実際に登場したのは結果発表が行われてから2年半以上経過した2014年11月発売の2015年1月号となった。更に同作での扱いもすこぶる悪く、特に活躍する事の無いまま撃墜されるという最優秀賞作品にあるまじき扱いだった。追い討ちをかけるように、コンテストでArk Performance賞を取ったドム・マーメイドには同作で目覚しい活躍シーンが与えられている。作者のチアキ・バチスタ!!氏も不満を露にしており、「漫画作者や編集部等の雑対応」等々の裏事情を明かしている。


資料リンク 編集

リンク編集

脚注編集

  1. ただし水中用ザクが用いているサブロックガンおよび下記のズゴックは240mmロケット弾を用いている
  2. 原案では作者が同合金製にした理由として「ジャブローでシャアがジムを貫きますよね?硬い筈のルナチタニウムをタダの鋼鉄の爪で貫けるのは可笑しいって事です。」と明かしているが、本来ジムの装甲材質は「チタン系合金」である。MIP社水陸両用MS実験機製作記⑥
  3. 本来はジオニック社製またはツィマッド社製(OEM生産)