ノーマルスーツ
ノーマルスーツ(NORMAL SUIT) 編集
ガンダムシリーズに登場する宇宙服の総称[1]。多くの場合はモビルスーツと区別する目的で呼称される事が多い。
基本的な機能は現実の宇宙服に即した物であり、主に軍艦の乗員・作業員が着用する重装型と、パイロット用の軽装型の2種類に大別される。パイロット用の物は通常の宇宙服よりも軽装で動きやすく、パイロットがコクピットに搭乗する際の動きを阻害しにくいデザインになっており、またパイロットの生命維持などの理由で宇宙のみならず地上でも使用される作品も存在している。
各世界観のノーマルスーツ 編集
宇宙世紀 編集
宇宙世紀0070年代以後、モビルスーツの登場を受け、呼称の混乱を避ける目的で呼称されるようになった。宇宙移民の開始に伴う宇宙への生活圏の拡大は遅かれ早かれ本格的な宇宙軍が登場することを意味しており、連邦宇宙軍やジオン軍などの宇宙軍が組織され、その中で民生用宇宙服を改良した軍用ノーマルスーツが使用されるようになった。
宇宙艦艇の内部やMSのコクピット内は気密性が高く、被服だけで生存が可能だが、損傷によって空気が漏れたり、船外活動を強いられたりする事は珍しくない。そこで必要となるのがノーマルスーツであり、宇宙での作戦任務では、宇宙へ放り出された場合の生存率向上の為に大半の将兵が着用する。一方で、部下に不安を与えないようあえて戦闘時に着用しない指揮官や、自身の操縦技術への自負の現れからノーマルスーツを着用せずに戦闘を行うエースパイロットも存在する。
歴史の進行と共に各勢力における装備の更新も行われており、特に地球連邦軍の物は、その時代によってデザインや機能が異なっている事が多い。また、ジオン軍ではエースパイロットや将校らが軍服と共にカスタマイズを許可されており、パーソナルカラーのノーマルスーツと、専用デザインのヘルメットが与えられている。
パイロット用の物はエアボンベなどの生命維持装置がバックパックに集約されており、パイロットの身体をコクピットに固定する機能を有している。また、スーツ本体には耐G機能といったパイロットスーツとして必要な機能が備わっている為、宇宙のみならず地上でも使用されるケースも多い。ただし、通気性の低さから高温多湿のジャングルなどでは使用されない場合もある。
ノーマルスーツには数種のオプションが用意されており、その代表格として背部に装着可能なパーソナル推進器「ランドムーバー」がある。バックパックのオプション・ラッチやノーマルスーツの背部に直接接続する事で、短時間ながら低・無重力環境で自由に移動が出来るため、行動不能になったMSからの脱出や潜入任務などで使用される事が多い。また、ランドムーバーの中には地上での飛行が可能なモデルも存在し、ノーマルスーツを用いないでの装着も可能。
未来世紀 編集
ガンダムファイトは地球がリングであり、モビルファイターを操るガンダムファイターはファイティングスーツを着用する為、ノーマルスーツ自体の出番は少ない。
着用例としてはウルベ・イシカワとレイン・ミカムラが使用した物があり、ヘルメットにファイティングスーツと同じ形状のアンテナが突き出ている。
アフターコロニー編集
OZや地球連合軍の使用する物が登場。背部に背負っているボンベからチューブを介してヘルメットへの酸素供給が行われ、宇宙で活動する際に用いられている。
ガンダムパイロット用の物は、ピースミリオン合流時に用意され、連合系の物とは異なり、身体にフィットしたデザインの物が使用された。
基本的に宇宙で使用される物であり、地上では軍服とゴーグルを着用したスタイルでMSに搭乗する事が多く、ノーマルスーツは着用しないケースが多い。
アフターウォー 編集
宇宙世紀と概念自体は同じ。ただし、地上で活動するバルチャーなどはそれを使用する機会や習慣は無く、ガロード・ランらが着用するのも宇宙へ上がって以降となる。
正暦編集
ムーンレィスが用いる民間宇宙服の他、ディアナ・カウンターとギンガナム軍それぞれに専用デザインのノーマルスーツが用意されている。民間宇宙服は後にミリシャでも使用されている。
∀ガンダム用の物は、他のノーマルスーツとは違い身体にフィットしたデザインで、背面に操縦席と直結するコネクタと生命維持装置が備わっている。
コズミック・イラ 編集
宇宙世紀と同様に艦内用の重装型とパイロット用の軽装型の2種類が存在。
軽装型ノーマルスーツは地球連合軍、ザフト軍共にエースパイロット用やブーステッドマン(エクステンデッド)用など、用途に合わせカスタマイズされた物が用いられるケースがある。特殊な例としては、サーペントテールの風花・アジャーが使用した子供用の特注ノーマルスーツがある。
なお、ザフトでは軍服の色に合わせたスーツが支給され、パイロットはそれを着用するのが基本となっている。
西暦 編集
各勢力によって装備に付与されている機能が異なっており、特徴的な例として人類革新連盟の物はHMDによる網膜投影を行い、口に当たる部分にコクピットとのデータリンクと酸素供給に用いるケーブルを配している。
ソレスタルビーイングではガンダムマイスターの正体露見を防ぐ目的でバイザーに着用者の素顔を隠すマジックミラー機能が搭載されている。また、超兵やイノベイター専用のヘルメットは脳量子波の遮断機能も有しているケースも存在する。
アドバンスド・ジェネレーション編集
地球連邦軍の物は、宇宙服然としたデザインの物が用いられるが、ヴェイガンの物はヘルメットの大半が半透明状の素材で構成され、装着者に擬似的にXラウンダー能力を発現させるミューセルが装備されている。グローブも三本指に見える独自の物が使用されるなど、独自性の高い外見が特徴[2]。
リギルド・センチュリー 編集
機能的には宇宙世紀時代の物と変わりは無いが、インナースーツとアウタースーツの二重構造になっており、その結果スーツの着脱やコクピット内での排泄などが容易になっている。この構造は艦内用、パイロット用共に如何なる勢力であっても共通である。
ポスト・ディザスター 編集
ギャラルホルンや鉄華団(CGS)では、ヘルメットがバイザーごと展開可能なモデルが基本。この他にも、バイザーが固定されている汎用型ノーマルスーツが幅広い組織で使用されている。
鉄華団の物は、阿頼耶識システムに対応したコネクタを背中に有する独自モデルを使用しているが、他の組織のヒューマンデブリは汎用型ノーマルスーツに阿頼耶識のコネクタを追加した物を使用している。また、ギャラルホルンでは地上でもノーマルスーツを着用するケースが多いが、鉄華団では基本的に宇宙での活動時にのみ着用。地上では上半身裸の状態で背中に阿頼耶識システムを接続、機体を運用する事が多い。
アド・ステラ 編集
アスティカシア高等専門学園では学園指定のノーマルスーツが使用され、一般生徒はグレーを基調としたカラーリングのノーマルスーツを着用するが、決闘でトップの戦績を持つ学生はホルダーとして白を基調とした物を着用する。
ホルダー用スーツは、都度支給される訳ではなく、装着者がホルダーとなった実績をスーツに反映させる事で繊維情報を書き換える技術によって元着ている服を変色させるものであり、ノーマルスーツの他に学園の制服にも同様の機能が実装されている。
また、ノーマルスーツの背中にはアタッチメントがあり、モビルスーツのコクピットシートへ物理的に接続され、これに対応したパイロットベストも用意されている。