Xラウンダー
Xラウンダー(X-Rounder)編集
機動戦士ガンダムAGEに登場する概念。
人間の脳にある「X領域」と呼ばれる領域を解放し、先読みなどの超常的な能力を発揮できるようになった人間の総称で、宇宙世紀におけるニュータイプと非常によく似ている(ただし登場人物の捉え方などは、劇中での描写を見る限り『F91』以降のニュータイプ観に近い)。
能力の主な現れ方としては、先読みのほか、テレパシーによる意志の伝達(フェザール・イゼルカントはこの能力を使い、ゼハート・ガレットに自分の理想とする「エデン」の映像を見せた)やビットに代表される特殊兵器の使用が挙げられる。Xラウンダー同士が共振することで能力を増幅させる事例も確認されており、フリット・アスノのXラウンダーとしての才能はユリン・ルシェルとの接触を契機に開花した。
地球連邦軍ではXラウンダーの研究はあまり行われていないらしく、逆にヴェイガンでは研究が進んでおり兵器への転用も盛んである。連邦軍内部でのパイロットの能力検査にXラウンダーの項目もあるが、Xラウンダーを集めた部隊やXラウンダー専用機は開発されていない模様(それでも、Xラウンダーの素養があるパイロットを想定しAGE-2の開発が行われレイナ・スプリガンのようなXラウンダーをテストパイロットとして起用し、兵器開発や研究自体は行われている)。
Xラウンダー能力者同士の共振は互いの能力を高め合うだけでなく、相手の能力を飲み込んで抑えることに応用できる。これを利用して、デシル・ガレットは他のXラウンダーの機体を操ることが度々あった。操られている最中でもパイロットの自我は保たれており、一方的に機体を操っていた(マジシャンズ8は「機体が勝手に(動く)!!」と叫んでいた)ことなどを考慮すると、自分の搭乗機のシステムを利用してXラウンダー専用機の操縦系を掌握・操作しているだけのようにも思われる。ただし、第1部のアンバット戦でデシルはユリンを「生体ユニット」と言い切り(だが、フリットへの嫌がらせ目的でユリンを選んだのは明白である)、コントロールを強めた際には彼女が「自分の中に何かが入ってくる」と悲鳴を上げているので詳細は不明。
ビットやCファンネルのような遠隔誘導兵器をXラウンダー能力でコントロールする際も、より高いXラウンダー能力を持つ者にコントロールを奪われる危険性もある。
Xラウンダーの高い感知能力は対象がXラウンダーでなくとも効果を発揮することがある。キオ・アスノはXラウンダー能力でロストロウラン基地内に隠されていたプラズマ粒子爆弾を発見したり、サルガッソーに入った時にXラウンダー能力を持たないキャプテン・アッシュが待ち伏せていることに気づき、アッシュと交戦した時はそれが実の父親だとは知らないながらも「暖かい感じがする」と敵意どころか大切に思われていることを感じ取ったりしている。フリットもガンダムAGE-2 ダークハウンドのパイロットがアセムだと感じ取ることができた。
しかし一方で、Xラウンダー能力の過度な多用は心と体に負荷をかけ、脳に損傷を受けた状態であれば理性を失い暴走することさえある。
小説版で能力の開花を始めたフリットは「答えが見える」「自分が広がっていく」と形容し、アセムはミューセルを使用した際にXラウンダーの領域について「盲目の人間が突然目が見えるようになるもの」と表現している。しかし、Xラウンダーといえども状況に対応できなければ意味はなく、ウルフ・エニアクルやフリットなどは経験に裏付けされた技量・戦略で彼らと対等に渡り合い、封殺している。
一方、ヴェイガンの総帥であるイゼルカントはXラウンダーを「退化」と評し、「人は再び理性を持たぬ野獣へと還っている」と否定的な姿勢を持っている節が見られる。デシルやマジシャンズ8を見ていると、(単に個人の人格に依るところが大きいのだろうが)妙に納得できてしまう所である。また、ゼハートの場合、『MOE』で新たに描かれた描写にて操作しているガンダムレギルスがまるで野獣のように動く、ある意味でイゼルカントの考えるXラウンダーそのものと呼ぶべき状態が見られた。
このイゼルカントの「Xラウンダーは人類の退化」発言からか、人類進化の鍵を求めるGA計画におけるXラウンダー、そしてA.G.世界の価値はニュータイプやS.E.E.D.、イノベイターなどと比べかなり低いものとなったと考えられ、実際ジュピターXに存在するA.G.世界のGAデータはいわゆるフリット編のものしか確認されていない。
登場作品編集
- 機動戦士ガンダムAGEシリーズ