ELS
ELS(Extraterrestrial Living-metal Shapeshifter)編集
『劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-』に登場する地球外生命体。Extraterrestrial Living-metal Shapeshifter(地球外変異性金属体)の略称で、「エルス」と読む。その名称からも分かる通り、身体構造の大半を金属が占める金属生命体である。
木星型の巨大ガス惑星の金属コアから生まれ、母星の厚いガスを抜けて降り注ぐ恒星からのエネルギーが、彼らに「外の世界」の存在を知らしめ、進化を促した。その果てに知性を獲得するに至ったELSだったが、「個体」という概念を持たず、種全体で一つの意識を共有する知性体へと進化した。この過程で、個々のELSを結ぶ巨大ネットワークを維持するために脳量子波を獲得。距離に縛られる事のない統一した意思を強固に維持できるようになった。母星で繁栄を極めたELSだったが、恒星が白色矮星化した事で十分なエネルギーを得られなくなった事で、母星を離れ外宇宙へ進出する旅に出た。
ELSは液体金属の肉体を持ち、あらゆる形状へと瞬時に擬態が可能。この性質は、様々な環境に瞬く間に適応する事を可能とし、多種多様な知性体と接触してはそれらと融合、その機能をコピーして自らの一部と取り入れる事で、更なる進化を遂げていった。人類との交戦状態に陥った際には、人類側の兵器と融合し、モビルスーツや艦艇の機能をコピーしている。
彼らの融合は無機物・有機物を問わず取り込む事が可能だが、無機物を取り込むのは多くの場合は捕食に近い行動であり、エネルギーを得る為に行われる。
長い旅の果てに、イノベイターの脳量子波に引き付けられ地球を訪れたELSだったが、個々に思考する生物である人類との融合は上手くいかず、多くの人間は融合を受けた段階で拒否反応を示し、命を失う事になる。ごく一部、イノベイターとしての因子を持つ者との融合だけは、休眠状態という形で命を永らえた。これは、ELSと人類がお互いの生態を理解していなかったからこそ起こった悲劇であり、刹那・F・セイエイによる対話の成立後、彼らは完全な融合を果たし、休眠状態から脱している。彼らELSと人類のハイブリッドは、ELSの擬態能力が遺憾なく発揮されており、融合を受けた部分をELSが人類の細胞に擬態、細胞と同等の生化学反応が行われている。
脳量子波によって各個体のリンクを保っているELSだが、人間(概ね成人男性と同程度)より小さい破片にまで分かれてしまうと、この脳量子波を維持できなくなる。破片の状態では、大きな集合体へと集まり、機能を回復しようとする本能が優先されるが、更に小型の破片にまで砕かれると、充分なエネルギーも維持できなくなるため、動けず休眠状態となる物も多い。
登場作品編集
- 劇場版 機動戦士ガンダム00 -A wakening of the Trailblazer-
- 西暦2314年に木星のワームホールを通して出現し、まずはその近くを漂っていたエウロパの残骸と融合して地球へ向かう。
デカルト・シャーマンのガデラーザの攻撃で破壊され、破片の一部は地球へと落下。しかし、いくつかは燃え尽きずに地球へと降り立ち、脳量子波を使えるイノベイターの因子を持つ人々へと接触を図った。
一方、宇宙に残った破片も再生してプトレマイオス2改の前に出現。駆けつけたティエリア・アーデのラファエルガンダムの活躍で再度の破壊に成功するが、この時に刹那・F・セイエイがとった行動からELSに知性がある事が確認される。
やがて木星からELSの群れが出現し、地球へと進路をとる。地球連邦政府が派遣した調査隊やソレスタルビーイングと交戦状態となり、調査隊は全滅し、ソレスタルビーイングもラファエルとティエリアの肉体を失い、刹那が昏睡状態に陥る。
その後、再びELSの群れが木星から出現。地球連邦軍は全ての戦力を集めて迎撃し、ソレスタルビーイングもそれに協力。しかし、その圧倒的な物量で連邦艦隊に多大な損害を与えた。
最終的には復活した刹那との対話によって停戦。ELSは和平の証として巨大な花と化した。
西暦2364年には地球に留まったELS達は人類と共存関係を築いており、かつてELSとの接触で身体を侵食されてしまった人々の一部も「ハイブリッドイノベイター」として生活している。 - ガンダム00 Festival 10 “Re:vision”
- 劇場版のその後が描かれており、劇場版での戦いで生じた甚大な被害に一部の人間が反発、反ELS組織結成の動きが見られ始める。
一部の組織は人類至上主義を掲げ、ELSと融合した人間を否定。彼らの襲撃・排除に動き出し、それを察知したCBはこの情勢が新たな紛争の火種になると判断。彼らに対して水面下での工作活動や武力介入を行い、組織の壊滅に尽力している。 - さらに、CB側はこれに対応する為、ELS母星に向かう刹那とティエリアの後任のガンダムマイスター補充を急ぐ。そして、刹那とティエリア自身が選び出し、ヴェーダの承認も受けて加入させたのがグラハム・エーカーとレティシア・アーデだった。
- 機動戦士ガンダム00V戦記
- 停戦後、ELS側から人類側へ外宇宙に存在する別の異星体に関する情報が提供された事が明かされている。
関連人物 編集
- 刹那・F・セイエイ
- ソレスタルビーイングのガンダムマイスター。純粋種のイノベイターとしてELSとの対話に全身全霊をかけた。最終的にELSの母星へと渡り、彼らと融合しながらイノベイターともELSとも異なる新たな種へと進化した。
- スカイ・エクリプス
- 木星探査船エウロパの乗組員。機密保持の為にエウロパと共に運命を共にしたが、船内に放置されていた遺体にELSが融合し、地球でイノベイターの因子を持つ者との融合を図っている。
- アーミア・リー
- 自宅に擬態したELSに融合され、右半身が金属化。昏眠状態となった所を地球連邦軍に保護された。刹那とELSとの対話が成功した事で、ハイブリッド・イノベイターへと覚醒した。
- レオ・ジーク
- フェレシュテのガンダムマイスター。ELSとの最終決戦で融合されたが、ハイブリッド・イノベイターとなって蘇生した。
- グラハム・エーカー
- 最終決戦でELSに融合されながら大型ELSへと特攻。その際に取り付いていたELSがグラハムの精神を汲み取り、精神のみが量子空間内に漂う事になり、その後刹那との対話によってELSと融合して蘇生した。
ELSの分類 編集
- 小型ELS
- MSよりも小型のサイズのELS。音叉や槍、ナイフに似た姿を取り、宇宙空間で群れをなして移動する。
- 中型ELS
- 大型ELSとも表記される。戦艦クラスの規模を有し、同等のサイズの対象であれば瞬く間に融合出来る。
- 大型ELS
- 月と同規模の直径3000kmクラスを誇る超大型のELS。植物の球根を思わせる姿をしており、ELSの思考を束ねる中枢としての機能を有する。刹那との対話後、周囲のELSを束ねて巨大な「花」へと開花した。
- ELSジンクス
- 融合したジンクス IVを擬態したELS。小型ELSが複数融合し、円錐形ELSがGNドライヴのコーンスラスターを模している。
- ELSガデラーザ
- 火星沖の戦闘で融合したガデラーザをコピーしたELS。地球防衛最終ラインでその存在が確認されたとされる。
- ELSガガ
- ガガキャノンの模倣個体。姿は似ているが、金属光沢が特徴だった為、見分ける事は容易かったとされる。
- ELSアスカロン
- アリオスガンダム アスカロンと融合した個体。アリオスアスカロンはワンオフ機だったが、複数のELSが同様の形態に擬態している。
- ELSバイカル
- バイカル級に擬態した形態。他の個体に比べ、擬態の精度が高い。大型ELSが正面から艦首のみを突き出して戦闘を行った事例も確認されている。
- ELSダブルオー
- ダブルオーライザーに擬態したELS。漫画版のみ登場。
- ELSクアンタ / ガルムガンダムE
- ダブルオークアンタとガルムガンダムがそれぞれELSと融合して生まれ変わった姿。ELSであると同時にモビルスーツでもある特異な存在。