ビーム・サーベル(Beam Saber)
ガンダムシリーズに登場するモビルスーツ用の近接白兵武装の一種。ビーム・ライフルとともにガンダムシリーズの代表的な武器として扱われている。物理的な刀身を持たないものの、概ね実体剣との打ち合い[1]が可能な設定が付与されている。また、手首を高速で回転させる事で、ビーム・シールドのように防御に用いる事が出来る。
柄を兼ねた本体からビームの刀身を形成する「光の剣」であり、その形態は映画『STAR WARS』シリーズのライトセイバーに似る。
各世界観のビーム・サーベル
宇宙世紀 / リギルド・センチュリー
エネルギーCAPに貯蔵された高エネルギー状態のミノフスキー粒子で刀身を形成するビームの刀剣。刀身の形成にはIフィールドが用いられ、Iフィールドの形状に応じて刀身の形状が変化する[2]。
単純な出力ではビーム・ライフルに劣るものの、粒子エネルギーによってモビルスーツの装甲を容易に溶断が可能な切断力を誇る。使用時のみビーム刃を展開する関係上、収納時は柄部分のみとなる為、ヒート系の白兵武器と比較して装備そのものはコンパクト。反面、ヒート系武装と比べて要求出力や技術的ハードルが高く、水中での使用にも制限が加わるといった欠点も有する。サーベルは(一部の例外を除き)機体の掌に備わったコネクタに接続され、MSからの出力や管制用のデータをやりとりする。
Iフィールドから発せられる斥力によりビーム刃同士は元より、刀身がプラズマ化したヒート系武装との打ち合い・切り結びが可能。
バリエーションとして柄の両端からビーム刃を展開するビーム・ナギナタ、斧状のビーム刃を展開するビーム・アックス等が存在し、一部のモデルでは収納状態でビームガンやビーム・キャノンの砲身を兼ねる[3]。
宇宙世紀0090年代には斬りつける時以外にビーム刃の形成を最小限にしたリミッター機能を備えるモデルが用いられている。
未来世紀
ガンダムファイトのリング衛星のビームロープにも用いられる「疑似ビーム技術」と呼ばれるナノテクノロジーが用いられる。この疑似ビームは本来熱量を持たないが、ガンダムファイトでは攻撃目的で熱量を付与している。
形状を自在にコントロールする事ができ、布状や鎖状にして使用する他、ビームそのものをマニピュレータで掴んだり、ビームロープの反動を推進力するといった芸当も可能。
アフター・コロニー
トールギスの段階で既に実用化されているビーム兵装であり、荷電粒子を発生させ強力な磁界フィールドによって意図的に電離領域を生成・制御する。ビームそのものではなく、その周辺の空間が超高熱を帯びて破壊力を持つ。
ガンダムタイプの使用する物はガンダニュウム合金の素材強度によってビーム発生装置の出力が向上しており、複合的なビームの層を形成する事で水中でも減衰する事なく使用する事が可能。
アフター・ウォー
詳しい原理は不明だが、他作品と同じくMSの標準近接白兵武装として使用されている。
ガンダムXの大型ビームソードは、サテライトシステムからエネルギー供給を得る事で高出力を得ている。
正暦
∀ガンダムのビーム・サーベルは、プラズマエネルギーを電磁場で刀状に封じ込めた物が使用されている。
コズミック・イラ
ミラージュコロイド用の磁場形成理論の応用技術によってビームを刃状に固定している。サーベルの刃は互いに反発せずにすり抜ける為、これを防ぐ為に耐ビームコーティングを用いたシールドで相手の斬撃を防御する[4]。また、ビーム・ライフルと同様、水中ではビーム刃の発振が不可能であるため、水中戦闘で近接白兵武器を使用するにはアーマーシュナイダーなどの実体剣を装備する必要がある。
対艦戦闘を前提とした「対艦刀」と呼ばれる大型のモデルも存在し、そちらでは大型の実体剣の刃としてビーム刃が発生する。こちらはビーム・サーベルとは違い切っ先に実体刃があるため、ビーム刃が発生できない水中戦闘においても実体剣の部分で斬撃または刺突する事が可能となっている。
他のビーム兵器と同様に稼働に伴い電力を消費する為、バッテリー駆動型のモビルスーツではエネルギー消費を抑える目的で実体剣を装備する例も存在する。特殊な例としては柄にパワーセルを内蔵したハイペリオンガンダムのロムテクニカRBWタイプ7001がある。
なお、基幹技術であるミラージュコロイドはユニウス条約の締結時に使用制限が課されているが、ビームサーベル用の磁場形成理論は「応用技術」という解釈を取る事で引き続き使用されている。
西暦
陽電子で作り出された空間に、圧縮したGN粒子を充填する事で刀身を形成するGNビームサーベルが主流。なお、ユニオン、AEUの開発したプラズマソードは、Eカーボン製のソニックブレードからプラズマの刃を発生させるビーム兵器開発の過程で発展した装備である。
GNソードのように剣身にGN粒子を定着させ、実体剣とビームサーベル双方の特性を併せ持つ装備も開発されており、GN粒子を剣身にまとわせた実体剣はGNフィールドを貫通する事が出来る他、GNビームサーベルを形作る陽電子の作用によって、ビームサーベルと打ち合いを行う事が可能となっている。
ダブルオーライザーやダブルオークアンタはツインドライヴシステムとトランザムシステムによって超長大な[5]ビームサーベルであるライザーソードを使用可能。
アドバンスド・ジェネレーション
ヴェイガンの運用するモビルスーツは一部の例外を除き掌部にビームバルカン兼用のビームサーベルを標準装備している。携行武器のジョイントも兼ねており、中にはギラーガやフォーンファルシアのように任意の形状のビームを発生させるウェポンを持つ機体も存在する。
連邦軍ではガンダムAGE-1 ノーマルでビームサーベルを実用化し、以降はAGE-1に装備されたサーベルをベースにした物が全軍に配備されている。また、ガンダムAGE-3やクランシェ等は、腕部から直接サーベルを発振させる事も可能。
関連技術
余談
- 「ビーム・サーベル」の発音は本来、英語のビーム (Beam)とオランダ語のサーベル (Sabel)の組み合わせであるが、公式では一括して英語表記の「Beam Saber」を用いている。この場合、「ビーム・セイバー」と発音するのが正しい。
リンク
脚注
- ↑ 「鍔迫り合い」と表記される事が多いが鍔迫り合いとは本来「鍔と鍔がぶつかり競り合う」つまりグリップ部同士が接触しあう様な状態を指す語であり誤用。単純な刀身・剣身がぶつかりあう事を形容する語は「(刀身・剣身の)打ち合い」や「切り結び」などが正しい。
- ↑ メタスのビーム・サーベルは斧状のビーム刃の形成パターンが存在しており、ギラ・ドーガもサーベル、アックス、ピックの三形態を使用可能であった。また、この原理を応用したビーム・フラッグの存在が知られている。
- ↑ ガンダム試作1号機やキュベレイ等。
- ↑ 作中では演出ミスによって打ち合い・斬り結びが描写されていたが、HDリマスター時に修正されている。
- ↑ ダブルオーライザーの物で1万kmものサイズを誇る。