MS-08TX イフリート (EFREET)
概要
ジオン軍の試作型モビルスーツ。唯一、設計段階から地上で行われた機体で、機体設計的にはグフとドムの中間に位置し、グフの陸戦能力とドムの機動力がミックスされている。生産性が悪く、全部で8機しか製造されていない。これには宇宙至上主義であるジオン公国上層部には地上特化型のモビルスーツの受けが悪く、握りつぶされる形で計画が頓挫したという説もある。
開発計画には謎が多く、ジオニック社のグフとツィマッド社のドムの両方の特徴を持ったモビルスーツをどこが開発したのか、という系譜上のミッシング・リンクを抱えたミステリアスな機体。昨今では両社の計画書をジオン軍の「現場の判断」で設計した、という説もある。
スーパーファミコン用ソフト機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079が初出のMS。その後「8機製造された」という設定が加わり、『機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY』にその内の一体に改造を加えたイフリート改、『機動戦士ガンダム戦記 (PS3)』に同じくイフリート・ナハト、『機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク』および『機動戦士ガンダムUC』にイフリート (シュナイド機) (後のイフリート・シュナイド)の、計4機の所在が明らかになっている。なお、初出の時点で改造機の設定であり、原型機に関しては今のところ詳細は不明である。
登場作品と操縦者
- 機動戦士ガンダム CROSS DIMENSION 0079
- ウルフ・ガー隊隊長ヘンリー・ブーン大尉の乗機。試作機を改造した004号機である。ゴビ砂漠の中心でボルク・クライ大尉の駆るピクシーと壮絶な一騎討ちを繰り広げる。
- 機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク
- マルコシアス隊総隊長ダグ・シュナイド大尉の乗機。パーソナルカラーである紫色に染め上げられたイフリートは、彼の戦闘スタイルにあわせてカスタマイズされている。後にこの機体は度重なる改修を受けて、フレッド・リーバーによってイフリート・シュナイドとなる。
装備・機能
武装・必殺攻撃
生産の特性と、ジオン軍の慣例から、エースパイロットには階級に応じた任意のカスタマイズが許されていたため、基本となる装備が定かでないが、おそらくヘンリー・ブーン機のものが基本武装と思われる。
ヘンリー・ブーン機
- 専用ヒートサーベル
- 日本刀然とした格闘武装。両腰部に1本ずつ装備している。
- 専用ショットガン
- 本機専用のショットガン。ダブルオーバックシェル42mm散弾を発射する。だか資料が少ないため、一部ではケンプファーの物と同じ武装として扱われている。
- スモークデスチャージャー
- 4基搭載。
- バルカン砲
- 頭部に2門内蔵。
ダグ・シュナイド機
- ヒート・ランス
- 長斧状の格闘武装。
- ショット・ガン
- ジャイアント・バズ
- スモーク・ディスチャージャー
- 3連装35mmガトリング砲
- グフカスタムと同型の前腕装備型のガトリング砲。主に近距離での迎撃、牽制に用いられる。
対決・名場面
ヘンリー・ブーン機
ダグ・シュナイド機
- VS 陸戦型ジム
- VS ピクシー(フレッド機)
関連機体
- イフリート改
- EXAMシステムを搭載、それに合わせて改造された機体。
- イフリート・ナハト
- 特殊なジャミング機能を搭載した機能。
- イフリート・シュナイド
- 長年にわたり強化・改修していった機体。
- 高機動型試作機
- 形式番号に共通点が見られるが、関連性は不明。
- キャノン・イルフート
- 『∀ガンダム』に登場するジム・キャノン似のモビルスーツ。イフリートの登場予定が没になったため、名前だけがこの機体に引き継がれた。
余談
- 多くの媒体で陸戦用の機体として扱われている本機だが、少なくとも原型機は宇宙・地上両方で運用が可能な機体であるとの事[1]。実際に『CROSS DIMENSION 0079』の説明書や当時の攻略本にも「陸戦用」との記載はない。後に独自解釈で付けられた設定の可能性がある(グフ・ドムの中間機、運用されたのが地上のみ、といった事柄が影響していると思われる)。
- 『CROSS DIMENSION 0079』の企画当初は、戦争映画『戦争の犬たち』に登場する架空のグレネードランチャー「XM18E1R」が装備候補だったとの事[2]。ただ、ウルフ・ガー隊の隊員マーチン・ハガーが火炎放射器使いで、絵柄的に重複するため没になったとされる[3]。