厄祭戦
厄祭戦(Calamity War) 編集
『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』シリーズのバックボーンとして設定されている大戦。
約300年前、戦争の無人化を推し進め各勢力が無人兵器を積極的に投入し続けた結果、人類の手に余る殺戮兵器「モビルアーマー」を生み出してしまった事に起因するモビルアーマーと人類による大規模戦闘である。
モビルアーマーは少しでも多くの人間を殺す事を行動基準としており、操縦はおろか補給・修復から攻撃目標の決定までの一切を人の手を介さず実行でき、人体の生理的限界も無い為、反応速度も人間のそれを超える程であった。
事態を重く見た各国の有志はギャラルホルンの前身となる組織を結成し、阿頼耶識システムを備えたモビルスーツを開発し、実戦投入。その中心人物となったアグニカ・カイエルとセブンスターズの先祖たち、そして彼らの駆るガンダム・フレーム採用機の活躍によってMAの大半が駆逐され、戦後間もなく設立されたギャラルホルンによりヴィーンゴールヴ宣言が発されたことで終結。戦後は四大経済圏によって分割統治されるようになり、ギャラルホルンがそれらの治安維持を担う社会構造が成立。同時に年紀法が「P.D.(Post Disaster)」に改められた。
この戦乱で人類の約4分の1が命を落とし、文明も大きく後退。厄祭戦以前の技術も失われ、エイハブ・リアクターの開発技術もギャラルホルンによって独占された。また、戦乱の原因となった無人兵器の開発と、過度な力である阿頼耶識は禁忌とされ、戦時中の情報を調べる事もタブー視されている。一方で、厄祭戦で運用されたモビルスーツは高硬度レアアロイやエイハブ・リアクターの耐久性もあって300年後も各地に眠っており、武装勢力や海賊等がレストアし運用するという問題も発生している。
登場作品編集
- 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
- 初出作品。物語はP.D.323年の出来事とされており、戦後から約3世紀近くが経過している。過去の出来事とあって詳細は語られておらず、マクギリス・ファリドなどごく一部の人間を除けば当時の事情や技術に疎い人間が多い一方、登場する兵器の殆どはその時代からあるものが原型となっており、従来作品の兵器より遥かにタフであることが描かれている。
- 機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ ウルズハント
- ウルズハントの各参加者たちが、宇宙に点在する過去の厄祭戦とセブンスターズに関連した場所を目指している。モビルアーマーに対する研究がタブー視される一方、それを管理統括する上位の存在が示唆され、コウゾウ・メンドウがその研究と調査を行っていた。
関連用語編集
- モビルアーマー
- ハシュマルをはじめとする無人兵器。子機であるプルーマを無数に生産して自動で補給・修復できるほか、ビーム兵器やプルーマによる物量戦などを用いて効率的に多数の人を殺すことに特化している。このため人口密集地を優先して攻撃する性質があるほか、MSと対峙した場合はコクピットを執拗に攻撃する。作中ではハシュマルのみしか登場しておらず、無数にいたとされる他のモビルアーマーについては詳細不明だが、天使の名を冠していたとされる。休眠状態であってもモビルスーツの存在を感知すると自動的にスリープを解除して活動を再開する。
- モビルスーツ
- モビルアーマーに対抗するべく人類が開発した有人兵器。エイハブリアクターを動力源としてフレームに装甲や武装などの外装を取り付ける形式で、阿頼耶識システムを採用していたほか、高硬度レアアロイ製フレームにエイハブ・リアクターを搭載し、ナノラミネートアーマーによる高い防御力を持つ点はMAと共通していた。
- ロディ・フレーム/ヘキサ・フレーム
- 厄祭戦中期に開発・大量生産されたとされるフレーム。重量級のロディ・フレームに対して軽量級のヘキサ・フレームは損耗率が高く、戦後の残存数は少ないとされる。
- ガンダム・フレーム/ヴァルキュリア・フレーム
- 厄祭戦末期に開発されたフレーム。戦中はリアクター2基を並列に搭載し高出力を発揮したガンダム・フレームは高く注目され、それぞれに悪魔の名が与えられたものの、コストの高さと整備性の悪さから生産数は72機のみ。僅か9機しか生産されなかったヴァルキュリア・フレームは戦後にシンプルかつ軽量な特徴を評価されギャラルホルン製MSフレームのベースとなった。
- ゲイレール・フレーム/グレイズ・フレーム/レギンレイズ・フレーム
- 戦後にギャラルホルンによって開発されたフレーム。上記のヴァルキュリア・フレームを祖とし、高い汎用性が特徴。
- テイワズ・フレーム/イオ・フレーム
- 戦後にテイワズが開発したフレーム。リアクターの独自開発には至っていないため、戦場でレストアしたものを使用する。
- 高硬度レアアロイ
- MAやMSのフレームや一部の兵装の構成部材。耐久性が高く、下記のリアクターと併せてMAやMSが300年以上稼働可能な状態を保てる技術的な裏付けとなっている。
- エイハブ・リアクター
- MAやMSの動力源。並外れた耐久性を誇り、厄祭戦から300年以上経っても問題なく稼働するためレストアして再使用できる。宇宙で稼働状態のまま放置された物は擬似重力によってデブリ帯を形成している。
- ナノラミネートアーマー
- エイハブ・リアクターから放出されるエイハブ粒子によって装甲の強度を大幅に引き上げる金属塗料型装甲。
- 阿頼耶識システム
- 人体に外科手術で埋め込んだ端子とMSの操縦系を接続し、高度なMS操縦を可能とする技術。戦後はギャラルホルンによって禁忌とされたが、圏外圏では不完全な形で横行し、ギャラルホルンでも極秘に研究を続けている。
- ダインスレイヴ
- 高硬度レアアロイ製の質量弾頭を電磁投射機で射出する質量兵器。遠距離からナノラミネートアーマーの防御を突破出来る数少ない手段。当初は対MA用に開発されたが、発射地点を予測できれば回避が可能なのでMSによる直接戦闘が必要となった。阿頼耶識と同じく戦後はギャラルホルンによって使用が禁止されたが、ギャラルホルンはこれを大量に保有している。
資料リンク編集
リンク編集
余談編集
- しばしば「厄災戦」と表記されるケースが有るがこちらは誤表記である点に注意。