モビルドール

モビルドール(Mobile DOLL)編集

新機動戦記ガンダムW』に登場するモビルスーツ用制御システム。「モビルドール」とは「MOBILE Direct Operational Leaded Labor(直接指揮及び作戦用機動作業機)」を意味し、更に「MD」とも略される。

人間以上の能力を持たせた兵士をMSのパイロットにするのではなく、最初から兵士以上の処理能力を持つ演算回路をパイロットの代用として搭載するシステム。もしくは、そのシステムを搭載したMSを指す。デルマイユ侯ロームフェラ財団の後押しを受け、ツバロフ・ビルモン技師長によってアフター・コロニー195年に実用化された。

モビルドールは有人型MSを改修した物と、最初から無人機として開発された物の2種類が存在するが、いずれもパイロットが搭乗しないため、人間以上の反応速度を持ち、生身を超える耐G機動、そして機械制御特有の正確無比な射撃を可能としている。制御方法についても完全な自律制御の他、有人機など外部からの遠隔コントロールにも対応する。

無人兵器は兵士の徴収と訓練を省く効率的な面を持つが、同時にそれまで命をかけて行って来た戦争をゲーム感覚に変えてしまい、戦争の凄惨さに対する反省を促さなくなるという問題を孕んでいた。この問題については、MDの導入に否定的だったトレーズ・クシュリナーダOZ総帥の辞任にまで発展。結果としてOZの内部分裂を促す形となった。

宇宙へ進出したOZのトーラスに搭載され、遮蔽物の無い宇宙空間での戦闘で猛威をふるい、その後MDシステムの運用を前提としたビルゴが生産されると、オペレーション・ノヴァに投入され、地球の紛争を平定するが、ビルゴの生産を担っていた月基地がホワイトファングに占拠されると、今度はホワイトファングの主力として運用される事になった。

MDは予め設定されたプログラムによって制御されるため、それを以上の行動が出来ないという欠点を持ち、熟練パイロットには行動パターンを読まれ一蹴される事もあった。この他、手動で設定を変更するか味方機の識別信号を出さない限り攻撃目標に設定された対象を際限なく攻撃してしまうため、そこを突かれる形で甚大な被害を被る[1]など、機械ゆえの欠点も多い。

登場作品編集

新機動戦記ガンダムW
初登場作品。OZのロームフェラ派によって開発・運用され、状況によってはガンダムすらも追い詰めた。月基地がホワイトファングに占拠され、相当数の機体がホワイトファング側の主戦力として運用される。WF側のMDはゼロシステムによって管制されたものの、トレーズ率いる地球圏統一国家軍のリーオーに撃破される場面も見られた。
新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
マリーメイア軍が運用するが、拠点防衛用としてのみの使用に留まり、主力MSのサーペントは有人機となっている。

主なモビルドール 編集

リーオー
開発初期に有線誘導によるシステムの実験が行われた。
Dユニット
MO-Vがリーオーをベースに開発した拠点防衛用モビルドール。
トーラス
有人型と無人型の二種が存在し、有人型による無人型の指揮も可能。
ビルゴ
MDの運用を前提とした機体。ヴァイエイトとメリクリウスの性能を併せ持つ。
ビルゴII / ビルゴ³ / ビルゴIV
ビルゴの後継機種。
ヴァイエイト / メリクリウス
ホワイトファングが再製造した機体にトロワ・バートンヒイロ・ユイの戦闘データを組み込んで運用した。
キャプリコーン
有人操作を主とする機体。戦士の墓の調査などで無人仕様が運用される場合がある。
スコーピオ / プロトタイプスコーピオ
拠点防衛用に開発されたモビルスーツ兼モビルドール。

関連用語編集

モビルスーツ
MDの搭載対象である人型兵器。
モビルドール (GBD)
ガンダムビルドダイバーズ』シリーズに登場する同名の人形型ガンプラ。作中に登場する電子生命体「ELダイバー」のリアル世界でのボディとしても機能する。

リンク編集

脚注編集

  1. ヒイロ・ユイリーオーアストロスーツを敵と認識させる事でOZの基地を自滅に追い込んでいる。また、友軍の識別信号を出す機体からの攻撃に対しても、一切の抵抗を行わず、攻撃を停止している。