ガンプラ(Gunpla)
BANDAI SPIRIT(旧バンダイ)が生産・販売している、機動戦士ガンダムシリーズのプラモデル。「ガンダム・プラスチックモデル(Gundam Plastic Models)」の略称である。1980年の発売と共に一大ブームを引き起こし、開店前から模型店に長蛇の列が出来るなど、社会現象となった。
金型設計から生産・出荷まで全てを日本国内で行っており、「ガンプラが無かったら日本の模型産業は終わっていた」とも言われ、更にガンプラブームによって打ち切りに終わった「機動戦士ガンダム」の再評価が行われるなど、ガンプラが果たした貢献は大きい。
他のメーカーのプラキットと比較すると極めて低価格で提供されており[1]、プラモデルの入門にも適したシリーズとなっている。
主なガンプラのグレード
ブーム全盛期には多種多様なガンプラが開発・発売されていたが、2020年現在は
- 入門層向けの「HG」
- 中~上級者向けの「MG」
- 「究極」を目指した「PG」
- 「リアル」を追求した「RG」
- 低年齢層向けの「BB戦士」
の5種類をメインに展開している。
旧シリーズ
HGシリーズが登場する以前に発売されたシリーズの総称。「旧キット」とも。1/144、1/100、1/60など様々なサイズが発売された。製作には接着剤が必要で、パーツの色分けも行われておらず、シールは全て水転写式デカールになっているなど、完成させるには非常に手間が掛かる。可動範囲も初期のものは動かない箇所があるなど、アニメ通りの可動を実現させる為には改造が必須であった。
HG(ハイグレード)
ガンプラ10周年記念企画として1990年に登場。1/100スケールや1/550スケールのHGモデルが過去に発売されていたが、現在は1/144スケール、カトキハジメによる監修等共通のフォーマットを備えている「HGUC」と、「機動戦士ガンダムSEED」以降の作品のプラモデルで採用された「HG ○○」(○○の中にはSEED、00等各作品の英語タイトルまたは副題が入る)が主流。多色成形のパーツとシールにより「塗装をしなくても完成する」手軽さが売りになっている。
通常の20m級MSの他にも、サイコガンダムやミーティア、ネオ・ジオングのような大型の機体もモデル化されており、ガンダム試作3号機のキットに至っては全長1メートル、お値段28,000円(税抜き)という超ド級モデルである。
また、差し替えで変形機構を再現した可変モビルスーツも数多くモデル化されており、完全変形にこだわらなければ手を出しても損はないだろう[2]。
「Figma(フィグマ)」「武装神姫(ぶそうしんき)」等の他社製可動フィギュアと大きさがほぼ同じであるため、これらの改造用パーツとして用いられる事も多い。
- ハイグレード種別
- HGUC:宇宙世紀作品(1st~V。THE ORIGINやサンダーボルト等のアナザー宇宙世紀作品は除く)
- HGFC:未来世紀作品(G)
- HGAC:アフターコロニー作品(W)
- HGAW:アフターウォー作品(X)
- HGCC:正歴作品(∀)
- HGCE:コズミック・イラ作品(SEED、SEED DESTINYなど)
- HG GUNDAM ○○またはHG ○○:SEED、00、AGE、THE ORIGIN、鉄血、ビルドシリーズなど多数
MG(マスターグレード)
- ガンプラ15周年記念企画として1995年に登場。スケールは1/100。HGが普及品の位置づけとすれば、MGは「こだわった高級品」というコンセプトのシリーズであり、内部フレームの再現、合わせ目の出にくい構造等、HGに比べ高い完成度を持っている。
当初は「究極のガンプラを作る!」というコンセプトの元、「最高グレードのガンプラ」という位置づけだったが、後にPGの登場により変更され、多くの機種がラインナップされる事となった。
PG(パーフェクトグレード)
- ガンプラ20周年記念企画として2000年に登場。スケールは1/60。
ディテールや可動性にこだわった「究極のガンプラ」を目指したシリーズで、特に人気の高い主役機中心の展開になっている。一方で大型キットでパーツ数も多いことから、値段も2万円前後の高級モデルといった趣が強く、中にはPS4の新品本体より高額のキットも存在する。
RG(リアルグレード)
ガンプラ30周年記念企画として2010年に登場。スケールは1/144。MGやPGで培われた様々な技術の集大成として、各部にシリーズコンセプトである「リアル」を求める工夫が施されている。
組立においては多色形成技術を活用した「アドバンスドMSジョイント」を使い内部のフレームに装甲をはめていく実際の構造設定に近い設計がされており、各関節はガンプラの中でも最大級の可動域を実現している。
BB戦士(びーびーせんし)
いわゆる「SDガンダム」を対象としたノンスケールのガンプラシリーズ。名称は当初スプリングを利用してBB弾を発射するギミックが存在していた事に由来する。
SD(スーパーディフォルメ)ということもあって小型のキットが多く、HGやMGに比べて低価格の傾向がある。また、低年齢層向けに独自の組み替えギミックが仕込まれている事もある。また、近年ではパーツの切り離しにニッパーやヤスリ等の工具を必要としない「タッチゲート」方式が採用されているのも特徴。
派生シリーズとして海外向け低価格モデル「EXスタンダード」と、フレームの換装によって頭身を変化させる「クロスフレーム」が存在する。
その他のシリーズ
- EXモデル
- 2001~2009年に登場したガンプラシリーズ。ラインナップは戦闘機や車両、艦船を主としており、戦闘機や車両は基本的に1/144スケール(一部1/100スケール)、艦船は1/1700スケールとなっている。
- メガサイズモデル
- RGと同様、ガンプラ30周年記念企画として2010年に登場したガンプラシリーズ。スケールはPGをも上回る1/48スケール。
- スピードグレードコレクション
- 2007~2008年に登場した1/200スケールのガンプラシリーズ。HGを下回るサイズでありながら、パーツは全て彩色済みのフルカラーモデルとなっている。ガンダム、ウイングガンダム、Ζガンダム、ゴッドガンダムの4キットが発売された。2010年には航空会社ANAとのコラボ商品として限定デザインのガンダムとジェットのセット商品がANA限定で発売されている。
- FG(ファーストグレード)
- 「機動戦士ガンダム」生誕20周年記念として1999年に登場した1/144スケールのガンプラシリーズ。金型の消耗により供給不足となった旧1/144キットに代わる商品として発売され、旧キットと同様「単色成形色」「ポリキャップ未使用」「低価格」等の特徴を引き継いでいる。一方で造形はPGを基にしたスタイリッシュなデザインとなり可動域も増加。組み立て方式も接着剤が不要なスナップフィット方式に改められるなど後のHGに通ずるものがあり、プラモデル初心者の入門キットや改造・塗装の練習用キットなどといった幅広い用途に対応できるようになっている。その後『SEED』『00』においても入門用キットとして三~四色成形のキットが数種類発売された。
- AG(アドバンスドグレード)
- 2011年~2012年に発売された『AGE』のガンプラシリーズ。所謂AGE版FGであるが、一番の特徴としては当時おもちゃ売り場などで稼動していたアーケードゲーム「機動戦士ガンダムAGE ゲイジング」と連動している事であり、組み立ての際に付属する専用ICチップ「ゲイジングチップ」を組み込む事で、ゲーム筐体がICチップを認識し、プレイヤー機体として使う事が出来るようになる。
- EG(エントリーグレード)
- 2011年にタイなどのアジア圏向けに発売された1/144スケールガンプラシリーズ。「ガンダム」「ストライクガンダム」「ガンダムエクシア」「ダブルオーガンダム」の4体が発売されており、パッケージの説明書きは日本語、ハングル語、中国語など多数の言語で表記されている。所謂海外版FGで、ストライクとエクシアは三色成形になった事以外はFG版とほぼ同一。
その後、2020年3月には国内においても初心者向けプラモデルのブランド名として用いられるようになった。さらに同年には同シリーズでのガンダムの発売が決定。シリーズの特徴である「ニッパー不要」「接着剤不要」「塗装不要」「シール不要」という4点がありながら造形・組立構造はHG並みであり、かつ価格は700円(税抜)と、破格の低価格となっている。
関連作品と使われ方
- プラモ狂四郎
- クラフト団とやまと虹一による漫画で、ガンプラを語る上では外せない作品。
この作品で登場した「パーフェクトガンダム」「パーフェクトジオング」、「レッドウォーリア」は後にプラモ化され、ゲーム作品にも登場する。 - プラモウォーズ
- ガンプラ甲子園
- 模型戦士ガンプラビルダーズ ビギニングG
模型戦士ガンプラビルダーズJ
模型戦士ガンプラビルダーズD - ガンダムブレイカーシリーズ
- 2013年に1作目が発売されたガンプラを題材にした3Dアクションゲームで、テーマは「破壊」。多種多様なパーツを自由に組み換えて機体を作成できる他、「1/144ガンダム対1/60ガンダム」という変則マッチも行える。
- ガンダムビルドファイターズ/ガンダムビルドファイターズトライ/ガンダムビルドダイバーズ
- ガンプラとそれを駆使するビルダー(またはダイバー)、及びガンプラ同士によるバトルに主軸を置いた作品。時間軸や作品に捕らわれず、多彩なガンプラが登場する。
関連商品
外部リンク
リンク
脚注