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[[ガンダム開発計画]]によって製造された3機のうちの1機。コードネームは「サイサリス」。開発は[[アナハイム・エレクトロニクス社]]の第2研究事業部が担当。同部署は[[ジオニック社]]スタッフが中心となって立ち上げられた部署であり、そのためガンダム試作2号機は[[ガンダムタイプ]]でありながら特にジオン系の技術が色濃く取り入れられている。
[[ガンダム開発計画]]によって製造された3機のうちの1機。コードネームは「サイサリス」。開発は[[アナハイム・エレクトロニクス社]]の第2研究事業部が担当。同部署は[[ジオニック社]]スタッフが中心となって立ち上げられた部署であり、そのためガンダム試作2号機は[[ガンダムタイプ]]でありながら特にジオン系の技術が色濃く取り入れられている。
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ガンダム開発計画は、アナハイムが提出した数種の設計案をそのまま継承されており、その骨子は[[一年戦争]]中に開発された機体の系統を割り出し、その機能と運用目的を再検討した上で進化、あるいは刷新された機体を新たに開発するというものであった。このプロセスによってMSの運用を根底から見直した結果、不可避的に「戦略核」の概念が提示され、その概念に則って開発された。核の使用は人類全体に対する重大な背任行為であるが、[[地球連邦軍 (UC)|連邦軍]]首脳は、[[一年戦争]]で[[ジオン軍]]が[[南極条約]]締結後も核兵器を使用しようとした背景を理由に、確信犯的に、必要悪としてこの機体を認可している<ref>一年戦争においても、開戦から南極条約の締結に至るまで連邦・ジオン問わず核兵器は投入されており、締結後も核の使用やそれを前提とした未遂作戦などがあった。</ref>。
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ガンダム開発計画は、アナハイムが提出した数種の設計案がそのまま継承されており、その骨子は[[一年戦争]]中に開発された機体の系統を割り出し、その機能と運用目的を再検討した上で進化、あるいは刷新された機体を新たに開発するというものであった。このプロセスによってMSの運用を根底から見直した結果、不可避的に「戦略核」の概念が提示され、その概念に則って開発されたのが試作2号機となる。核の使用は人類全体に対する重大な背任行為であるが、[[地球連邦軍 (UC)|連邦軍]]首脳は、[[一年戦争]]で[[ジオン軍]]が[[南極条約]]締結後も核兵器を使用しようとした背景を理由に、確信犯的に、必要悪としてこの機体を認可している<ref>一年戦争においても、開戦から南極条約の締結に至るまで連邦・ジオン問わず核兵器は投入されており、締結後も核の使用やそれを前提とした未遂作戦などがあった。</ref>。
[[ミノフスキー粒子]]によって核ミサイルのような精密誘導機器を運用できなくなった情勢下において、抑止力、ことに自動報復装置としての戦略核は、すでに実効性を喪失しており、軍事的な側面に限って言えば、核兵器に残されたものはその圧倒的な破壊力のみである。しかし、前線で消耗戦を展開するよりも、敵の拠点を一挙に壊滅出来たほうが効率的であるのは言うまでもなく、戦略核を恫喝や牽制の手段として用い、反抗勢力を封殺するというのは旧世紀以来の伝統的な戦略でもある<ref>連邦軍首脳部は長く大艦巨砲主義に固執しており、MSが戦闘の主力になったことは了解していても、依然として戦略核による抑止力の有効性を信奉し続けており、ガンダム試作2号機の開発も、MSをミサイルに代わる核弾頭運搬装置として運用しようという発想があった。</ref>。何より、単純に「敵性勢力の殲滅を企図する」ことが軍事行動の要諦であれば、圧倒的な破壊力を機動兵器に附帯しようという発想はごく自然なものであり、こういった背景から、ガンダム試作2号機は「最強の攻撃力を持つMS」のコンセプトを元に、条約で禁止された戦略核の使用を前提に「誘導式の飛翔体に頼らずに核兵器を確実に運用可能な機動兵器」として開発され、いかなる環境・状況であっても敵およびその拠点を撃滅する事を目的とした強襲用[[モビルスーツ]]として完成した。
[[ミノフスキー粒子]]によって核ミサイルのような精密誘導機器を運用できなくなった情勢下において、抑止力、ことに自動報復装置としての戦略核は、すでに実効性を喪失しており、軍事的な側面に限って言えば、核兵器に残されたものはその圧倒的な破壊力のみである。しかし、前線で消耗戦を展開するよりも、敵の拠点を一挙に壊滅出来たほうが効率的であるのは言うまでもなく、戦略核を恫喝や牽制の手段として用い、反抗勢力を封殺するというのは旧世紀以来の伝統的な戦略でもある<ref>連邦軍首脳部は長く大艦巨砲主義に固執しており、MSが戦闘の主力になったことは了解していても、依然として戦略核による抑止力の有効性を信奉し続けており、ガンダム試作2号機の開発も、MSをミサイルに代わる核弾頭運搬装置として運用しようという発想があった。</ref>。何より、単純に「敵性勢力の殲滅を企図する」ことが軍事行動の要諦であれば、圧倒的な破壊力を機動兵器に附帯しようという発想はごく自然なものであり、こういった背景から、ガンダム試作2号機は「最強の攻撃力を持つMS」のコンセプトを元に、条約で禁止された戦略核の使用を前提に「誘導式の飛翔体に頼らずに核兵器を確実に運用可能な機動兵器」として開発され、いかなる環境・状況であっても敵およびその拠点を撃滅する事を目的とした強襲用[[モビルスーツ]]として完成した。