ゼロシステム(ZERO System)
ウイングガンダムゼロに搭載されたコクピットシステム。正式名称は「Zoning and Emotional Range Omited System(領域化および情動域欠落化装置)」。
ウイングゼロはトールギスと同様に「人が制御できない機動兵器」であったが、それは主に制御系全体を含むマンマシンインターフェイスの問題であり、ゼロシステムはその欠点を解消するシステムとして設計されている。
人間を越えた性能を追求した機体に対し、パイロットの能力をそれに見合う水準に強制的に引き上げるというものであり、コクピット全体を高度なフィードバックシステムとし、パイロットのコンディションやメンタル面に干渉。機体の各種センサーがもたらす膨大なデータから導き出された予測を瞬時に演算、パイロットの脳に直接伝達し、「勝利するための行動」を強制的に選択させることで、人間の限界を越えた機体制御を可能とする。
また、パイロットの脳内の各生体作用をスキャンし、神経伝達物質の分泌量をコントロールする機能を持ち、これによって刺激情報の伝達を緩和もしくは欺瞞し、パイロットに通常では対応出来ない高Gに対応させる。
基本的に、ゼロシステムが提示する行動は「単機での勝利」を目的としたものであり、友軍や周辺の被害を考慮せず、パイロットを極限状況に追い込み、自らの死すら厭わない非人道的な行動を強制する。また、システムのフィードバックはパイロットの身体機能や精神状態に深刻な影響を与え、命すら奪う危険もある。そのため、ヒイロ・ユイやゼクス・マーキスなどの強靭な精神力を持つ者でなければシステムを制御する事は出来ない。
ウイングゼロは、そのあまりに大きすぎる破壊係数を恐れた5人の開発者達によって開発が中断され[1]、実機が製造される事なく設計データも封印されたが、後にカトル・ラバーバ・ウィナーの手によって封印が解かれ、実機と共にゼロシステムも製造された。
また、ガンダムエピオンにも同等の「システムエピオン」が導入されているが、戦闘を勝利に導く為の解析手法がゼロシステムと異なっている。
登場作品
- 新機動戦記ガンダムW
- 初登場作品。ウイングゼロに搭載され、カトルやヒイロを初め様々なパイロットの精神に干渉し、乗り手を翻弄しながらも各々の進むべき指針を見せた。唯一、トラント・クラークはゼロシステムに翻弄されて発狂死している。
- 新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
- ウイングゼロが唯一の搭載機として登場。作中ではヒイロに対して何の指標も示していないように見えるが、小説版では張五飛の乗るアルトロンガンダムを撃破せよと命令を出している。また、シェルターの狙撃を行う際、映像でモニター左下を見るとゼロシステムが「OFF」に入れられているのが確認できる。
- ティエルの衝動
- 漫画オリジナルのバージョンとしてゼロシステム Ver2.0とVer2.5が登場。Ver2.0はパイロットの目的に対して出した解答を強制的に精神にフィードバックさせるという欠陥品となっており、作中ではカール・ノンブルーの平和を望む想いに対し「戦争を引き起こす人類を抹殺して本当に平和な世界を作る」という解答結果を出し洗脳した。一方、Ver2.5は一般兵向けに調整したゼロシステムであるが、それ以外の具体的な設定は無し。作中ではシステム起動時にオート操縦で敵に反撃する描写が見られた。
- ガンダムブレイカー バトローグ
- ガンダムリヴランスヘブンに搭載されている設定。ガンプラバトルにおいては「バトル中の戦術提案、更にその予測結果をはじめとした膨大な情報をファイターに提供する」サポートシステムとして機能する。
主な搭載機
- ウイングガンダムゼロ / ウイングガンダムゼロ (EW版) / ウイングガンダムプロトゼロ
- 最初のシステム搭載機。
- ガンダムエピオン / ガンダムエピオン (EW版)
- 同系統のシステムとして「システムエピオン」を搭載。アプローチ方法がウイングゼロのゼロシステムとは異なっている。
- ガンダムサンドロック改 / ガンダムサンドロック改 (EW版)
- ヒイロによってコピーを搭載。集団戦闘での戦況分析と把握の為のサポートシステムとして使用された。
- ワイバーン
- ガンダムルシフェル
- ゼロシステム Ver2.0搭載機。
- ウイングガンダムセラフィム
- ゼロシステム Ver2.5搭載機。
- ガンダムリヴランスヘブン
- サポートシステムとしてのゼロシステムの搭載機。
リンク
脚注
- ↑ ウイングゼロ自体、設計当時に存在しない技術や素材を取り入れており、必要なスペックのパーツが調達不能であった。