イオク・クジャン

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イオク・クジャン(Iok Kujan)

登場作品:機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ

ギャラルホルンを束ねる7つの家門「セブンスターズ」の一角、クジャン家の若き当主。アリアンロッド第二艦隊の指揮官で、パイロットとして長距離支援に特化したレギンレイズに搭乗する。
同じセブンスターズの当主にしてアリアンロッドを束ねる総司令官、ラスタル・エリオンとはプライベートでも親交があり、自身が若輩である事も相俟って年長者であるラスタルに全幅の信を置いている。その反面、ラスタル直属の配下であるジュリエッタ・ジュリスとは何故かそりが合わない模様。

『如何なる敵も正面から迎え撃つ』というクジャン家の教えを尊重する一方で、セブンスターズの当主が最前線に出る事を望まない者も多く、その為彼の機体は主に長距離射撃兵装を装備した支援機として調整され、後方からの部隊支援と指揮を担う事が多い。ところがMS戦も射撃の腕も上手とは言えず、同じ機体を駆るジュリエッタに比べると活躍しているとは言い難い(そのうえやたらと前方に出たがるきらいがあり、同行する部下達が必死で止める光景が定番と化している)
また、過度の正義感と騎士道精神からくる無謀さに加えて、自らの創始にかかわる歴史知識どころか戦闘に携わるなら一般的な知識にも欠く無知のせいでとんでもない事態を招いてしまう事も少なくない。

一方でその実直な性格や熱意から部下からの信頼は厚く、謹慎処分を受けた際には40人もの部下がラスタルにイオクに武勲を立てる機会を与えて欲しいと直接嘆願に来る程で、ラスタルもイオクには力は求めてはおらず、人を動かす人望に期待していると言う程。

登場作品と役柄

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
エリオン家と共にアリアンロッドを統括するクジャン家の当主として登場する。
当初はラスタルと同じく組織内で発言力を強めていくマクギリスに警戒心を抱いていたが、鉄華団マクギリスの派遣した地球外縁統制統合艦隊との合同作戦にも横槍を入れる形で参戦。戦用のレギンレイズで出撃したが、ジュリエッタ三日月昭弘達の活躍には遠く及ばず重要参考人であるサンドバル・ロイターの身柄拘束の功も奪われてしまった。
その後、ガラン・モッサの企てたアーブラウとSAUの紛争でもマクギリスの不行き届きを弾劾するが、ガルス・ボードウィン等がマクギリスを擁護したことで渋々引き下がらざるを得なかった。さらにマクギリスが極秘裏に火星圏に向かった際にはジャスレイからの情報でマクギリスがMAを倒し七星勲章を手に入れてセブンスターズの序列を変える事で謀反を企んでいるを決めつけて、MSで拘束に向かった。それによりむやみにMSを近付けてしまったためにエイハブ・ウェーブに反応したハシュマルを起動させ、鉄華団が主導する爆破作戦の足止めのための戦闘では、部下の仇を取る為に単独でハシュマルに挑むが、タイミングが悪くハシュマルの進路を変更させてしまい鉄華団の作戦を失敗させている。結果、避難の済んでいない農業プラントにハシュマルを招き入れた挙句にその場に居た多数の一般人を皆殺しにしてしまうという結果をもたらしてしてしまった。その後、自身の攻撃が無意味だったと知ると再びハシュマルに挑むが、これもタイミングが悪くハシュマルの移動速度を上げて鉄華団の作戦を妨害する形になってしまう。
鉄華団がハシュマルを撃破して以降は彼の火星での問題行動は他のセブンスターズの知る所となり、敬愛していたラスタルからも厳しく叱責されてしまう。だが、これが逆にイオク自信を後戻りできない状況に追い込んでしまい(ラスタルは「秩序を重んじるギャラルホルンとしての本質を見失うな」と釘を刺したに過ぎなかったが)、協力を申し出たジャスレイ・ドノミコルスの甘言に乗せられてしまう事になる。
ジャスレイに乗せられたイオクは鉄華団の後ろ盾であるタービンズを潰すため、禁止兵器である『ダインスレイヴ』を利用。タービンズに禁止兵器運用の罪をでっち上げて摘発。挙句、そのダインスレイヴをタービンズの避難船に打ち込んで多くの構成員を虐殺してしまう。しかし戦闘中にも関わらずブリッジを収納していなかった怠慢さとハンマーヘッドの撃ち上げた降伏信号を無視して虐殺を敢行したため、名瀬アミダの命を賭した反撃を喰らって自軍の戦力をも削いでしまう結果となった。
後にジャスレイが鉄華団に粛清された直後、マクギリス達の決起によってタービンズに働いた非道行為が白日の下に晒されてしまった。度重なる失態により一時は謹慎処分を受けるも部下の嘆願によりマクギリスがクーデターを起こした際に復帰している。数々の失態とラスタルの叱責を経て、自らの血筋に甘えていた事を自覚し、火星圏へと逃亡したマクギリスに対してギャラルホルンを背負う者として力に執着した者の最後を見届ける為に追撃部隊に志願し、指揮権を持たない一般兵として参加する。鉄華団の本部を包囲し、マクギリスが包囲網を突破する為に出撃した際には相手が手を出すまで手を出せない為、友軍機がやられるのを黙って見ているしかない状況に自らがその役目を買って出てマクギリスのガンダム・バエルに武装を解除しながら突撃し、ガンダム・バエルに自身の機体を破壊させて攻撃の口実を作る役目を果たした。

人間関係

ギャラルホルン

ラスタル・エリオン
アリアンロッド艦隊司令官にしてエリオン家当主。年長者であり、イオクとは幼少期から親交もあるため全幅の信頼を置いている。
ジュリエッタ・ジュリス
ラスタルの擁する秘蔵っ子であり、自身と同じレギンレイズのパイロット。イオクとは共に前線で戦う間柄であるが、彼には珍しく馬が合わずジュリエッタからは邪険にされている模様(ただし、ジュリエッタにはその自覚はない)。
ヴィダール
アリアンロッド艦隊が保有する謎の機体『ガンダム・ヴィダール』の専任パイロット。
マクギリス・ファリド
ファリド家の新当主にして、カルタ・イシュー亡き後に地球外縁統制統合艦隊を引き継いだ男。ギャラルホルンの中でも急成長を続ける傑物で、保守派思考の強いアリアンロッドからは警戒されている。


鉄華団

三日月・オーガス
サンドバル・ロイター拘束作戦において、自分達の邪魔をしたガンダム・バルバトスルプスのパイロット。ジュリエッタと共に邪魔者として対峙するも及ばず、サンドバルの身柄は目の前で掻っ攫われてしまった。

テイワズ

ジャスレイ・ドノミコルス
テイワズ幹部にして、クジャン家と繋がりのあるJPTトラストの代表取締役。組織内で台頭する鉄華団と後見人であるである名瀬を出し抜くため、マクギリスの動向をリークした。自分にとって邪魔な存在であるタービンズと鉄華団、果てはマクマードさえも消す事を企んでおり、イオクとアリアンロッドを利用してそれらを一掃しようと画策している。彼の入れ知恵でタービンズを壊滅させた際には手書きの感謝状を送り、共闘して鉄華団を叩く算段になっていたが、マクマードとラスタルの間に取引が成立した事で部隊を送る事は無かった。

名台詞

「海賊風情とはいえ、全力でたたき潰すのがクジャン家の教えだ」
セブンスターズの一家門を担う当主にして、自身の矜持を言い聞かせながら専用機に搭乗する。その気概は貴族精神にも通じ、決して嘘偽りは見られない……しかし、実際に活躍していると言われれば……
「制裁を受けろ!!」/「避けたか…なかなかやるな!」
34話「ヴィダール立つ」より。火星圏オセアニア連邦産業コロニーの独立運動に起因する暴動の鎮圧に向かった際、交戦中に。凛々しい口上とは全く裏腹に敵機にはかすりもしなかった(回避行動すら行っていない)。にもかかわらず堂々と相手を賞賛してみせる器の大きさ(?)を見せつける。その後危機に陥ったところをジュリエッタに救出され、さらには護衛のモビルスーツに抑え込まれるというオチまで。
「おのれ、死にぞこないッ! このイオク・クジャンの裁きを受けよッ!」
50話より。ダーインスレイヴの攻撃で大破寸前になったガンダム・グシオンリベイクフルシティを嬲っている場面にて。しかし、この時名乗りを上げてしまったため……
「あっ…あっ、あっ私が…こんなところでッ!」
「あ、あああ、嫌だッ! あ、あああいい゛、あああ―――」
上記の名乗りによってタービンズ壊滅の元凶であり、ラフタの死の遠因となったイオクが目の前にいることを知り、憎悪に燃える昭弘によってバランスを崩してしまい、そのままシザースで挟まれてしまう。
部下が必死に援護したが、シザーズが外れることはなく、情けない悲鳴を叫びながら潰されて圧死した。

搭乗機体・関連機体

レギンレイズ(イオク機)
アリアンロッドが新たに開発した新型MS、レギンレイズのうち、イオク専用機として支給されたもの。せめて前線に出ないようにと長距離用のレールガンを備えた後方支援仕様にカスタマイズされているが、やたらと前線に出たがるイオクの性分もあって存分に活躍しているとは言い難い。
グレイズ(イオク機)
イオク専用のグレイズ。