リディ・マーセナス(Riddhe Marcenas)
登場作品と役柄
- 機動戦士ガンダムUC
- もう一人の主人公とも言うべき役柄であり、主人公であるバナージと対照的な存在として描かれている。初代連邦大統領であったリカルド・マーセナスの子孫に当たり、代々政治家を輩出してきた名家であるマーセナス家の生まれで、彼自身それを疎ましく思い父、ローナン・マーセナスとは折り合いが悪くマーセナス家には頼らずに自分の実力で名を上げる為に家を飛び出して連邦軍に入隊しMSパイロットとなる。
軍に入った後もマーセナス家のお坊ちゃんと言う肩書が付いて回る事にうんざりしていたが、自分自信も無意識の内に自分を特別視していた事を後にブライトに指摘されている。
MSのパイロットよりも航空機のパイロットに憧れを持っており、複翼機の飛行機ミニチュアをお守りとして身に着けている。(小説版では左腕、OVA版では手首)
パイロットとしての技量は抜群であり、家柄も申し分なく、ちょっとした気配りもでき、さらにハンサムという非の打ち所がない。責任感が強く大変生真面目。物語序盤では完全無欠のパーフェクトな人物であったが、バナージ・リンクス、オードリー・バーンと出会い、また「ラプラスの箱」の正体を知ったことで精神的に不安定になってしまう。
所属するネェル・アーガマがラプラスの箱を巡る戦いに関わり、戦いを終わらせる為にミネバと共にマーセナス家の力を借りようと地球に降りて父を頼るも「ラプラスの箱」の真実や箱の中身を隠す為やビスト一族とマーセナス家が深くかかわっていた事を知り、絶望し罪悪感の救いをオードリーに求めたが、彼女はこれを拒否。また、常に彼女の傍で付き従い、ニュータイプとして覚醒しはじめたバナージを恋敵として、またマーセナス家の人間として強く憎悪する。
その後はユニコーンガンダムに対抗するために、同系機であるバンシィに搭乗。UC計画の体現者として、ジオニズムの象徴たるニュータイプのバナージ・リンクスを、そして地球連邦の暗部であるラプラスの箱を破壊し、ビスト一族の血を継ぐバナージとマーセナス家の血を継ぐ自分を殺す事で箱に関わる全てを終わらせて、箱の呪いから世界を解放する為に戦場へと赴いた。
バナージもそうであったように「システムに取り込まれている」リディには説得が通じず、やむなくマリーダ・クルスがクシャトリアで出撃し、サイコフレームの共振によって誤解を解こうとするも、直前で失敗。逆に憎悪を倍加させたリディはビームマグナムでクシャトリアのコクピットを打ち抜いてしまう。
死の瞬間のマリーダと通じ合ったことで凄まじい罪悪感と、彼女を失った人々の悲しみを共感してしまい、塗炭の苦しみを味わうも、ロンド・ベルのクルー達の暖かい言葉に本来の自己を取り戻す。
バナージ・リンクスの駆るユニコーンガンダムと、フル・フロンタルの搭乗するネオ・ジオングによるラプラスの箱をめぐる激闘に割って入り、さらにはラプラスの箱ごとすべてを闇に葬ろうとした地球連邦のコロニーレーザーをバナージとともにサイコ・フィールドを展開し、身を挺してこれを守った。
光の奔流の中で、複翼機の幻影を見た彼の心の変化を感じ取ったかのように、バンシィのサイコフレームは黄金の光から、ユニコーンガンダムと同じエメラルドグリーンの輝きへと変化している。
嫉妬や憎悪といった「分かり合えない人類」の塊のような描かれ方をしているため、またマリーダ・クルスの命を奪ったことから大変に嫌われている損なキャラクターであるが、犯した罪の大きさと、それを悔い、償おうとすることで、彼もまた「誤解なく分かり合える人」としての革新を遂げた。これは「誰でもニュータイプになれる」ということを示唆しており、ガンダムUCの「可能性」というキーワードの体現者として非常に大きな役割を、ある意味ではバナージ以上に担ってると言えよう。
人間関係
- ローナン・マーセナス
- 父。折り合いが悪かったが、ローナンの方からは父親として深い愛情を向けられていた。
- ミネバ・ラオ・ザビ
- デルタプラスで共に地上に降りるも、自宅で軟禁生活を強いる事になってしまう。更に父から明かされた箱の秘密に苦しみながらも彼女を守ろうとするが………
- バナージ・リンクス
- インダストリアル7で合流したユニコーンガンダムのパイロット。当初は「男」と見込まれた事もあって一目置いていたが、ラプラスの箱の秘密を知ってからはビスト家の嫡子でもあった彼に敵愾心を抱くようになる。
- ナイジェル・ギャレット
- ワッツ・ステップニー
- ダリル・マッギネス
- アルベルト・ビスト
- ブライト・ノア
- ラーカイラムの艦長。着任の時に無意識化で自分を特別扱いしていると言う事を看破する。
- マリーダ・クルス
- ミヒロ・オイワッケン
- ネェル・アーガマのオペレーター。原作小説では出撃の際に冗談半分でデートに誘った。
- オットー・ミタス
- ネェル・アーガマの艦長
- ノーム・バシリコック
- ネェル・アーガマのMS隊隊長。
名台詞
- 「殺し文句だな…これじゃ、勝ち目がない…」
- バナージとのやり取りで、「男と見込んだ」とミネバを託される。その信頼に応えるべく、リディはミネバを地球に送り届ける。
- 「『可能性』に殺されるぞ!そんなもの…棄てちまえ!!」
- バナージの必死の説得も聞き入れず、攻撃態勢にはいったロニの乗るシャンブロを撃墜しようと突撃をかけた際に。他者と(たとえ敵同士であっても)『誤解なく分かり合う』という『可能性』を持ったニュータイプではあるが、だからこそ『分かり合えるかもしれない可能性』が戦場では命取りになってしまう。それを端的に表したセリフ。『可能性』は機動戦士ガンダムUCのキーワードのひとつであるが、それが実らない悲しいケースである。
- 「俺たちも行こう……バナージ。お前の役目は終わった。『ラプラスの箱』は開かれたんだ。艦に戻ってゆっくり休め……お前はまだ、生まれたばかりなんだから」
- 「これが完成されたニュータイプ…… そそかっしいんだよ、お前は! 誰もそんな結果は求めちゃいない。可能性があれば、それでいいんだ! 俺もお前も、まだこの世界でやることが沢山あるはずだろう! 必ず、連れ戻してやる! バンシィ!」
- 「そんなんでミネバが抱けるのかよ! オードリーを盗っちまうぞ、バナージ!」