ユノア・アスノ(Unoa Asuno)
- 登場作品:機動戦士ガンダムAGE
- 声優:大亀あすか(第二部、第三部29話)、遠藤綾(第三部)
- 性別:女
- 年齢:14歳(第二部)⇒25歳(第三部29話)→38歳(第三部)
- 所属:民間人⇒地球連邦軍
- 役職・称号など:学生(第二部)、衛生士(第三部)
- 主な搭乗艦:ディーヴァ、バロノーク
フリット・アスノとエミリー・アスノの間に生まれた娘であり、アセム・アスノの妹。基本的に明るく外交的で、兄アセムや後に義理の姉となるロマリーを強く慕っている。アセムが卒業するまでの間に彼と同じ高校に進学していて、A.G.142年時は医療ボランティアとして各地を飛び回っていた。後に生まれた甥のキオ・アスノを、ロマリーやフリット達と共にずっと支え続けていく。
小説版
立ち位置こそ原作と同じであるが、性格や活躍は原作と大きく異なっている。
第二部での出番は僅かで、フリットから放任主義を受け、自身は兄アセムと違って期待されていないのではないかと思い悩むなど、僅かながら父に対する複雑な感情を垣間見せていたが、その感情は第三部にて、完全に嫌悪感へと変じている。兄を異常に依怙贔屓し、キオをも殺人兵器(ガンダム)のパイロットに仕立てた者として家庭人としても激しく嫌悪し、更に地球連邦の国是をクーデターによって崩壊させ、粛清委員会を起ち上げて数えきれないほどの人間をギロチンに送り、ヴェイガンと関係のない人間をも多く破滅へと追いやった者として、父に対して尋常でない程の嫌悪感を抱いている。「アスノ家」の名そのものにも嫌悪感を向けるに至っており、ハイスクールに上がる頃には既にアスノ家を出ており、アスノの名も「医療ボランティアの資金収集が楽だから」名乗っているに過ぎない。喫煙者になっているが、人前では吸わないように心がけている。
アセムが戦死認定された後も実は生存して宇宙海賊ビシディアンで活動している事を知っており、密かに連絡を取り合っている。だが、それらの行為は、父フリットにかまって欲しくての行動であったこともあり、フリットへの愛情の裏返しをも言える。
原作と性格や活躍に変化が生じている事が多い小説版AGEのキャラクターの中でも、特にその変化が大きいキャラクターであり、故にファンからの賛否両論意見も多く見られている。
登場作品と役柄
- 機動戦士ガンダムAGE(第二部)
- 機動戦士ガンダムAGE(第三部)
- 機動戦士ガンダムAGE(第四部)
- 機動戦士ガンダムAGE(小説版)
- 前述のとおり、第二部では出番はわずかで、本格的な登場となるのは第三部からとなる。
人間関係
- フリット・アスノ
- 父。ドラマCDでは好きな人のタイプに「お父さんみたいな人」と挙げていた一方、小説版第三部では尋常ではない程の嫌悪感を抱いており「差別意識と父権主義とエリート主義を擬人化したような男」と評している。だがそれは兄のアセムにばかり期待をしている事から、自分もかまって欲しいと言う愛情の裏返しであった。
- エミリー・アスノ
- 母。小説版第三部では父の人形であることに甘んじているとして嫌っている。
- アセム・アスノ
- 兄。第四部では、13年ぶりに再会する。小説版では心理描写で恋焦がれていたと表する場面がある。
- バルガス・ダイソン
- 曽祖父。アセムとは違い名前を呼び捨てにしていないでひいおじいちゃんと呼んでいる。
- ロマリー・ストーン
- 兄の友人で、後の義理の姉。アセムと結婚前から連絡を取り合っていた為、仲が良かったと思われる。
第三部では義姉なのに何故か「ロマリーさん」と他人行儀な呼び方をしているが、アセムと結婚する前から付き合いがあった為、その時の名残である可能性もある。 - キオ・アスノ
- 甥。第三部では共にディーヴァに乗艦し、厳しく体調の管理を行う。
- ウェンディ・ハーツ
- ディーヴァにおける医療スタッフであり、助手。小説版では彼女の意思を汲み、彼女をビシディアンへと手引きする。
名台詞
原作
小説版
- 「さて、父さんはどうするのかしらね。 アスノ家の血がどうとか言うのに、私をガンダムに乗せるなんて事は全く考えない、あの男権主義者は」
- 小説版四巻での初登場場面での台詞。いきなりの父への嫌悪感を強く滲ませた台詞で、以下に綴られる彼女の父への尋常ではない嫌悪感と共に、アニメ版の彼女を知る多くの読者に衝撃を与えた。
- 「そんな私が、よい叔母を演じて、こうしてディーヴァに乗っているのだから……フフ……シャナルアはいい面の皮よね……」
- 両親を徹底的に嫌悪しながらも、結局「逃げ出した人間」である自身を自嘲する。慕い、恋い焦がれた兄と違う自身を。この台詞から察するに、シャナルアの素性にも気付いていたようであり、自身も彼女同様に、内通相手こそ違えど、似たような行動をしている為、より自嘲の念を抱かずにいられなかったのかもしれない。
- 「一年と二十二日ぶりね、兄さん」
- サルガッソー宙域にて兄と再会して。過去のガンダムシリーズのあの人を彷彿させる台詞。
- (結局……私は父にかまって欲しくて、不良ごっこをやっている……)
- 小説版五巻より。ミンスリーにてディーヴァを降り、出航するディーヴァを見送りながら呟く。スパイ行為が発覚しても、シャナルアの時と違って、ユノアは立件される事は無かった。その事実が今では重大な事ではなく、フリットにとってユノアがその程度の存在でしかないという事の立証でもあった。ユノアの行動は、憎んでいても本心では完全に捨てきれない父への思慕の裏返しでもあった。独りこれからの事を逡巡するユノアだったが、そんな彼女の前に現れて手を差し出したのは、母と義姉だった。
- 「兄さんは兄さんなりに、この世界に正しいことを、人の光を見せようとした。そう思わなければ、それこそキオが救われないでしょう……?違って?」
- ヴェイガンギア・シドとの最終決戦にて、家族を捨ててビシディアンに転身してからの自身の行いを「傲慢だった」と詫びるアセムに対して、彼女なりの言葉で兄を後押しする。
- 「愛してるわ」
- 上記の場面の後、再びシドとの戦いに赴く兄を見送り、その背中に向けて呟いた言葉。その声は戦場には小さすぎて、兄に届く事は無かった。
- 「安楽な死を捨てて、屈辱の生を選びましょう。父さん。あなたには、英雄になってもらう。私や兄さんと一緒に」
「そう。この時代に作られた英雄に。世界の人々はアスノの家を憎む。嫉む。さげすむ。そのようなものが不要な社会を望む。そのような英雄に」 - 最終決戦が終わり、独り自決を図ろうとしたフリットを阻止して。全てを清算するためにも、キオたち未来の若い世代のためにも、一族全員で今度こそ戦乱の原因そのものたる貧困と無知と偏見に立ち向かい、世界を再建していく事を促す。ユノアがようやく父と向き合い、彼女の憎しみが昇華されていくと共に、フリットが今度こそ生きての未来を見出し、父娘が通じ合った瞬間でもあった。