リリーナ・ドーリアン(Relena Darlian)
- 登場作品:新機動戦記ガンダムW、新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
- 声優:矢島晶子
- 本名:リリーナ・ピースクラフト
- 種族:地球人(アーリア系)
- 性別:女
- 年齢:15歳→17歳(Endless Waltz時)
- 身長:154cm
- 体重:38kg
- 出身:サンクキングダム
- 所属:サンクキングダム(代表)⇒世界国家元首⇒地球圏統一国家(外務次官)
- 役職・称号など:王女⇒外務次官
地球圏統一連合のドーリアン外務次官の娘で、『新機動戦記ガンダムW』のメインヒロイン。
しかし彼女の本当の出自は完全平和を唱えた末に滅ぼされた亡国「サンクキングタム」の王女であり、「リリーナ・ピースクラフト」が彼女の本名。ゼクス・マーキスという偽名でOZに所属していたミリアルド・ピースクラフトとは兄妹の関係にある。また、元々は(外務次官令嬢であるとはいえ)少々世間知らずな普通の少女に過ぎなかったが、突如降りかかった運命に翻弄される中で次第に成長を遂げ、自身の立場を受け入れて余りにも遠い霞のかかったような目標である「完全平和」を掲げ歩み続ける、強い精神力を備えるようになった。
その結果、彼女は作中で強いカリスマ性を発揮するようになり、作中では亡国サンクキングダムを一時的にではあるが再興することに成功。その後ロームフェラ財団に祭り上げられてという形ではあるものの、若干15歳にして世界国家元首「クィーン・リリーナ」の地位にまで登り詰める。また、戦後は地球圏統一国家の外務次官の職に就くこととなったが、続編「Endless Waltz」の頃には彼女の求心力無しには地球圏統一国家が立ちゆかないほどの存在となっていた(結果、その影響力に目を付けられ、マリーメイア派に拉致されることとなる)。
主人公であるヒイロとの関係については、彼の秘密を知った彼女を抹殺するために姿を現すという特異な接触であったため、その時点で普通の少女であった彼女は大いに戸惑いを覚えていた。しかし彼女の精神的な成長とヒイロの心情変化の中で徐々に対等な関係を築き、最終的には互いに心の支えとして欠かせない者同士となった(尚、Wから続編のEndless Waltzまでの間、二人は共に居たわけではなく、それぞれのフィールドで活動を行っていたようである。その点については、漫画作品『新機動戦記ガンダムW BATTLEFIELD OF PACIFIST』や『新機動戦記ガンダムW BLIND TARGET』においてその一端が描写されている。ちなみにBLIND TARGETでは二人の関係に一層の発展がある)。
新機動戦記ガンダムW
父の付き添いで宇宙から帰還する際、シャトルの窓から地球へ降下する一機のモビルスーツを目撃する。その後、砂浜で行き倒れていた少年を助けるが、実は彼は彼女が目撃したMSのパイロット、ヒイロ・ユイであった。彼は、彼女に自らを目撃されスーツの機能を使い自決しようとするが、動作不備により失敗。駆けつけた救急車を奪い、そのまま逃走してしまう。
ところが後日、ヒイロは突如聖ガブリエル学園に転入してくる。その事に驚くも喜んだ彼女は、ヒイロとの関係を良好に保とうと、彼に自分の誕生日会の招待状を渡す。しかしヒイロは事もあろうにそれを目の前で引き裂き、動揺し涙を浮かべるリリーナの涙を指で擦って再び「お前を殺す」と宣言。全く意味不明の行動に彼女は「何なの、この人…」と嘯き立ち尽くすしかなかった。
ごく普通の少女であったリリーナは、ヒイロの出現に戸惑いながらもその刺激的ともとれる奇抜な存在を追い続ける。その最中レディ・アン指揮の下で遂行されたOZのテロ行為により事態は急変。父・ドーリアン外務次官が暗殺され、しかも彼から自分が実の父ではなくサンクキングダム王家の腹心であり、リリーナはその跡取り娘「リリーナ・ピースクラフト」であるという事実を告げられる。
一時は憎しみに心を囚われ、仇敵であるレディの暗殺を企てたが、サンクキングダムの平和の理念に今でも共感する人々が多い事を知った彼女は、亡きピースクラフト王が唱えた完全平和主義を実現すべく立ち上がる事となる。同時に自らに強烈な印象を残したヒイロに対しての興味も一層強くなり、転校を繰り返す彼を彼女の方から追いかけ回すなど積極的に接触を試み、その結果狭い世界を飛び出してその活動の舞台を世界へ広げることとなった(この後、ヒイロとリリーナとは様々なシチュエーションで接触を繰り返すようになる。時には窮地に陥ったヒイロを受け入れる側として、またある時にはヒイロの暗殺の対象として)。
その後、奔走のかいあって亡国サンクキングダムがその存在を世間に再び認められる日が来る。彼女はそれを機に「ピースクラフト」姓を名乗り、前国王が掲げた「完全平和主義」を実現すべく様々な活動を開始する。しかし彼女の掲げる完全平和主義はロームフェラ財団の意にそぐわないものであったために様々な妨害工作を受け、最後にはサンクキングダムに対しOZの総攻撃が行われるに至った。彼女は完全平和主義の理念を貫くため、自らとサンクキングダムの存在が戦いの火種になるぐらいなら、と自らの手でサンクキングダムの解体を宣言。その身はロームフェラ財団預かりとなる。
しかし平和のためにその身をも賭す彼女の大胆さ、そして亡国王女としてのカリスマ性に目をつけたロームフェラ財団指導者・デルマイユ公爵は、ロームフェラの求心力維持のためにリリーナにロームフェラ財団の指導者就任を要請する。彼女は平和への信念を胸にその要請を受け入れて財団代表に就任し、世界国家の樹立を宣言。ロームフェラ財団に参加する各国に対し自らの平和への理念を語った。その結果、デルマイユの思惑を越えて彼らの心を完全平和主義へと傾けさせることに成功した彼女は、財団総会でOZの武装解除を宣言するまでに至る。
しかしそこに立ちはだかったのはゼクス・マーキスこと、実の兄であるミリアルド・ピースクラフトであった。彼は反地球組織「ホワイトファング」の代表として、宇宙に敵対する存在としての地球の排除を宣言。そしてその意を汲んだトレーズ・クシュリナーダはリリーナを国家元首の地位から追放し、その裏で彼女を自由の身として後を委ねた。彼ら二人の真意は、人々は完全平和主義を実践していくにはまだ未成熟であるため、「もう二度と見たくないような悲惨な戦い」という愚行を敢えて行うことで人々を真の完全平和主義へ導くことであった。
自由の身となった彼女は宇宙へと上がり、ゼクスに真意を質した際にその事実を(間接的に)告げられる。彼女はその考えに理解を示すことは出来なかったが、彼らの想いは自らの胸に刻み込む。そして全てが終わった後は地球圏統一国家の外務次官「リリーナ・ドーリアン」として、完全平和主義を実現すべく自分のやり方で新たな戦いを始める彼女の姿があった。
……その後外務次官としての生活を始めて暫く経ち、彼女は16歳の誕生日を迎えるが、その際に差出人不明のクマのぬいぐるみが届く。同時に添えられていたメッセージカードを彼女は微笑のうちに破り捨て、すぐ側にいると思われる彼に「今度はちゃんと手渡ししなさい」と、1年前の意趣返しとばかりに言い返す。そして二人は、平和に向けてそれぞれの道を歩んでいくこととなった。
新機動戦記ガンダムW Endless Waltz
前作から一年後、再びその求心力に目をつけられた彼女は、マリーメイア・クシュリナーダ(というより、彼女を傀儡としていた黒幕のデキム・バートン)により誘拐され、その存在を利用されかかる。しかし自らが人質という状況下でもリリーナはマリーメイアを説得し、世界中の人々に対して「平和は一人ひとりが自分の力で勝ち取るものである」とメッセージを伝える。その結果市民は自らの行動の大切さを悟り、マリーメイア軍のクーデターは瓦解。マリーメイア本人もヒイロの手によりデキムの呪縛から解き放たれた。満身創痍でその場に倒れ付すヒイロを、彼女は優しく抱き寄せるのであった。
登場作品と役柄
人間関係
- ヒイロ・ユイ
- 当初は秘密を知った者として命を狙われるが、最終的には互いにかけがえのない存在となる。
- ドーリアン外務次官
- 育ての親。OZの手にかかり死亡する。
- ゼクス・マーキス
- リリーナの実の兄。
- ルクレツィア・ノイン
- ゼクスとの約束でリリーナの護衛を担当、サンクキングダム近衛兵となる。サンクキングダムがなくなっても「リリーナ様」と敬称で呼ぶ。
- トレーズ・クシュリナーダ
- 真の完全平和主義を実現すべく、ロームフェラの檻から取り払い、戦後の役目を彼女に託した。
- レディ・アン
- 父ドーリアン外務次官の仇。一時期復讐に囚われていたが、最後は平和のため彼女を赦す。
- ドロシー・カタロニア
- ロームフェラ財団の人間。リリーナに話し合いだけでは平和が得られないと悟らせた。また、リリーナの熱烈なファンでもある。
- マリーメイア・クシュリナーダ
- 彼女を説得し、その過ちを正す。
名台詞
TV版
- 「私はリリーナ・ドーリアン。あなたは…?」
- ヒイロとの初対面で、逃げられてしまう。名乗らない相手に、リリーナは自分を名乗って出会える日を心待ちにしていた。
- 「ヒイロ…早く私を殺しにいらっしゃい!!」
- ヒイロに出会えないもどかしさから叫んだ。
- 「ヒイロ!ゼクスを殺しなさい!!」
- ゼクスとヒイロの南極での決闘において、ヒイロに卑劣な戦いを挑んでいる「元サンクキングダムの騎士」ゼクスを討つようヒイロに叫ぶ。しかし直後、ノインからゼクスが自身の実の兄であることを知らされることになる。
- 「ヒイロ!今度はちゃんと手渡しなさい!」
- ヒイロに誕生会招待状を引き裂かれた時のお返しとばかりに、今度は逆にヒイロのバースディカードを引き裂いてのセリフ。ガンダムWのラストシーンである。