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== ザクII (Zaku II) ==
 
== ザクII (Zaku II) ==
[[ジオン公国|ジオン公国軍]]の主力量産型[[モビルスーツ]]。
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[[ザクI]]の実際の運用によって各種問題点が浮き彫りとなり、技術者やパイロットによる更なる高性能化を要求する機運の高まりを受けて開発された[[ジオン公国|ジオン公国軍]]の主力量産型[[モビルスーツ]]。[[一年戦争]]におけるジオンの主力機であると同時に、モビルスーツという兵器を代表する機体である。
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一年戦争時にジオン公国がもっとも多く使用したMS。動力パイプの露出、肩部装甲の改良、頭部装甲中央の支柱の撤去など[[ザクI]]に根本的な改良を行い、稼働時間やジェネレーター出力等基本性能が向上。また、多彩なオプション装備の用意によって汎用性を向上させている。その優れた設計思想と戦果は、ジオンのみならず連邦や後の世の組織に多大な影響を与えている。
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生産はザクIの生産完了に前後する形で進められ、その設計にはザクIの生産と運用を通じて得られたデータが反映されており、制御系や動力系の見直した実施され、各部材の規格化や換装に配慮した構造が採用されている。
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総生産数はザクIとあわせて8000機とされ、両軍でも最大である。[[一年戦争]]時に大気圏内外を問わず、序盤から終盤まで幅広い戦場で活躍した。数多くのバリエーション機を産出したジオン軍モビルスーツの中でもその数は最多であり、また、ひとえにザクIIと言っても、下記のように仕様の異なる機種が多数存在する。
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事実上「人体を模した挙動の再現」に関してはザクIの時点で既に完成を見ており<ref>例えばマニピュレーターによる「作業精度」は当時の標準兵装とされていた105mmマシンガンの射撃・分解・組み立てが可能なほどであり、コロニーなどの営繕設備の操作や港湾施設の潜入などに必要な作業のほぼ全てに対応可能であった。また、マガジンの交換や榴弾の投擲、斬撃などをこなす一方で、モードを返還すれば拳や歩行脚そのものを打突や蹴撃に使う事もできた。無重量での姿勢制御は言うに及ばず、歩行や走行、跳躍など重力下における高度な走破性など、圧倒的な機動力を発揮した。無論、複雑な作業やコロニーへのランディングなど、練度が要求される局面はあるものの、巨大な歩兵としての機能は既に完成していたと言える。</ref>、その基礎スペックを継承・発展させる形で[[宇宙世紀]]0077年から[[ザクIIA型]]の量産が開始された。また、それと軍の戦略として地上への侵攻も選択肢として現実味を帯びてきた事から、局地戦用MSの開発計画に伴う要請に答えるべく、並行して各種のバリエーションも開発される事となっ<ref>この際、ズム・シティを始めとするジオン本国は元よりア・バオア・クーやグラナダなどを含む全工廠のおよそ80パーセントがF型を生産していた。その様子はまさに「臨戦態勢」であり、開戦直後の喪失数も視野に入れた生産体制に基づいていたとする説もある。また、生産工場ではライセンス生産的に多数の企業が関わっているため、同型の機体のパ0つであっても担当技術士官の設計思想の違いなどから別のハウジングが行われる事例が起きていた。</ref>。その後、A型の量産は比較的早い時期に終了し、0078年初頭に生産の中心は[[ザクIIC型|C型]]に移行。同年末にはより実戦的な[[ザクIIF型|F型]]へと移行していった。
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各機種の詳細は各項目を、その他の改造機・発展機などは[[ザクシリーズ]]を参照。
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こうして「かく有り得べきMS」として誕生したザクIIは当初想定し得る汎用性と拡張性を貪欲に取り込んだ公国軍系MSの原器そのものとなり、任務や用途に適応した「特殊仕様」、投入環境を限定した「局地戦仕様」、そしてトータルのスペックアップを図る「統合性能向上」など、多様なアプローチによってあらゆる環境に適応したバリエーションを生み出す事になる。戦争が継続する中でその機能向上はある種の限界に達していたが、これらの改装・改造機は前線においてそれなりの成果を挙げていたため、水陸両用機や空間戦闘専用機の開発が既に始まっていた中であっても技術者の間にはある種の「ザク神話」が醸成されていた<ref>特に[[地球侵攻作戦]]後の膠着状態において顕著であり、本来であれば実戦データからより完成度の高い次期MS開発に以降すべき時間と国力をいたずらに消費する結果となった。</ref>。その幻想は[[地球連邦軍 (UC)|地球連邦軍]]の[[ガンダム]]出現と共に崩壊する事になるが、公国軍の誇りとも言える「ザク」を捨てる事は技術的な側面からも困難であったという。
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なお、ザクIIの生産数は同一型式のMSとしては空前絶後であったが、これは[[ジオン公国]]が国家としてのリソースを戦争遂行に集中した結果であり、実質的な経済状態は既に破綻していたとされている<ref>ズム・シティを始めとするジオン本国は元よりア・バオア・クーやグラナダなどを含む全工廠のおよそ80パーセントがF型を生産していた。その様子はまさに「臨戦態勢」であり、開戦直後の喪失数も視野に入れた生産体制に基づいていたとする説もある。また、生産工場ではライセンス生産的に多数の企業が関わっているため、同型の機体のパ0つであっても担当技術士官の設計思想の違いなどから別のハウジングが行われる事例が起きていた。</ref>。それでもジオンが総力戦必至の独立戦争に邁進したのは、主力兵器たるザクが従来の戦術を根底的に覆すという揺るぎない勝算によるものであり、それは一年戦争の緒戦において証明されている。
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初期に生産されたA型の両肩にはザクIと同様のフラットなショルダーアーマーが装備されていたが、生産がC型に移行する際に左肩にスパイクアーマー、右肩にシールドが装備されるようになり、このスタイルはそれ以降のザク系列機にも継承される事になる。また、ザクIで内装されていた流体パルスシステムの動力パイプは、生産性や整備性を考慮し機外に露出させている。
    
== 機種バリエーション ==
 
== 機種バリエーション ==
<!-- 基本的に機体名に「ザクII」が記載されている機種を対象とします。 -->
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*基本的に機体名に「ザクII」が記載されている機種を対象とする。各機種の詳細は各項目を、その他の改造機・発展機などは[[ザクシリーズ]]を参照。
 
;[[ザクIIA型]]
 
;[[ザクIIA型]]
 
:初期生産型。主に教導機動大隊に配備された。
 
:初期生産型。主に教導機動大隊に配備された。
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:;[[ザクII寒冷地仕様]]
 
:;[[ザクII寒冷地仕様]]
 
::J型の寒冷地仕様。
 
::J型の寒冷地仕様。
<!-- :;[[陸戦高機動型ザク]]
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:;[[陸戦高機動型ザク]]
::J型の性能向上型。G型と呼ばれる機種。 -->
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::J型の性能向上型。G型と呼ばれる機種。
 
;[[ザク・トレーナータイプ]]
 
;[[ザク・トレーナータイプ]]
 
:教習用に改修された機体。一年戦争初期はC型、以降はF型をベースとしている。
 
:教習用に改修された機体。一年戦争初期はC型、以降はF型をベースとしている。
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;[[ガルマ・ザビ専用ザクII]]
 
;[[ガルマ・ザビ専用ザクII]]
 
:[[ガルマ・ザビ]]専用機。
 
:[[ガルマ・ザビ]]専用機。
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;[[ザクII (シン・マツナガ中尉機)]]
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:[[シン・マツナガ]]専用機
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;[[ザクII (エリック・マンスフィールド少佐機)]]
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:[[エリック・マンスフィールド]]専用機。
 
=== S型 ===
 
=== S型 ===
 
;[[シャア専用ザクII]]
 
;[[シャア専用ザクII]]
 
:[[シャア・アズナブル]]専用機。
 
:[[シャア・アズナブル]]専用機。
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;[[ザクII (ジョニー・ライデン大尉機)]]
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:[[ジョニー・ライデン]]専用機。
 
=== J型 ===
 
=== J型 ===
 
;[[ザクII (エルマー・スネル大尉専用機)]]
 
;[[ザクII (エルマー・スネル大尉専用機)]]
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== 基本装備 ==
 
== 基本装備 ==
 
;[[ザク・マシンガン]]
 
;[[ザク・マシンガン]]
:主兵装である120mm口径のMS用マシンガン。
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:ザクの主兵装である120mm口径のMS用マシンガン。一年戦争の初期に多用された。ドラムマガジンが特徴で、開発当初からオプションマガジンの携行用ラッチがザクの腰部両サイドに設けられている。通常弾の他、徹甲弾や榴弾など、複数の弾種が用意されていた。
 
;ザク・バズーカ
 
;ザク・バズーカ
:対艦用のロケットランチャー。[[一年戦争]]開戦当初は核弾頭が用いられた。
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:ザクが使用する大型火器の一つ。口径は280mm。[[一年戦争]]開戦当初は核弾頭の射出にも使用されたが、[[南極条約]]締結後は通常弾頭を装備している。基本的には対艦用の兵装だが、対MS兵器としても充分な攻撃力を発揮する。ただし、動いている敵機に命中させるのは至難の業であった。
 
;ヒート・ホーク
 
;ヒート・ホーク
:刀身を赤熱化する事で敵機の装甲を焼き切る斧状の武器。
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:MS用の近接格闘武器。ブレード部分を赤熱化する事で敵機の装甲や施設などを溶断する。携行する際には腰部のラッチに装着する事も可能。砲撃戦、銃撃戦を経て近接戦闘も可能とし、ザクの汎用性を更に高める装備となった。当初は艦艇や建造物を目標としていたが、敵MSの出現に伴い対MS用兵器として流用された。
    
== 他シリーズの関連機体 ==
 
== 他シリーズの関連機体 ==
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