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== 概要 ==
 
== 概要 ==
[[ガンダム開発計画]]によって製造された3機のガンダムのうちの1機。開発は[[アナハイム・エレクトロニクス社|アナハイム]]の先進開発事業部「クラブ・ワークス」が担当。ガンダム開発計画で開発されたガンダム各機には花の名前のコードネームが付けられており、1号機は「ゼフィランサス」のコードネームで呼ばれる。花言葉は「清き愛情」。
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[[ガンダム開発計画]]によって製造された3機のガンダムのうちの1機。RX-78[[ガンダム]]のさらなる高性能化を目指し、次期主力[[モビルスーツ]]を開発するためのテストヘッドとして試作されたガンダムタイプの内、「汎用型MS」の重力下仕様機となっている。開発は[[アナハイム・エレクトロニクス社|アナハイム]]の先進開発事業部「クラブ・ワークス」が担当。ガンダム開発計画で開発されたガンダム各機には花の名前のコードネームが付けられており、1号機は「ゼフィランサス」のコードネームで呼ばれる。花言葉は「清き愛情」。
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RX-78[[ガンダム]]のコンセプトを踏襲・ブラッシュアップしながらも、その万能性を切り捨てる事でMS単体での統合性能の強化を図っている。重力下仕様と宇宙戦仕様を明確に区分しており、機体の主要機関が集約された[[コア・ファイター]]を換装し、一部の追加装備を施す事でそれぞれの運用領域に対応する<ref>無論、機体の各種アライメント調整やメンテナンス等は必要である。</ref>。
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ガンダムは汎用多目的MSとして開発されたため、[[V作戦|RX計画]]によって提出された案件のほとんどすべてを盛り込んだ機体群の一つとして設計された、単純に言えば「万能型MS」と呼べる機体であった。それに対し、ガンダム試作1号機は[[一年戦争]]における多様なMSの実働データをもとにMSの「万能性」という概念の再検討を行った結果得られた「汎用多用途」性を主眼に置いて設計されている<ref>「多目的」と「多用途」の違いは、当初からあらゆる機能を一つの機体に盛り込む事はせず、オプションによって機体の機能を特化させ、万能に近い多目的性を確保するという考え方である。</ref>。
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[[コアブロックシステム]]はガンダムで問題となっていた腹部の構造的な脆弱さを補う為にコア・ブロックを水平に格納するホリゾンタル・イン・ザ・ボディ方式を採用し、バックパックがコア・ファイターの主推進器を兼ねる構造となった。
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実験機という性質上、センサー類などが増設されており、ガンダムに搭載されていたバランサーやセンサーは更にブラッシュアップ、あるいは設計変更され、むき出しで仮設されている部分もある。また、汎用人型兵器としての思想を更に追求した結果、より人間に近い運動・可動が可能なよう設計されており、この設計思想はのちの[[ムーバブルフレーム]]へと昇華される事になる。
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汎用人型兵器としての思想を追求した結果、バランサーやセンサーのブラッシュアップ、または設計変更が行われ、人間に近い運動・稼働が可能になった。特にセンサー類については機体各所に剥き出しで仮設されている部分もある。四肢にはジオン・連邦系の技術融合によって実用化した新型の駆動方式を試験的に採用しており、可動部品の小型化とトルク向上を実現した。従来機の手足は胴体側に内装した駆動機構によって動かしていたが、この駆動方式では四肢の側にアクチュエータを配する事でコアブロックに必要な機体スペースを確保している。また、これらの技術は[[ムーバブルフレーム]]の前身技術の一つとして後のMS開発にも影響を与えた。
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パイロットおよび戦闘データのサバイバビリティを確保するため、ガンダムから引き続き[[コアブロックシステム]]を採用している他、ガンダムで問題となっていた腹部の構造的な脆弱さを補う為に従来のバーティカル・イン・ザ・ボディではなく、コア・ブロックを水平に格納するホリゾンタル・イン・ザ・ボディ方式が試験的に採用されている。コクピットブロックの移動方式などはガンダムとほぼ同一だが、コア・ブロックとしての機能自体が見直され、変形やボディ内でのレイアウトが変更されている。この機体は、メイン・ジェネレーター及びメイン・スラスター、各種の操縦、管制機器のほとんどが[[コア・ファイター]]に搭載されているため、主機であるコア・ファイターを換装するだけで、空間戦闘から重力下まで適応可能となるよう配慮されている<ref>無論、機体の各種アライメント調整やメンテナンス等は必要で、諸領域に特化された専用機にはかなわないが、空間用装備も同時期に開発されていた。</ref>。
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ガンダム試作1号機の頭部は、ガンダムと同様に頭頂部のメインカメラと一対のデュアルカメラ、そして2門の60mmバルカンなどが内装されている。この外観は[[ガンダムタイプ]]MSの特徴ともなっているが、試験機である試作1号機にはさらにモニタリング用の装備が多数増設されており、デュアルカメラは視差による計測が可能なモードも有していた。メインコンピュータは基本的にコア・ファイターに搭載されているが、頭部ユニットを副次的なコ・プロセッサーフレームとするシステムも継承され、コア・ファイター側のコンピュータの負担やコストを減らす事を可能とする。一方で、機体各所に分散配置された各種センサーを統合制御する機能を機体自体に盛り込む事で、MSのさらなる擬人化を達成するコンセプトを有している。
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四肢にはジオン・連邦系の技術融合によって実用化した新型の駆動方式を試験的に採用しており、肩部構造はその可動部品やアクチュエータのほとんどを腕部に集中して格納している。これは、コアブロックを内装する必要から生じた構造であるが、逆に関節構造自体の画期的な改善を可能とし、可動部品の体積あたりのトルクを向上させ、アクチュエータの小型化をも実現させた。股関節も肩関節と同様の高トルクアクチュエータが脚部に集中して内装されているため、構造が複雑で頻繁なメンテナンスが必要だった股関節自体の設計が変更されている<ref>試作1号機の関節部分の構造が露出している部位が多いのは、この検証と構造検査やメンテナンスを容易にする側面があった。</ref>。
    
== 登場作品と操縦者 ==
 
== 登場作品と操縦者 ==
<!-- :作品名:説明 -->
   
;[[機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY]]
 
;[[機動戦士ガンダム0083 STARDUST MEMORY]]
:前半の主役機を務める。[[アナベル・ガトー]]に強奪された[[ガンダム試作2号機]]を追うため、その場に居合わせた[[コウ・ウラキ]]が乗り込み、以降彼の乗機となった。パイロットのコウは新米とはいえ、回を追う毎に乗りこなしていくようになり、次第にパイロットとしての頭角を現すことになる。宇宙に上がった際の戦闘で宇宙用装備に換装しないまま出撃し、[[シーマ・ガラハウ]]との交戦するも大破。その後[[ガンダム試作1号機フルバーニアン]]へと改修された。
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:初登場作品。前半の主役機を務める。[[アナベル・ガトー]]に強奪された[[ガンダム試作2号機]]を追うため、その場に居合わせた[[コウ・ウラキ]]が乗り込み、以降彼の乗機となった。パイロットのコウは新米とはいえ、回を追う毎に乗りこなしていくようになり、次第にパイロットとしての頭角を現すことになる。宇宙に上がった際の戦闘で宇宙用装備に換装しないまま出撃し、[[シーマ・ガラハウ]]との交戦するも大破。その後[[ガンダム試作1号機フルバーニアン]]へと改修された。
 
;[[機動戦士ガンダム0083 REBELLION]]
 
;[[機動戦士ガンダム0083 REBELLION]]
 
:ストーリーの変更に伴い、チョバムアーマーや水中用ユニット等の新装備が追加され、換装型ガンダムとしての性格を強めている。
 
:ストーリーの変更に伴い、チョバムアーマーや水中用ユニット等の新装備が追加され、換装型ガンダムとしての性格を強めている。
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:頭部に2門内蔵。主に牽制や迎撃に用いられるが、至近距離であれば敵機に致命的なダメージを与える事も可能とされる。バルカン砲は頭部に埋没しておらず、側頭部に半楕円状に盛り上がった形になっている。
 
:頭部に2門内蔵。主に牽制や迎撃に用いられるが、至近距離であれば敵機に致命的なダメージを与える事も可能とされる。バルカン砲は頭部に埋没しておらず、側頭部に半楕円状に盛り上がった形になっている。
 
;[[ビーム・ライフル]]
 
;[[ビーム・ライフル]]
:最新技術であるEパック方式を採用した試作ビーム・ライフル。型式番号BOWA・XBR-M-82H<ref>重力下仕様はBOWA・XBR-M-82-05H、宇宙用をBOWA・XBR-M-82-06Aとする資料もある。</ref>。Eパックを交換する事で内蔵型[[エネルギーCAP]]方式と比較してトータルの射撃可能回数が向上した。予備のEパックはシールド裏に二基マウントする。
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:最新技術であるEパック方式を採用した試作ビーム・ライフル。一年戦争時からビーム兵器の開発に携わっていた[[ブラッシュ社]](AEブラッシュ社)のもので、威力と精度に定評がある。型式番号BOWA・XBR-M-82H<ref>重力下仕様はBOWA・XBR-M-82-05H、宇宙用をBOWA・XBR-M-82-06Aとする資料もある。</ref>。出力1.5MW。この時点では共通の規格品とはなっていないが、Eパック方式を採用し、これを交換する事で内蔵型[[エネルギーCAP]]方式と比較してトータルの射撃可能回数が向上した。予備のEパックはシールド裏に二基マウントする。
 
:;ビーム・ジュッテ
 
:;ビーム・ジュッテ
 
::銃身部に備えられた緊急防御用の小型ビーム・サーベル。古代日本の道具「十手」に由来する防御兵装であり、敵の近接攻撃を受け止める際に使用される。後に[[バンシィ・ノルン]]が同様の兵装を装備している。
 
::銃身部に備えられた緊急防御用の小型ビーム・サーベル。古代日本の道具「十手」に由来する防御兵装であり、敵の近接攻撃を受け止める際に使用される。後に[[バンシィ・ノルン]]が同様の兵装を装備している。
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::バックパックにマウントしたビーム・サーベルはビーム砲として使用可能。主にコア・ファイター時に使用されるが、火力は低く威嚇に使える程度。火器としての性能向上はフルバーニアンへの改修を待つ事になった。
 
::バックパックにマウントしたビーム・サーベルはビーム砲として使用可能。主にコア・ファイター時に使用されるが、火力は低く威嚇に使える程度。火器としての性能向上はフルバーニアンへの改修を待つ事になった。
 
;シールド
 
;シールド
:対ビームコーティングが施されたシールド。携行・移送時の取り回しを考慮し伸縮機構を採用。シールド裏にはEパックを2つ携帯する事が可能。後の[[ガンダムMk-II]]や[[ネモ]]のシールドにも同様の伸縮機構が取り入れられている。
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:対ビームコーティングが施されたシールド。2~3度までならビーム砲の直撃も防御する事ができるという。携行・移送時の取り回しを考慮し伸縮機構を採用しており、非使用時の慣性モーメントを軽減できた。シールド裏にはEパックを2つ携帯する事が可能。後の[[ガンダムMk-II]]や[[ネモ]]のシールドにも同様の伸縮機構が取り入れられている。
    
== 対決・名場面 ==
 
== 対決・名場面 ==
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