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== 概要 ==
 
== 概要 ==
主にジオン残党軍の掃討や治安維持活動に使用された[[ティターンズ]]の初期の主力機。クゥエル(Quell)は「鎮圧」を意味する他、「地球の法と権限を行使する('''Q'''ualified to '''U'''se '''E'''arthly '''L'''aw もしくは '''QU'''alified to '''E'''nforce the (Earth) '''L'''aw)」の略称も含んだダブルミーニングともされている<ref>本機の英語表記は「GM QUEL」のため、前者から「L」が1つ足りない。後者は[[ガンプラ]]「MG 1/100 ジム・クゥエル」のインストにおいて設定されたものであり、前述のLが1つ足りない事に対するフォローの可能性も考えられる。</ref>。
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主にジオン残党軍の掃討や治安維持活動に使用された[[ティターンズ]]の初期の主力機。部隊の設立とほぼ同時に配備され、設立魔もないティターンズの象徴として、暴徒の鎮圧や施設攻略に活躍した。機体名称の「クゥエル(Quell)」は「鎮圧」を意味する他、「地球の法と権限を行使する('''Q'''ualified to '''U'''se '''E'''arthly '''L'''aw もしくは '''QU'''alified to '''E'''nforce the (Earth) '''L'''aw)」の略称も含んだダブルミーニングともされている<ref>本機の英語表記は「GM QUEL」のため、前者から「L」が1つ足りない。後者は[[ガンプラ]]「MG 1/100 ジム・クゥエル」のインストにおいて設定されたものであり、前述のLが1つ足りない事に対するフォローの可能性も考えられる。</ref>。
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[[ジムシリーズ]]の上位機種として位置づけられていた[[ジム・カスタム]]をベースに再設計されている為、機体スペックは高い水準にあるが、ティターンズの政治思想の観点から[[ジオン公国]]系技術は廃され、開発もジオン系技術者が多く在籍する[[アナハイム・エレクトロニクス社]]ではなく[[ルナツー]]工廠で独自に行われている。
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この機体は元々U.N.T(Under Normal Tactical=非通常戦術)カテゴリーで開発されていた機体が原型にあり、[[ガンダムNT-1]]を原型とする「オーガスタ系」と呼ばれる機体郡に属する。そのうちの一つである[[ジム・カスタム]]は、開発と配備の時期からジム・クゥエルの直系にあたる機体であると見る事が出来る。
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コロニー内部での戦闘を目的にセンサーが強化され、脚部には対人制圧用のマルチセンサーが搭載されている。また、他の部位と比較して加重負荷の少ない腕部には[[ムーバブルフレーム]]の前進的機構が採用されている。コクピットは従来機と同じ仕様だが、0085年には[[リニアシート]]化された機体も配備されている。
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ティターンズは連邦軍にMS用の部品を供給していた企業と[[地球連邦軍 (UC)|連邦軍]]本隊とは別枠で契約を交わし、軍の防衛計画とは一線を画した武器調達を実施。この際、時期的に[[ジャミトフ・ハイマン]]の政治生命を危うくする[[ガンダム開発計画]]の成果を抱え込む訳に行かず、更にジャミトフのプライドとして、[[ジオン公国軍]]系の技術者を多数擁する[[アナハイム・エレクトロニクス社]]に依存した主力兵器と、その開発体系を持つ事は出来ず、かくしてジム・クゥエルの開発と生産は、[[ルナツー]]工廠で独自に行われる事になった。
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頭部構造は基本的にジム・カスタムと同等だが、下方視界やサーモグラフ及び動態センサーなどのレンジが拡大され、よりコロニー内戦闘に配慮したデバイスに換装されている。光学端末も基本性能が向上し、広義の「対人センサー」など、公安任務にも対応可能な副次的な機能が追加されている。また、[[ガンダムタイプ]]に匹敵するコ・プロセッサーフレームを組み込む事で、センサーの解析能力や処理速度を向上させており、側頭部のロッドアンテナも試作機並の送受信能力を持っていた<ref>機体のモニタリングはもとより、一説には遠隔操作も可能だったという説もある。</ref>。また、脚部もジム・カスタムと同等のユニットを使用するが、コロニー内戦闘の他に対人運用も想定されていたため、膝部分のサブスラスターはオミットされ、脛部分下方にマルチセンサーが装備された。
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コクピットブロックは80年代前半に供給された既存の機体と同等の物であり、内装なども共通だが、狙撃任務に対応可能なよう、照準装備に若干の改装が施された。その後、0085年には[[全天周囲モニター]][[リニアシート]]化された機体が配備されている。
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MSの生産性やメンテナンスを改善する改善策として、「装甲そのものと可動部分の構造を完全に分離する」という概念が発想され、ジム・クゥエルはそれを初めて採用された機体とされている。この構造はシミュレーションでは充分実用に堪え得る構造であるという結果が出ていたものの、完全に機能するかどうかは実戦投入で検証するしかなく、比較的加重や負荷が少ない腕部のみに限定して採用された。この構造はのち2開発される[[ムーバブルフレーム]]の祖型となり、付随するオプションラッチやエネルギーサプライシステムなどの規格そのものの基本となった。
    
その後、ティターンズに新鋭機が十分に配備されるようになってからは、連邦軍にも配備が進んでいったが、その時点で旧式も同然の状態だった。戦後は残存機が民間会社に払い下げられており、民間軍事会社[[テミス]]に配備された機体などが活躍している。
 
その後、ティターンズに新鋭機が十分に配備されるようになってからは、連邦軍にも配備が進んでいったが、その時点で旧式も同然の状態だった。戦後は残存機が民間会社に払い下げられており、民間軍事会社[[テミス]]に配備された機体などが活躍している。
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== カラーバリエーション ==
 
== カラーバリエーション ==
 
;ティターンズカラー
 
;ティターンズカラー
:ジム・クゥエルの標準カラーであるダークブルーや黒の塗装。ティターンズの象徴的カラーとして後の[[ガンダムMk-II]]などにも採用された。
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:ジム・クゥエルの標準カラーであるダークブルーや黒の塗装。その特徴的なフォルムと威圧感のあるカラーリングは、見るものに圧倒的な存在感を植え付け、ティターンズの象徴的カラーとして後の[[ガンダムMk-II]]などにも採用された。
 
;連邦軍カラー
 
;連邦軍カラー
 
:主にコンペイトウ方面軍の機体に代表されるカラーリング。[[ジム改]]などと同様の赤と白のツートンカラーに塗装されており、ティターンズの作戦に連邦軍部隊が臨時編成された場合、その部隊用にこのカラーの機体が宛がわれている<ref>これは連邦の一般部隊がティターンズカラーの機体を使用する事を快く思わなかったティターンズ上層部への配慮でもある。</ref>。『[[マスターアーカイブ モビルスーツ]]』においては後々、一般部隊にも配備されていった旨が説明されているが、その頃には既にティターンズが新型の導入を進めている段階であり、同機は第一線級のMSとは呼べなくなっている状態であった。<br/>なお余談だが、本機を掲載している資料本の多くで、[[ジムII]] (連邦軍)カラーに塗られた[[ジム改高機動型]]<ref>右肩のダクトと脚部形状で判別可能。</ref>の設定画が誤って用いられるケースが多い。
 
:主にコンペイトウ方面軍の機体に代表されるカラーリング。[[ジム改]]などと同様の赤と白のツートンカラーに塗装されており、ティターンズの作戦に連邦軍部隊が臨時編成された場合、その部隊用にこのカラーの機体が宛がわれている<ref>これは連邦の一般部隊がティターンズカラーの機体を使用する事を快く思わなかったティターンズ上層部への配慮でもある。</ref>。『[[マスターアーカイブ モビルスーツ]]』においては後々、一般部隊にも配備されていった旨が説明されているが、その頃には既にティターンズが新型の導入を進めている段階であり、同機は第一線級のMSとは呼べなくなっている状態であった。<br/>なお余談だが、本機を掲載している資料本の多くで、[[ジムII]] (連邦軍)カラーに塗られた[[ジム改高機動型]]<ref>右肩のダクトと脚部形状で判別可能。</ref>の設定画が誤って用いられるケースが多い。
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:頭部に2門内蔵されている機関砲。連邦系MSの標準的な装備。
 
:頭部に2門内蔵されている機関砲。連邦系MSの標準的な装備。
 
;[[ビーム・サーベル]](XB-G-1065H)
 
;[[ビーム・サーベル]](XB-G-1065H)
:バックパック右側に1基装備している格闘兵装。
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:バックパック右側に1基装備している格闘兵装。80年代になって穂ナック的に普及したセンター配置のベースユニットの規格に対応している。口径は既存のものと同じだが、[[エネルギーCAP]]システムでもマニピュレーターを介してのエネルギー供給でも稼働が可能なデュアルサプライデバイスが採用されている。
 
;ジム・ライフル(HFW-GR・MR82)
 
;ジム・ライフル(HFW-GR・MR82)
:90mmケースレス弾を連続発射する射撃兵装。対MS戦を想定していない治安維持行動やコロニー内での運用時には、周辺施設への被害を抑える目的でこちらが選択される事が多い。
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:90mmケースレス弾を連続発射する射撃兵装。排莢機構がないため、高速で飛び散る空薬莢などで市街地や群衆に余分な被害を与える事がない。対MS戦を想定していない治安維持行動やコロニー内での運用時には、周辺施設への被害を抑える目的でこちらが選択される事が多いが、宇宙空間での銃撃戦などにおいても余分なモーメントが発生しないため使い勝手がよく、80年代初期に多用された。
 
;[[ビーム・ライフル]] (BR-S-85-C2)
 
;[[ビーム・ライフル]] (BR-S-85-C2)
:[[ジムII]]等が装備している物と同型のビーム・ライフル。ビーム・スプレーガンの生産ラインを流用して製造されている。Eパック方式ではなく内蔵型[[エネルギーCAP]]方式を採用している。
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:[[ジムII]]等が装備している物と同型のビーム・ライフル。ビーム・スプレーガンの生産ラインを流用して製造されている。規格的にはローエンドだが、フォアグリップの追加などによって使い勝手が向上し、稼働時間や出力も改善されたため、後の期待の標準装備となった。Eパック方式ではなく内蔵型[[エネルギーCAP]]方式を採用している。
 
;ビーム・ライフル (XBR-M84a)
 
;ビーム・ライフル (XBR-M84a)
 
:コンペイトウ方面所属機体が装備しているビーム・ライフル。Eパック方式が試験的に採用されている。なお、[[ガンダムTR-1[ヘイズル]]]はEパックが2連結方式の物を装備している。
 
:コンペイトウ方面所属機体が装備しているビーム・ライフル。Eパック方式が試験的に採用されている。なお、[[ガンダムTR-1[ヘイズル]]]はEパックが2連結方式の物を装備している。
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:[[ジム・スナイパー]]などが携行している狙撃用ビーム・ライフル。テミス所属機が使用。
 
:[[ジム・スナイパー]]などが携行している狙撃用ビーム・ライフル。テミス所属機が使用。
 
;シールド(RGM・M-Sh-ABT/S-0019S)
 
;シールド(RGM・M-Sh-ABT/S-0019S)
:対ビーム・コーティングが施されている曲面的なフォルムを持つシールド。
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:耐弾性や耐ビーム機能よりも、運動エネルギーの減免や実体弾を跳弾させるための形状研究から開発されたシールド。一年戦争末期に基本設計が完成し、以後も改良を重ねている。表面には対ビーム・コーティングが施されている他、ジム・ライフルの30連マガジンを2つ装備可能。
    
== 対決・名場面 ==
 
== 対決・名場面 ==
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