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| == 地球連邦軍(United Nation Troops/Earth Federation Force) == | | == 地球連邦軍(United Nation Troops/Earth Federation Force) == |
| + | [[宇宙世紀]]における[[地球連邦政府]]の軍事部門。連邦設立時、その国内治安を担うべく加盟国の軍事組織を統合・再編する形で設立された。 |
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− | 『[[宇宙世紀]]』における[[地球連邦政府]]の軍事部門。
| + | 地球圏最大の規模を誇る軍事組織であり、その武力は他に並ぶ物は無いと言える。一方でその巨大な組織構造故に官僚主義や縦割り行政による運営が行われており、時として管轄の違いによる足並みの不揃いや日和見主義が顔を覗かせる。その為、大規模な戦争ではその隙を突かれる形で後手に回る事も多い。 |
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− | 物語共通として、上層部は日和見な官僚で、他の勢力から腐敗の対象として知られる。主に日和見な官僚が「穏健派」、前線で指揮する官僚らは「強硬派」として分かれる。
| + | == 組織の歴史 == |
| + | === 宇宙世紀改暦-ジオン共和国建国 === |
| + | 宇宙世紀改暦前、首相官邸ラプラスに設立間もない宇宙軍が配備。しかし、ラプラス事件によって改暦セレモニーの真っ只中であった首相官邸が爆破。それに乗じて発生した諸紛争を平定する為に、連邦軍はその武力を振るったと言われている。 |
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− | === [[一年戦争]]時 ===
| + | それから半世紀以上の時が流れ、宇宙世紀0059年。サイド3が[[ジオン共和国]]として成立すると、コロニーの自治独立を認めない連邦はサイド3への経済制裁を実施した。 |
− | 『[[ジオン公国]]』の戦略・戦術により敗北寸前となり、穏健派は降伏する算段を考えたが、[[レビル将軍]]の「ジオンに兵なし」の演説により降伏はせず([[南極条約]])。以後、レビル将軍率いる強硬派が軍のトップとして組織運営に辺り、最終的にジオン公国を降伏させるまでに至った。しかし戦争末期は宇宙軍と陸軍の間で戦後の利権獲得のための対立があり、キャリフォルニアベース攻撃直前には[[ガルマザク事件]]が勃発するまでに陥っていた。
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− | === [[デラーズ紛争]]時 ===
| + | [[モビルスーツ]]誕生前の装備は戦車や戦闘機といった既存兵器の延長線上にある物を使用しており、宙戦では[[マゼラン級]]や[[サラミス級]]といった宇宙艦艇を主軸とした遠距離精密砲撃を基本戦術としていた。 |
− | ジオン公国の軍残党[[デラーズ・フリート]]の蜂起が発生。レビル将軍戦死後は穏健派と強硬派の派閥争いが熾烈を極めるが、軍の運営には特別影響はなく、紛争そのものにより強硬派トップが敗訴され、穏健派の[[ジーン・コリニー]]提督が軍上層部を仕切ることとなる。その結果生まれたのが[[ティターンズ]]である。
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− | また紛争直後、サイド7で連邦総会が実施されるも、軍警察組織『BGST』と宇宙軍派閥『シン・フェデラル』の抗争で有耶無耶のままに集結している。
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− | === [[グリプス戦役]]時 === | + | === [[一年戦争]] === |
− | 軍のトップは穏健派一部である[[ジャミトフ・ハイマン]]の派閥、同じく穏健派であった[[ブレックス・フォーラ]]の争いとなり、互いにティターンズと[[エゥーゴ]]という独立組織を立ち上げて、連邦軍内部の反乱となる。一方、強硬派の軍人を吸収したティターンズの横暴な振舞いは軍内部や民間人らから非難が集中。[[ダカール演説]]でジャミトフの派閥が敗訴、ティターンズとエゥーゴの争いは最終的にエゥーゴが勝利する。しかし、ジャミトフやブレックスの派閥に属さない穏健派が軍のトップに君臨したままとなっている。
| + | [[ジオン公国]]の[[ミノフスキー粒子]]と[[モビルスーツ]]を用いた戦略・戦術により敗北寸前にまで追い込まれるが、ジオンの捕虜となっていた[[レビル将軍]]の行った「ジオンに兵なし」の演説により降伏はせず、以降はレビル派が軍の指揮を採り[[オデッサ作戦]]、[[星一号作戦]]を立て続けに発動。[[ア・バオア・クー]]での戦闘でジオン公国を降伏させるまでに至った。しかし、その組織は決して一枚岩であるとは言い難く、末期には宇宙軍・陸軍間の戦後を見据えた利権闘争やレビル派の[[グレイヴ]]の強硬など、後ろ暗い様相を見せている。 |
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− | === [[第一次ネオ・ジオン抗争]]時 ===
| + | 開戦当初、MSの有用性を軽視していた事で大敗を喫した背景から自陣営でのMS開発を実施しており、[[V作戦]]を経てMSの開発に成功すると、MSとその運用を前提とした母艦・支援兵器の運用を重視するようになる。 |
− | ティターンズとエゥーゴの争いにより一時期軍機能が麻痺となり、ジオン残党である[[ネオ・ジオン]]が連邦政府中枢を押さえるが、ネオ・ジオンは内乱により自滅。その後、軍の組織改革により独立部隊の創設は禁止となった。
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− | === [[第二次ネオ・ジオン抗争]]・[[ラプラス戦争]]時 === | + | === 一年戦争後 === |
− | 再びネオ・ジオンによる残党軍の行動が活発となるが、[[ロンド・ベル]]の活躍により鎮圧。また[[ラプラスの箱]]を巡って、宇宙世紀初期から続いていた[[ビスト財団]]との関係も大きく変動する。
| + | ジオンに勝利した連邦は接収したジオン系装備も取り込みつつ戦争で失った軍備を再編。その一環として[[ジョン・コーウェン]]らが中心となって[[ガンダム開発計画]]が実施される。そんな中、ジオン残党組織[[デラーズ・フリート]]が武装蜂起。強奪された[[ガンダム試作2号機]]によって[[コンペイトウ]]観艦式が襲撃され、式に参加していた宇宙艦隊の大半が消滅する事となった。 |
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− | === [[コスモ・バビロニア建国戦争]]時・[[ザンスカール戦争]]時 === | + | [[ジーン・コリニー]]派はこの[[デラーズ紛争]]の混乱を利用してコーウェン派を排斥し軍上層部を掌握。更にコリニーの腹心であった[[ジャミトフ・ハイマン]]は地球至上主義者を纏め上げ、[[ティターンズ]]を結成した。 |
− | 大規模戦乱が激変したことで軍の組織力が低下。ほぼ、駐留軍による散発的な行動が機軸となる。本格的な実戦部隊も激減し、錬度の低い指揮官や兵士が多数を占めた。物語上は軍トップの内情を知ることはできない。
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| + | === [[グリプス戦役]]~[[第一次ネオ・ジオン抗争]] === |
| + | ジャミトフのティターンズによる専横に反発した[[ブレックス・フォーラ]]の主導によって[[エゥーゴ]]が結成。エゥーゴとティターンズによる連邦内の内部抗争であるグリプス戦役が勃発する。 |
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| + | 当初は世論を味方に付けたティターンズが優勢に立ち、一時期は連邦軍を傘下に収める程の権力を手に入れるが、[[クワトロ・バジーナ]]による[[ダカール演説]]によってそれまで秘匿して来た専横を暴露された事で、パワーバランスは逆転。連邦はエゥーゴを中心に再編が行われ、ティターンズの壊滅によってグリプス戦役も終結した。 |
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| + | しかし、グリプス戦役という内紛は連邦の戦力を大幅に削ぐ形となり、その隙を突く形で[[ネオ・ジオン]]が連邦に宣戦布告。余力を持たないエゥーゴに代わり軍の主導権を握っていた軍高官らは事なかれ主義を貫き、ネオ・ジオンへの対応は[[アーガマ]]の[[ガンダム・チーム]]にほぼ丸投げされる形となった。その後も軍高官は[[ダカール]]の無血開城、[[ダブリン]]のコロニー落としの黙認、サイド3のネオ・ジオンへの移譲等の迷走を繰り返し、最終的にネオ・ジオンは内乱によって自滅に近い形で壊滅するが、連邦が[[アクシズ]]に艦隊を派遣したのも、この内乱が終結した後の事であった。 |
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| + | この時期のMS開発は各工廠による独自開発が行われており、各生産拠点ごとに機体ナンバーが割り振られていた。ティターンズの支援によってその傾向は顕著となり、ニュータイプ研究所を中心とした[[強化人間]]及び強化人間専用機の開発も活発化していた。一方、エゥーゴのスポンサーである[[アナハイム・エレクトロニクス社|アナハイム]]はこれ以降連邦軍の兵器開発シェアの大半を独占。その影響力を強めていく事になる。 |
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| + | === [[第二次ネオ・ジオン抗争]]~[[ラプラス事変]] === |
| + | 第一次ネオ・ジオン抗争終結後、軍の政治派閥は、ティターンズにもエゥーゴにも属していなかった[[ゴップ]]派が中心となりエゥーゴは解体。人員や装備も連邦軍に編入され、[[ロンド・ベル]]として再編され、反連邦勢力の摘発を行った。 |
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| + | ロンド・ベルは[[シャア・アズナブル]]によって再起したネオ・ジオンと交戦するが、シャアの艦隊の規模を軽視した軍高官はロンド・ベルを疎んじ、秘密裏に和平を画策。ネオ・ジオン艦隊の武装解除を条件にアクシズをネオ・ジオンへ移譲させたが、偽装降伏によって[[ルナツー]]から核兵器を強奪される。これによってシャアの[[地球寒冷化作戦]]は決定的な物となり、ロンド・ベルはアクシズの地球落下を阻止する為に奮戦。最終的に[[アムロ・レイ]]が[[サイコフレーム]]の共振によって引き起こした「[[アクシズ・ショック|奇跡]]」により地球の危機は免れた。しかし、その奇跡を危険視した軍高官らは[[ブライト・ノア]]を抱き込む形で同現象への[[ニュータイプ]]の関与を公的に否定させた。 |
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| + | シャアの反乱後、軍再編を目的に[[UC計画]]を発動するが、同計画に関与していた[[ビスト財団]]当主[[カーディアス・ビスト]]が極秘裏にネオ・ジオン残党[[袖付き]]と接触し、[[ラプラスの箱]]の譲渡を画策。これを感化できないとしてカーディアスに反発する[[マーサ・ビスト・カーバイン]]によってロンド・ベルが差し向けられ、ラプラス事変が勃発。この際、マーサが半ば強硬的に軍の作戦行動に介入した事もあって、宇宙世紀初期から続いていた[[ビスト財団]]との関係も大きく変動する事になった。 |
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| + | 事変後、戦乱の中心となっていた[[ユニコーンガンダム]]が再び見せた「奇跡」を危険視した連邦はネオ・ジオン残党と共にサイコフレームの封印を決定。その一方で、サイコフレームそのものや情報等を求めてのアクシズ探索や「[[不死鳥狩り]]」が実施されている。 |
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| + | === マフティー動乱~オールズモビル戦役 === |
| + | 宇宙世紀0100年の[[ジオン共和国]]の自治権返還に伴い、連邦政府は戦乱の消失を宣言。ジオン系組織という連邦にとって最大にして最適な仮想敵が消失していった事で、やがて軍の組織力が低下。連邦軍は徐々に衰退の一途を辿る事になる。しかし、0105年に反連邦組織[[マフティー・ナビーユ・エリン]]がその勢力を拡大させ、[[アデレード]]の連邦中央閣僚会議を襲撃。そのリーダーであるマフティーを逮捕し、動乱を終結させた。 |
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| + | この当時のMSは、大型化と複雑化が顕著となっており、軍備圧迫を招いていると見た[[サナリィ]]によってMSの小型化が提言され、以降は全長15mの小型MSが主力となっていった。 |
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| + | 宇宙世紀0120年~0122年にかけて[[オールズモビル|火星独立ジオン軍]]が武装蜂起。二度に渡るオールズモビル戦役は、第十三独立艦隊によって鎮圧される。 |
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| + | === [[コスモ・バビロニア建国戦争]]~[[木星戦役]] === |
| + | 長年の軍縮と[[クロスボーン・バンガード]]の攻勢によって連邦軍にかつてのような組織力が無い事が明らかになり、これがコロニー単位での独立運動に発展。連邦軍は各駐留軍による散発的な戦闘を主とするようになる。 |
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| + | 宇宙世紀0133年の[[木星戦役]]では木星の奇襲に対して後手に周るが、コロニー軍や[[宇宙海賊クロスボーン・バンガード|海賊軍]]の加勢によって事なきを得た。 |
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| + | === [[宇宙戦国時代]] === |
| + | コロニー間での戦争が激化。この当時の連邦軍は地球の一部地域での戦闘を除き、戦闘に介入する事はせず、[[ザンスカール帝国]]への対応も一部の部隊が行う程度に限られていた。この[[ザンスカール戦争]]が軍ではなく民兵組織の[[リガ・ミリティア]]によって終結したという事実が連邦内外に知れ渡った事で連邦軍の影響力は陰りを見せる事になる。軍の影響力の低下と腐敗は、[[キュクロープス]]が[[賛美歌の国]]に対抗する目的で軍備増強を行うまで続いた。 |
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| == 各軍隊 == | | == 各軍隊 == |