ラスタル・エリオン

2021年11月17日 (水) 11:32時点における240f:3b:2fb7:1:14b1:2c51:9b89:7f69 (トーク)による版 (→‎概要)

ラスタル・エリオン

概要

『鉄血のオルフェンズ』第二期に登場する月外縁軌道統合艦隊「アリアンロッド」艦隊の総司令官。銀髪に碧眼、黒く太い髭と眉を蓄えた初老の男性で、軍服の上着に袖を通さず羽織っていることが多い。豪快な性格で出自を問わず有能な人材を登用する柔軟さを持つ反面、目的の為なら犠牲や謀略も顧みない冷酷さも持ち合わせている。

彼自身はセブンスターズの一つであるエリオン家の当主であり、高い地位を持って生まれた人材だが、それに十分見合う戦術家・戦略家・政治家としての才覚を持っているため部下や周囲からの信頼は厚い。ギャラルホルンと五大経済圏を軸とした世界統治体制には肯定的であり、イズナリオ・ファリドの失脚によって地に落ちたギャラルホルンの権威を回復させることで世界の安定を望んでいる。

誤解されやすいが、実はラスタルもまたマクギリス・ファリドと同様、地球圏出身者を中心とし圏外出身者に対して差別的であるギャラルホルンの旧体制然とした在り方についてまでは良しとしておらず、むしろ彼と同様に「出身や身分に捉われない社会」を築き上げる事を目指しており、家柄どころか身寄りも無いジュリエッタ・ジュリスに目を掛けている点からも、その事が伺われる。しかし、急速に勢力拡大していくマクギリスのやり方は「力のみに一辺倒させた改革」という、「秩序の番人」であるギャラルホルンの本来の在り方からはあまりにも程遠い物であった為、ラスタルは彼の事を危険視していた。しかし、それでも彼の優れた才覚については認めていたが為に、ただ一方的に危険視するだけではなく、自らの考えを改める形で自分と共に真っ当な形で改革を目指してくれる事も期待していたのだが、秘密裏に回収し匿っていたガエリオ・ボードウィンの証言から、彼のやって来たガエリオへの裏切りやカルタ・イシューを陥れた謀略の数々を聞かされた結果、改めてマクギリスを危険視する事になり、同時に彼と水面下で協力関係にあった鉄華団もまた排除すべき対処と認識。ガラン・モッサ等を活用した謀略に乗り出すに至ったのであった。とどのつまり、ラスタルが鉄華団の壊滅を考える様になったのは、鉄華団と裏で協力関係を結ぶマクギリスに原因があったと言える。

登場作品と役柄

機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ
イオクやジュリエッタを従え、マクギリスや鉄華団に立ちふさがる強敵として登場。旧友であるガランを使って分裂を誘うなど様々な謀略を張り巡らせる一方、イオクの功名心や鉄華団の強大な戦闘力など想定外の事態に直面することもあった。
クーデターを起こして本性を現したマクギリスと全面対決を宣言。密かに助け出していたガエリオの協力に加え、禁忌の兵器であるダインスレイヴも駆使し、マクギリス派の青年将校と鉄華団を徹底的に叩く。マクギリス派が壊滅し、オルガが降伏を打診してきても拒否し、あくまでマクギリスと鉄華団(厳密にはその象徴と言える「モビルアーマーを倒した悪魔」)を「倒した」という事実を掴むことでギャラルホルンの復権を狙い、それを成し遂げた。
マクギリスと鉄華団討伐には成功したもののイオクを喪い、他のセブンスターズも日和見主義や心労、お家断絶が祟って、維持することが難しくなり、貴族的な制度を廃止。民主的な組織として再編されたギャラルホルンの初代代表となり、火星の代表となったクーデリアと共に火星の地位向上やヒューマンデブリの根絶に乗り出している[1]
鉄華団に関しては、基地壊滅と共に死亡したと思ったのか、最大の障害である三日月とバルバトスを排除したことに満足したのか、残党の生死は把握しなかったらしく、残党がいたことやクーデリアのスタッフとして働いていることには驚いた様子だが、悪戯に事を荒立てることはなかった。

人間関係

ギャラルホルン

ジュリエッタ・ジュリス
平民出身だが、MSパイロットとしての腕を買ってガランを通じて入手した部下。恩人である彼に「人間」として全幅の信頼を寄せる彼女に対し、ラスタル当人は「兵士」として全幅の信頼を寄せており、非常に使い勝手の良い存在だった[2]。とはいえ雑に扱っていたわけではなく、セブンスターズの会議に同行させたり、ガランの死に涙する彼女を励ましたりと彼女の心情への配慮も多く、最終的にはギャラルホルンの代表となった自身の後継者と呼ばれるまでに育て上げる。また、自身を妄信し過ぎているジュリエッタの態度は、当のラスタル自身も難色を示しており、「自分も胡散臭い大人だ」と窘めている事からも、彼女に自分の考えを持つ事を促している。
イオク・クジャン
クジャン家の当主で本来なら同格なのだが親子や上司と部下のような関係であり、第二艦隊を任せている。イオクのことは出来の悪い子ほど可愛いと思っていることや先代当主への恩義から将来に期待はしているが、下手に指導や処分をしたら、自分に味方しているクジャン家と衝突する恐れもあるためか対応に甘さが見られ、イオクの成長の妨げにもなっている。その結果、イオクはハシュマル事件の原因の1つとなり、独断でタービンズ壊滅に乗り出した際には無策でダインスレイヴを使用してしまい、マクギリスやマクマードに有利な政治状況を作ってしまう。それでもイオクを見限ることなく、直々に指導者教育を行い、少しは改善したことから汚名返上のために出撃も許可するがパイロット教育を疎かにしていたこと[3]が災いして、戦死を招く。
ガエリオ・ボードウィン
エドモントンでマクギリスに敗れた彼を極秘に回収し、治療と乗機の修復を行うとともに対マクギリスで利害が一致、手を組んでいた。元々の地位やMSパイロットとしての腕、何よりマクギリスへの執念と「マクギリスに殺された親友」という事実を買ってのことだったが、「マクギリスの目的を確認し、自らの手で決着をつけたい」という意思も多分に尊重している。
ヤマジン・トーカ
整備主任。新鋭機であるレギンレイズ・ジュリアだけでなくガンダム・ヴィダールも整備を一任するなど、整備の手腕だけでなく人物としても信頼していたことが窺える。
マクギリス・ファリド
最大の政敵。イズナリオに虐待されている幼少時のマクギリスを気遣った際に彼の危険性を感じ取る。単に政敵として敵対意識を持っていただけでなく、彼に期待も寄せていたがマクギリスは焦りからとはいえ、ガンダムバエルというギャラルホルンの力の象徴に目が眩む形でクーデターを起こすという短絡的な行動に出てしまう。それによって、対立を表面化させた後はガエリオの協力によるカウンター・クーデターによって打倒したがマクギリスのせいでギャラルホルンが弱体化してしまい、彼の理想の一部を叶える形で組織を改革することになる。
イオクの父
イオクの父親でクジャン家先代当主。生前の彼に大分世話になっており、クジャン家家臣同様に彼を慕っている。

鉄華団

三日月・オーガス
単機でモビルアーマーすら倒す「鉄華団の悪魔」であり、同組織の象徴でもある。彼のバルバトスを倒すことで鉄華団の撃滅とギャラルホルンの復権を世に知らしめる。
オルガ・イツカ
鉄華団の団長。鉄華団を急成長させた手腕やテイワズとの繋がりを警戒。オルガの降伏を認めずに鉄華団を壊滅させるが、最重要の排除対象は、三日月とバルバトスだった為、オルガがノブリスの部下の独断で死んだ際には軽く流した。
昭弘・アルトランド
グシオンリベイク(フルシティ)のパイロット。彼の手で親友ガランと我が子同然のイオクを喪うことになる。戦後、皮肉にも仇である昭弘と同じヒューマンデブリの廃止運動にも心血を注ぐことになった。
ノルバ・シノ
MSパイロット。マクギリス派との総力戦では船を盾にする奇策で座乗艦を狙われたが、ジュリエッタによって間一髪救われた。

その他

ガラン・モッサ
士官学校時代からの親友。ラスタルの為に軍を辞め、傭兵として非合法な手段も含めて協力し、死に際にラスタルとの関係を示す情報を全て消し彼の名を呟いていることから相当に信頼は厚い。
ノブリス・ゴルドン
火星の実力者。鉄華団を追い込むに辺り、手を結び、情報統制を担った。
マクマード・バリストン
テイワズを率いる圏外圏最大の権力者。イオクのタービンズ襲撃の件で密約を結ぶことになる。この件も火星の独立に繋がることになった。
クーデリア・藍那・バーンスタイン
マクギリス・ファリド事件後に火星連合の代表となった人物。鉄華団と繋がりが深い人物だが、知名度や人気が高く自身やギャラルホルンにとって実害のない彼女を排除するはずもなく、地球圏と火星の代表としてヒューマンデブリ根絶に向け、手を結ぶ。

名台詞

関連用語

スキップジャック級
座乗艦。通常のハーフビーク級を上回る巨艦である。
ギャラルホルン
所属組織。
アリアンロッド
自身が率いる艦隊。練度が高く、装備も最新である。

脚注

  1. 人道的な理由以上に鉄華団のような反体制的な武装勢力を減らすという政治的な側面が強い様子。
  2. ガエリオには、この関係を看破されたのか、ジュリエッタにラスタルへの盲信を指摘している。
  3. 最初からパイロットとしては期待していなかったために行わなかったのか、マクギリス事件後にパイロット教育を行うはずだったのかは不明。