エコーズ

エコーズ(ECOAS) 編集

第二次ネオ・ジオン抗争後に設立された地球連邦宇宙軍の特殊作戦群。残党化したネオ・ジオン軍の摘発および掃討を主任務とする対テロ部隊。部隊発足直後の任務で過失による事故によって児童37人を死傷させた事で、「人狩り部隊(マンハンター)」とあだ名されている。

任務上、軍務、警察権、限定的な公安調査権を認められた他、ECOAS(Earth COlony ASteroid=地球、コロニー、小惑星群の略)の部隊名が示す「作戦場所を問わず」という信条から推察出来るように投入状況を選ばない。こうした特性は連邦軍の外郭部隊であるロンド・ベルと重複するが、独自判断での作戦行動権を持たず、軍上層部の命令でのみ動く点が異なる。部隊規模もロンド・ベルより小さく、権限の大きさに対して独立性も低い。

加えて、エコーズは連邦軍の一般将兵から侮辱と恐怖の対象として扱われている点が、ロンド・ベルと大きく異なっている。これは部隊の機密性、拉致や暗殺といった汚れ仕事の遂行が原因でもあるが、その評価こそが矛盾に満ちた世界におけるエコーズの必要性を物語っている。

隊員は精鋭揃いであり、白兵戦から潜入・破壊工作はもちろん、モビルスーツによる戦闘までこなす。使用する装備も、潜入や白兵戦を行う事が多いため、それに対応した特殊な物が用いられる。一方で、任務上精神的なプレッシャーが大きいうえ、他の連邦軍将兵から忌み嫌われている為、そういった精神面を支えるのが各部隊長の役割とされていた。

各部隊 編集

エコーズ920
ダグザ・マックール中佐率いる部隊。部隊員は30名余。インダストリアル7におけるラプラスの箱譲渡阻止にあたってネェル・アーガマを母艦とし、以後、ラプラス事変終息まで袖付きとの戦いに従事した。途中、首相官邸ラプラス史跡での戦闘でダグザが戦死したため、以後は副司令のコンロイが指揮を引き継いだ。
エコーズ729
ナシリ・ラザー中佐率いる部隊。部隊員はナシリ中佐以下24名で、保有するロトはロング・キャノン装備とメガ・マシン・キャノン装備の2機。920とは以前に模擬戦を行った間柄(結果は920が圧勝)であり、両部隊が合流したパラオ攻略戦「ビリヤード作戦」は、エコーズ二隊が一作戦で連携するという史上初の事態になった。同作戦ではナシリ率いるチーム・オメガが先行してパラオ表面に取り付き、連結シャフトに爆弾を設置した後、作戦開始に合わせパラオの各ブロックを分断。以後、パラオ表面でパトロール機の迎撃を行い、920がバナージを回収するまでの時間稼ぎを行っていたものの、その最中にシナンジュの強襲を受けロト2機が撃墜され、ナシリも戦死。全滅したチーム・オメガ以外の隊員は以後、920のコンロイの指揮下に入り、メガラニカにおける最終決戦まで同行した。

登場作品 編集

機動戦士ガンダムUC
初登場作品。ダグザ・マックール中佐率いる920部隊がラプラス事変で活躍した。また、パラオ攻略戦時にコロンブス改級オアシスが補給のためネェル・アーガマと接触した際には、戦力補充のためナシリ・ラザー中佐率いる729部隊が合流している。

構成員 編集

エコーズ920 編集

ダグザ・マックール
920部隊司令。
コンロイ・ハーゲンセン
920部隊副司令。
ギャリティ
チーム・アルファのリーダー。

エコーズ729 編集

ナシリ・ラザー
729部隊司令。OVA版『UC』では名前(ナシリ隊)のみ登場。

保有戦力 編集

装備品 編集

ノーマルスーツ
作戦時に着用するノーマルスーツを兼ねた突入・制圧戦用の戦闘服。カラーはオリーブとモスグリーンのツートン。弾倉ポーチを鈴なりにした防弾ベストを装着し、右腿にはハーネスでホルスターを固定。肘と膝には強化プラスチック製のサポーターが当てられている。また、頭部には抗弾ヘルメットを着用する。士官用と一般兵用では襟のデザインが異なり、士官用には襟章が付く。また、着用時には主にフェイスマスクも着用する。
サーチ・カム
リード線程の細さを持つリモコン式カメラ。小型バーナーで壁や床に開けた穴から這い出させ、内蔵されたマイクロカメラで周辺の偵察を行う。

火器類 編集

サブマシンガン
閉所での使用に適したブルパップ式のサブマシンガン。弾倉はバレルの上に、ガスイジェクターは機関部下部に備える。形状としては現実世界のFN社製サブマシンガン P90に近い。
小説『UC』では「無反動ライフル」表記のカービン銃で、銃身下部にはワイヤーガンが装備されている。
M-92F ハンドガン
主に補助火器として用いられる自動拳銃。安全装置はトリガーガード前方に配置されている。
ナイフ
白兵・暗殺時に用いられるナイフ。
音響閃光手榴弾 (フラッシュ・グレネード)
ライター程の大きさのフラッシュ・グレネード。250万カンデラの閃光と大音響を放ち、対象を怯ませる。
ロケットランチャー
対サイコミュ兵器戦術などにも用いられる肩撃ち式ロケットランチャー。通常弾頭の他、ネット弾や閃光弾なども用いられる。
プラスチック爆弾
絶対零度に近い温度でも爆発するコンポジット爆薬SHMXと爆発時に威力を増すための弾殻からなる。使用時にハンドル型の起爆ユニットを取り付ける。爆薬は設置場所に応じて成型する事で期待される破壊効果を引き出す事が可能であり、切断したい箇所には薄い菱形に成型したダイヤモンド・チャージ、誘爆させたい箇所には貫徹力に優れたプラッター・チャージが用いられる。

モビルスーツ 編集

ロト
サナリィの開発した可変モビルスーツ。兵員輸送や潜入任務など多岐に活用される。
ジェガン (エコーズ仕様)
MSとの戦闘を想定した任務に投入されるジェガンD型のエコーズ仕様。
ジェガン (エコーズ仕様・コンロイ機)
コンロイ・ハーゲンセン専用に装備を変更したジェガン。

母艦 編集

ネェル・アーガマ
ラプラス事変時の母艦。

実績 編集

テロリスト首謀者暗殺
エコーズが人狩り部隊とあだ名される所以となった、部隊発足直後にエコーズ920がスウィートウォーターで実施した暗殺任務。作戦の実施については、「シャアの反乱」により再燃の兆しが見えたサイド国家主義(コントリズム)やアースノイドを批判する地球聖地主義(エレズム)の声を封じ込めるための目に見えるジオン対策の成果を挙げたかった地球連邦政府の思惑があった。
作戦内容は、コロニーの一画、清掃工場の敷地内にある廃ビルに爆弾を設置し、テロリストの首謀者ら諸共ビルを崩壊させるというものであり、まずロトがコロニー外壁を焼ききり、地盤ブロックの地下サービスルームに侵入。当該ビルの真下を通る共同溝に爆薬を設置し、貯水タンクに水蒸気爆発を起こさせ地盤を破壊、以ってビルそのものの崩壊を促すという段取りだった。ビル自体は取り壊しが決まっている無人の廃墟であり、コロニー内に待機している情報局の工作員により監視情報の伝達・事後の始末に至るまで万全のバックアップ態勢を整えていたが、監視班が撤収したタイミングで1台のスクールバスが工場見学のため現場に到着するという想定外の事態が発生。工場側の駐車場が満車だった事、スクールバスが廃ビルのある空地に誘導された事、工場見学を把握しつつ軍に報告を上げなかった情報局の不備などの複数の偶然が重なってしまった結果、テロリスト十数人の暗殺に成功するのと同時に児童37名も崩落に巻き込まれ、内30名が即死。搬送先の病院でさらに3名が死亡。奇跡的に生き残った4名もそれぞれ手足を失うなどの重傷を負い、内1人は脳死状態に陥っている。
調査委員会により事件は「隕石の衝突がもたらした不幸な事故」と結論づけられ、マスコミはコロニー公社の管理責任の追及に終始したものの、一方で連邦軍の特殊部隊が関与したという噂がまことしやかに流布された事でエコーズに「人狩り部隊」の二つ名が冠されるようになった。
ビリヤード作戦
宇宙世紀0096年4月12日午後6時に実施されたパラオ奇襲作戦かつバナージ・リンクス救出作戦。ダグザの発案を元に実行に移された。まず作戦前に潜入員がパラオ内でバナージに接触し、合流場所を提示。続いてエコーズ729がダミーバルーンを使用して監視の目を掻い潜り、パラオに接近。連結シャフトに爆弾を設置した後、作戦開始に合わせ爆破。混乱に乗じてエコーズ920がパラオに突入し、合流場所でバナージを回収するという段取りとなっていたが、最終的にバナージ自らがユニコーンガンダムで脱出し、ネェル・アーガマとの合流を果たした。

関連用語編集

マン・ハンター
同じ人狩りとあだ名される組織。エコーズは軍の部隊であるのに対し、マン・ハンターは警察組織である為、管轄が異なっている。

余談 編集

  • 部隊番号である「920」と「729」については、『ガンダムUC』著者の福井氏の過去作(「6ステイン」など)に登場する特殊部隊「920SOF」及び「729SOF」のセルフオマージュとなっている。

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