[[木星共和国]]のタカ派が中心となって開発した試作型[[モビルスーツ]]。「[[サウザンド・カスタム]]」の1機であり、開発認可が下りたのは2番目。<br />単独での木星圏から地球への惑星間航行を目的とした実験機だが、[[地球連邦]]に対する「テロ行為」を行う事になった際の切り札という側面も持ち合わせており、本機のみで連邦の重要拠点を攻撃する事も想定されていた。これを実現すべく、本機には次世代推進システム「[[ミノフスキードライブ]]」が搭載される事となり、かつて[[サナリィ]]の月面施設を襲撃した際に奪取した[[レコードブレイカー]]の設計データに[[アマクサ]]を掛け合わせる形で設計されている。しかし、主に木星側の技術力不足が原因でミノフスキードライブを完全に再現する事が出来ず(パーツ単位での噴射実験にはある程度成功していたとされる)、機体外に放出される余剰エネルギーであるビーム粒子「光の翼」の安定が予想以上に上手くいかなかった。これを解決すべく、各部には光の翼の小型放出口を設けて内圧を減らし(サブスラスターとしても機能する)、同時に全身に[[Iフィールド]]の放射装置とそれを制御する別系統のシステムとして木星のOSを組み込んでいる。なお、本機のミノフスキードライブは「ファントムライト」と命名されている。<br />本機にはバランスのコントロール用にレコードブレイカーの[[バイオコンピューター]]を搭載しているが、解析が不完全な部分も存在している(プログラム上に8つの“ピン”が存在し、これを綾取りの「8カケの吊り橋」のように繋ぎ合わせる必要があったが、最初期の理論故に木星側はこれを知らなかった)。この為、何らかの不具合が発生する事も懸念されていたが、最悪の場合、木星OSのみでも機体そのものの制御は出来るだろうと考えられていたようである。しかし、木星OSとバイオコンピューターは折り合いが悪く、現場がタカ派の上層部から早急に完成させるよう命令された事でこの問題を棚上げして機体を組み上げた結果、ミノフスキードライブどころか機体そのものが全く動かせない状態となってしまっていた。<br />この他にもミノフスキードライブ展開時に多大な負荷がかかってオーバーヒートするという問題があり、他のサウザンド・カスタムと同様に頭部のフェイスカバーを展開して放熱を行うが、本機では頬にも展開式のダクトが設けられ、最大出力時にはそちらも展開して二段階強制放熱モードをとる事が可能。背部にも強制冷却カートリッジを備えるが、それでも稼働時間はかなり短い。<br />問題も多い本機だが、ミノフスキードライブとIフィールドによる機動性と対ビーム防御力は非常に高く、稼動すれば運用次第で戦局を大きく左右する程の力を発揮できる機体である。 | [[木星共和国]]のタカ派が中心となって開発した試作型[[モビルスーツ]]。「[[サウザンド・カスタム]]」の1機であり、開発認可が下りたのは2番目。<br />単独での木星圏から地球への惑星間航行を目的とした実験機だが、[[地球連邦]]に対する「テロ行為」を行う事になった際の切り札という側面も持ち合わせており、本機のみで連邦の重要拠点を攻撃する事も想定されていた。これを実現すべく、本機には次世代推進システム「[[ミノフスキードライブ]]」が搭載される事となり、かつて[[サナリィ]]の月面施設を襲撃した際に奪取した[[レコードブレイカー]]の設計データに[[アマクサ]]を掛け合わせる形で設計されている。しかし、主に木星側の技術力不足が原因でミノフスキードライブを完全に再現する事が出来ず(パーツ単位での噴射実験にはある程度成功していたとされる)、機体外に放出される余剰エネルギーであるビーム粒子「光の翼」の安定が予想以上に上手くいかなかった。これを解決すべく、各部には光の翼の小型放出口を設けて内圧を減らし(サブスラスターとしても機能する)、同時に全身に[[Iフィールド]]の放射装置とそれを制御する別系統のシステムとして木星のOSを組み込んでいる。なお、本機のミノフスキードライブは「ファントムライト」と命名されている。<br />本機にはバランスのコントロール用にレコードブレイカーの[[バイオコンピューター]]を搭載しているが、解析が不完全な部分も存在している(プログラム上に8つの“ピン”が存在し、これを綾取りの「8カケの吊り橋」のように繋ぎ合わせる必要があったが、最初期の理論故に木星側はこれを知らなかった)。この為、何らかの不具合が発生する事も懸念されていたが、最悪の場合、木星OSのみでも機体そのものの制御は出来るだろうと考えられていたようである。しかし、木星OSとバイオコンピューターは折り合いが悪く、現場がタカ派の上層部から早急に完成させるよう命令された事でこの問題を棚上げして機体を組み上げた結果、ミノフスキードライブどころか機体そのものが全く動かせない状態となってしまっていた。<br />この他にもミノフスキードライブ展開時に多大な負荷がかかってオーバーヒートするという問題があり、他のサウザンド・カスタムと同様に頭部のフェイスカバーを展開して放熱を行うが、本機では頬にも展開式のダクトが設けられ、最大出力時にはそちらも展開して二段階強制放熱モードをとる事が可能。背部にも強制冷却カートリッジを備えるが、それでも稼働時間はかなり短い。<br />問題も多い本機だが、ミノフスキードライブとIフィールドによる機動性と対ビーム防御力は非常に高く、稼動すれば運用次第で戦局を大きく左右する程の力を発揮できる機体である。 |