EXAMシステム

2019年8月12日 (月) 19:44時点におけるTomo (トーク | 投稿記録)による版

EXAMシステム(EXAM System)

一年戦争時にフラナガン機関の研究者クルスト・モーゼスが開発した、モビルスーツ用の特殊オペレーション・システム及びそのハードウェア。システムはハード・ソフト共にクルスト独自のノウハウで構築・調整されている為、彼以外の人間にシステムの完全再現を行う事は不可能。

クルストは当初、ニュータイプの戦闘能力を再現するサポートシステムの研究を行っていたが、研究を進める内にその能力に恐怖を覚え、「ニュータイプが人類に代わる進化した種であるのならオールドタイプはやがてニュータイプによって駆逐されるのではないか」という強迫観念に取り憑かれていき、研究内容も「ニュータイプの能力を再現するシステム」から「ニュータイプを殲滅する為のシステム」へと変貌を遂げていった。

当初はシステムの開発に難航していたものの、テスト中に偶発的に発生した事故によってマリオン・ウェルチの精神をコピーした事で完成した。しかし、この事故によってマリオンは意識不明の状態に陥っている。

完成したシステムは全四基。内1基はイフリート改に搭載され試験が行われていたが、システムの性能をフルに発揮するには性能不足であり、より高性能な機体を求めてクルストは連邦へ亡命。陸戦型ガンダムをベースにした「ブルーディスティニー」シリーズを開発した[1]

ニュータイプの戦闘能力をシステムの補助によって付与するシステムであり、システム起動時には機体のカメラアイが赤く発光する。人間の脳波を電磁波として捉え、その中から「殺気」に該当する物を判別する事によってニュータイプに近い戦闘動作を再現している。ニュータイプの脳波を感知した場合、システムはニュータイプの殲滅を優先し、パイロットの制御を離れて自律行動を行う。これは「暴走」ではなくクルストによって意図された正常な動作であるが、多数の人間の死と殺気を感知した場合や、EXAMシステムを搭載した機体が複数存在した場合にも同様の動作が起こってしまう。こちらは開発者の意図しない欠陥・暴走と呼べる事象である。

システムを制御し、その機能を最大限に活用する為にはパイロットの存在が必要とされる。パイロットはシステムの殲滅衝動やマリオンの幻影による救済祈願など様々な精神的影響を受ける為、特にシステムとの親和性の高いパイロットの搭乗が必要とされる。

また、暴走時は通常は機体の損耗を考えて抑制されているハード性能の限界を引き出し、機体の性能をフルに発揮しようとする為、駆動部や動力部への過負荷によるオーバーヒートの危険性が伴う。

登場作品 

機動戦士ガンダム外伝 THE BLUE DESTINY
初出作品。ブルーディスティニーシリーズ及びイフリート改に搭載された。最終的に搭載機は全て喪失し、それに伴いマリオンの意識も回復している。
機動戦士ガンダム サイドストーリーズ
「機動戦士ガンダム外伝 ミッシングリンク」との関連要素として、EXAMの派生システムとして「HADES」が登場。量産を前提としたシステム「オルタ」をベースとしているが、この「オルタ」をブルーディスティニー1号機に搭載した結果、「ブルー」本編における暴走が起きた事になっている。
機動戦士ガンダム外伝 ザ・ブルー・ディスティニー
1号機の頭部設定を反映し、新たに搭載機としてブルーディスティニー0号機が登場した。HADESの設定も「サイドストーリーズ」から反映されている。

搭載機

イフリート改
ジオン軍唯一のEXAM搭載機。開発当時最新鋭かつ高性能だったイフリートをベースにしているが、冷却性能の関係から頭部が大型化しており、またシステムに機体性能が追いついていなかった事から、クルストが連邦に亡命する要因となった。
ブルーディスティニー0号機
クルストの連邦亡命後、陸戦型ジムをベースに開発が行われた連邦初のEXAM機。要求性能の関係でより上位の陸戦型ガンダムをベースに1号機が開発された。
ブルーディスティニー1号機
陸戦型ガンダムをベースに開発された機体。開発期間の短縮を目的に、0号機から頭部をそのまま移植されている。後にEXAMにリミッターが設けられた上でユウ・カジマによって運用された。
ブルーディスティニー2号機
ブルーディスティニーの2号機。他の機体とは異なりEXAMにリミッターは設けられていない。ジオンに強奪され、ニムバス・シュターゼンが搭乗。
ブルーディスティニー3号機
ブルーディスティニーの3号機。1号機と同様にEXAMにリミッターが設けられている。

関連技術 

HADES
EXAMシステムのデータを基にオーガスタ研究所が開発した特殊システム。
EXAMのデータは上層部の圧力によりEXAM研究所からオーガスタへ提供されたが、システムのアプローチ方法は異なっている。
NEO EXAMシステム
シン・フェラルデが「妖刀」を開発する為の素材としてEXAMを解析して開発したシステム。ブルーディスティニー・Ωに搭載されている。
EXAMの再現を試みたシステムであったが、肝心のEXAMのデータがほとんど存在しない状態であった為、独自理論を組み込んで完成した。
強化人間人格OS(BUNNyS)
ガンダムTR-6に搭載されている特殊OS。強化人間のデータを移植し、EXAMと同じくその能力の再現を目指したシステム。
人間のデータをコンピュータに移植するというアプローチ方法がEXAMと酷似している。
NT-Dシステム
UC計画で開発されたRX-0専用の特殊OS。EXAMと同じく「ニュータイプ殲滅」を目的としたシステムであるが、こちらは「ジオン・ズム・ダイクンの提唱したニュータイプ思想を根絶する」という意図が含まれており、クルストの掲げた「変異体としてのニュータイプの殲滅」とはニュアンスが異なってくる。

リンク

脚注

  1. この頃のクルストにとっての敵は「ニュータイプ」であり、それを倒す為ならジオン・連邦という垣根は些細なものになっていた。