スペースノイド(Spacenoid)
宇宙の、主にスペースコロニーに居住する人類を示す言葉。地球に住む人々を示すアースノイドの対義語であり、多くの場合両者の政治的・軍事的対立を表す際に使われる。ガンダムシリーズのうち宇宙世紀シリーズで特に用いられているが、『W』『X』の世界観でも慣例的に使用されている。
地球連邦政府の実施した宇宙移民政策(事実上の棄民政策)において宇宙へ移民させられた人々であり、月居住者については更に「ルナリアン」、木星居住者を「ジュピタリアン」と区分する場合もある。
初期の宇宙移民者はスペースコロニー維持の為、その開発に関わった技術者や科学者、または高度な専門知識を持った行政官・高級官僚が優先的に選ばれていたが、その後は専門知識を持たない者でも強制的に移民が行われていった。一方、地球に残留した者は連邦政府にコネを持つ特権階級を持つ者に限られていた。スペースノイドは地球の安定した環境で生活する彼らに対して潜在的な反発心を抱き、またアースノイドもスペースノイドに重力や空気に課税を設ける等の圧政を敷き、それが一年戦争に始まる諸戦争の土台を形作っていった。
連邦への弾圧によってジオン公国を皮切りに宇宙移民者の独立を掲げる勢力が数多く勃興したものの、連邦の形骸化・空洞化によってスペースノイドの独立が有耶無耶の内に認められた事により、反連邦思想の中心はやがてコスモ貴族主義やマリア主義に取って代わられる事になる。
高度な科学・機械技術の塊と言えるスペースコロニーに暮らすスペースノイド達は、「コロニーを維持し続ける」という目的の為に高度な科学・機械知識を身に付ける事が義務付けられており、上層の人間の中には民間人でも軍用モビルスーツを動かす事ができ、最下層の人間でもプチモビやエレカの操縦、コンピューターの操作も当たり前のようにこなしている[1]。これに対し、メラニー・ヒュー・カーバインは、後に記者であるカイ・シデンとの対面にて、「必然的にテクノクラート(高水準の機械知識を持つ者)となっているスペースノイドこそが、ギレンの妄想とは異なる一種のエリートである」という見解を見せている[2]。
しかし、高度に電化された環境に住む為、地球環境に疎い一面も持ち合わせているのもまた事実であり、自然現象の一部である雷を軍事兵器として誤認したり、虫や野生動物に不快感や驚きの表情を見せる場合もあった。また、宇宙で世代を重ねる毎に地球を故郷だと認識していない者も増大し、地球の植物や海の匂いを異臭と認識したり、地球の大気を埃っぽく感じる者も増えていった。
登場作品
- 機動戦士ガンダム
- 「宇宙移民者と地球居住者の対立」という構図はこの時点で確立されているが、スペースノイドとアースノイドという単語はそれ以降の作品で創作される事になる。
- 機動戦士Ζガンダム
- 単語の初出作品。アースノイドの尖兵であるティターンズに虐げられる弱者として描かれている。
- 機動戦士ガンダムΖΖ
- 機動戦士ガンダム 逆襲のシャア
- 機動戦士ガンダムUC
- 機動戦士ガンダムF91
- 機動戦士Vガンダム