差分

1,997 バイト追加 、 2023年7月17日 (月) 19:42
編集の要約なし
41行目: 41行目:     
== 概要 ==
 
== 概要 ==
[[地球連邦軍 (UC)|地球連邦軍]]が開発した量産型[[モビルスーツ]]。[[ジム寒冷地仕様]]を始めとした[[ジム・コマンド]]系列の機体の1機で、全般的な性能を高めつつ汎用性を維持している。名称こそ「スナイパー」で超長距離狙撃任務に対応しているが、[[ジム・スナイパーカスタム]]と同様に'''狙撃一辺倒の機体という訳ではなく'''、従来のMS用武器の大半が使用可能である。
+
[[ジムD型|RGM-79D]]を母体とする、所謂「[[ジム・コマンド]]」系の機体をベースにカスタムした機体。[[一年戦争]]末期に実戦投入された[[ジム]]のバリエーション機の中でも最後期に開発された機体である。
   −
各部にはサブスラスターが追加され、脹脛にもスラスターが各2基ずつ設置されている。背部のバックパックは構造が根本から見直されており、ジム・コマンドと同じ規格品を使いながらも性能を限界まで引き出せるように設計された。メインスラスター2基は中央に縦列に設置され、ベーシックな形状のままで高い機動性が発揮される。ちなみに、このメインスラスターを中央に設置する構造は後の[[ネモ]][[ジェガン]]でも採用された。頭部には狙撃用のバイザーが装着されており、これには光学式高倍率レンズ群やイメージスタビライザー、専用レーザーセンサーからなる複合センサーが装備されている。狙撃時にはこのバイザーが下ろされ、ノイズ除去の為に頭部ユニットの冷却を行う。これのおかげで射程外から一方的に敵の母艦及び指揮官機を真っ先に狙撃して排除する事が可能となった。装甲材にはチタン合金セラミック複合材が使用されているが、ルナ・チタニウム合金も部分的に採用しているとする資料もある。総合的な性能は[[ガンダム]]をも凌駕しており、[[ジオン軍]][[ゲルググ]]にも迫るものであった。反面、製造コストは高騰化し、また開発時期も[[一年戦争]]末期だった為に生産・配備数はごく僅かとなっている。
+
統合性能では[[地球連邦軍 (UC)|連邦]][[モビルスーツ]]の「原器」とも呼べる[[ガンダム]]に匹敵するスペックを持ち、単騎で[[ゲルググ]]に対抗しうる機体の一つと言われ、改装に伴ういくつかの仕様変更点は、後の[[グリプス戦役]]期の量産機にも採用されるほどの先見性を有していた。その改装には、先行する機体の実働データも取り入れられており、工業製品としての量産効果が長所として現れた顕著な例と言える。
 +
 
 +
特徴的な頭部バイザーは、精密射撃用のレーザーと光学による複合センサーを内蔵し、メインカメラのゴーグルを閉塞、頭部ユニットを冷却する事で、混入するノイズを物理的に排除し、超長距離狙撃に対応する。これにより、敵部隊のアウトレンジから母艦や指揮官機を優先的に殲滅する事を目的としている。とはいえ、本機は狙撃専用の機体という訳ではなく、ジム系の投入初期に高い評価を得た[[ジム・スナイパーカスタム]]に倣い、汎用性を保ちつつ統合性能の向上を図った事で、中距離支援~近接戦闘にも対応可能な「万能型」と呼んでも差し支えないスペックを達成している。既存のMS用兵装のほとんどを運用可能で、当時少数ながら生産されていたMSサイズの狙撃任務用実体弾ライフルによる精密射撃が可能な数少ない機体でもあった。
 +
 
 +
機体各所にはサブスラスターも増設され、バックパックに2基、脚部に2基ずつ大型のバーニアスラスターが追加されている。バックパックは出力より精度を優先した設計が施されており、ピッチング特性に優れ、脚部のバーニアスラスターはバックパックの出力をトータルで補う目的で採用されている。メインバーニアを機体の中心軸に沿って配置する構造は、後の[[ネモ]]や[[ジェガン]]などにも採用されており、ベーシックなシルエットを維持したままで機動性を向上させる手法としては有効であった。
 +
 
 +
腕部は他の系列機と同じパーツ構成ながらサーボやアクチュエータをチューンされ、ドライバを更新。また、ボディユニットもジム・コマンドのものを改装し、排熱や電子ノイズを低減する部材を追加しながらもスペックの向上を果たしている。
 +
 
 +
しかし、完成が戦争末期だった事もあって生産数は非常に少なく、生産コストも量産機レベルとは言い難かった事から、検証用の試作機以外直系の後継機が生産される事はなかった。一説には、[[ティターンズ]]の台頭に反発した本機開発スタッフの一部が後に[[アナハイム・エレクトロニクス社]]においてネモの開発に携わったとも言われているが、詳細は不明である。
    
== 登場作品と操縦者 ==
 
== 登場作品と操縦者 ==
54行目: 62行目:     
== 装備・機能 ==
 
== 装備・機能 ==
<!-- === 特殊機能 === -->
+
=== 特殊機能 ===
 +
;頭部バイザー
 +
:専用のレーザーセンサー及び光学式の高倍率レンズ群やイメージスタビライザーを組み合わせた複合センサーを装備する。稼働時には通常のメインカメラに相当する頭部センサーアレイをゴーグルごと閉塞。頭部ユニットを冷却する事でノイズを物理的に排除し、超長距離狙撃に対応する。
 
=== 武装・必殺攻撃 ===
 
=== 武装・必殺攻撃 ===
 
;ブルパップ・マシンガン
 
;ブルパップ・マシンガン
:一年戦争の後期によく使われた、90mm口径の実弾兵器。取り回しの良さとバレルの長さを両立させようとした結果、弾倉と機関部を後方に設置している。
+
:一年戦争の後期に多用されたMS用マシンガン。90mm実体弾を射出する。弾倉や期間部がトリガーやグリップより後方にあり、バレルの長さを維持したまま全長を短縮できるため、取り回しに優れる。
 +
;[[ビーム・サーベル]]
 +
:斬撃用のエネルギー兵器。プラズマ状のビームを形成して対象を溶断する。ユニットは[[ジム・コマンド]]系に採用されたものと同等品で、リアアーマーのホルダーに2基が装備されている。
 +
;シールド
 +
:主に実体弾などに対して有効な防御装備。ジム・コマンド用に開発された局面シールドの塗装違いで、耐ビームコーティング処理も施されている。マガジンやサーベルなどのオプション兵装を装備/携行可能なものもある。
 
;狙撃用ライフル(75mmスナイパー・ライフル)
 
;狙撃用ライフル(75mmスナイパー・ライフル)
:本機の主兵装である長砲身のボルトアクション式無反動砲。実弾式で装弾数は5発。給弾できるのは弾丸のみで、炸薬は流体炸薬が使用される。通常の機体でも使えるが、近・中距離戦用の無反動砲としてしか機能せず、長距離狙撃が出来るのは基本的にスナイパー系機体のみとなる。
+
:MS用に開発された長射程の無反動砲。流体炸薬を使用し、弾丸のみを給弾する。精密射撃が可能なのは一定の規格を満たしたスナイパー系の機体のみだが、一般的な機体でも近~中射程の無反動砲としてなら使用可能。<br/>なお、開発の際にはドイツ製のモーゼル・ボルトアクションライフル”kar98K”が手本とされており、これは開発担当の技術者がドイツ人だった事に起因する<ref>『0080』公開当時発売の『B-CLUB』41号より。</ref>。<br/>前述通り、実弾式である本武装ではあるが、『0080』本編で使用していなかった事もあり、一部ゲーム作品などでビーム兵器として描写される事が度々あり、一時期は資料によって実弾兵器かビーム兵器かが分かれていた。
:なお、開発の際にはドイツ製のモーゼル・ボルトアクションライフル”kar98K”が手本とされており、これは開発担当の技術者がドイツ人だった事に起因する<ref>『0080』公開当時発売の『B-CLUB』41号より。</ref>。
  −
:前述通り、実弾式である本武装ではあるが、一部ゲーム作品などでビーム兵器として描写される事が度々あり、一時期は資料によって実弾兵器かビーム兵器かが分かれていた。
   
;[[ビーム・ライフル]]
 
;[[ビーム・ライフル]]
 
:後に[[百式]]に採用される物と同型のビーム・ライフル。『0080』公開当時の書籍や資料で確認できる。対MS戦において狙撃用ライフルを用いた銃撃戦は不可能であるため、パイロットの多くがこちらを装備したとされる<ref>『0080』公開当時発売の『B-CLUB』41号より。</ref>。
 
:後に[[百式]]に採用される物と同型のビーム・ライフル。『0080』公開当時の書籍や資料で確認できる。対MS戦において狙撃用ライフルを用いた銃撃戦は不可能であるため、パイロットの多くがこちらを装備したとされる<ref>『0080』公開当時発売の『B-CLUB』41号より。</ref>。
 
;ロングレンジ・ビーム・ライフル
 
;ロングレンジ・ビーム・ライフル
:本機のもう一つの主兵装。[[ジム・スナイパー]]と同じ物で、非常に長い射程と高い威力を誇る。また、ビームの照射時間も非常に長い。複数回の使用には冷却材とエネルギーパックを用意し、外部出力器と機体を接続しておく必要があるが、それらが無くとも1発だけなら発射可能。本機のパイロットの1人である[[ジャン・ディベビエ]]中尉はこの武装を使用し、自分達を追撃してきた[[コルテス]]の駆る[[ジム・スナイパーカスタム]]を撃破に追い込んだ。
+
:本機のもう一つの主兵装。[[ジム・スナイパー]]と同型の狙撃用[[ビーム・ライフル]]。非常に長い射程と高い威力を誇る。また、ビームの照射時間も非常に長い。複数回の使用には冷却材とエネルギーパックを用意し、外部出力器と機体を接続しておく必要があるが、それらが無くとも1発だけなら発射可能。<br/>本機のパイロットの1人である[[ジャン・ディベビエ]]中尉はこの武装を使用し、自分達を追撃してきた[[コルテス]]の駆る[[ジム・スナイパーカスタム]]を撃破に追い込んだ。
 
;L-9ビームライフル
 
;L-9ビームライフル
 
:[[カイン・ラグナード]]の駆るシャドウズ仕様機の専用ライフル。一年戦争後に開発された高出力のビーム狙撃銃であり、威力、射程ともに他のビームライフルより大幅に向上されている。しかしその反面、一発ごとにエネルギーカートリッジを交換(再装填)する必要がある。
 
:[[カイン・ラグナード]]の駆るシャドウズ仕様機の専用ライフル。一年戦争後に開発された高出力のビーム狙撃銃であり、威力、射程ともに他のビームライフルより大幅に向上されている。しかしその反面、一発ごとにエネルギーカートリッジを交換(再装填)する必要がある。
 
;ロング・ライフル
 
;ロング・ライフル
:ジム・ライフルと同一の機関部を持つロングバレルのマシンガン。高精度のセンサーを持つ本機との組み合わせにより、長距離からの支援攻撃を可能とする。書籍『マスターアーカイブ モビルスーツ ジム』の解説欄では本装備の機体が複数確認できる。
+
:ジム・ライフルと同一の機関部を持つロングバレルのマシンガン。高精度のセンサーを持つ本機との組み合わせにより、長距離からの支援攻撃を可能とする。<br/>書籍『マスターアーカイブ モビルスーツ ジム』の解説欄では本装備の機体が複数確認できる。
 
;狙撃用ライフルらしき武器
 
;狙撃用ライフルらしき武器
 
:『修羅の双星』に登場するバニング機が装備。一見すると本来の狙撃用ライフルのように見えるが、銃身下部にグリップが付いているなど所々形状が異なるのが分かる。
 
:『修羅の双星』に登場するバニング機が装備。一見すると本来の狙撃用ライフルのように見えるが、銃身下部にグリップが付いているなど所々形状が異なるのが分かる。
;[[ビーム・サーベル]]
  −
:リアスカートに2本マウントされている。[[ジム・コマンド]]等が装備しているのと同じ物。
  −
;シールド
  −
:携行式の実体盾。ジム・コマンドの物と同じタイプだが、カラーリングが青に変更されている。裏側にマシンガンの予備マガジンやビーム・サーベルを装着できる物も存在する。
   
<!-- == 対決・名場面 == -->
 
<!-- == 対決・名場面 == -->
  
6,154

回編集